残念な偏見 | tmpブログ

残念な偏見

0128  ヨコハマ 晴れ

今日は晴れてくれましたので当然塗装作業を行いつつ、先日から製作し始めたミディアムスケールのCFカスタムネックの作業を進めました。

このネックは高密度のイタヤカエデ材ですから加工はかなり大変ですし、元が暴れ材として楽器製作には避けられて来た素材ですから変形修正を繰り返しながら加工することが重要です。

そうした狂い出しを丁寧に行ないながら、そして燻煙処理と言う手間隙を惜しまなければ、音質は最高レベルの響きが期待出来る素材です。

皆さんが通常手にされている製品のネックの多くはマシン加工で一気に削り出されますが、こうした手作りネックではまさに木の個体毎の性質と職人が向かい合って作り上げる物なのです。
ですからメーカーでは日に数百から数千本のネックが製作されますが、カスタム製作では1日1本程度しか製作出来ないのです。
片やマシン 対 天然木、片や製作家 対 天然木、その対峙の違いが最終的に音に出ます。

そして今回、皆様にひとつ申しておきたいことがひとつ。
それはこのネックに見られる様な節目についてです。こうした節目は製品製造に於いて現場ではねられてしまう素材なんです。早い話し、見た目でユーザーに嫌われ易いからメーカー製造に於いて、これらの素材を最初から避けるのです。その為に現場ではそうした節目やシミがある部分は放棄されることも多いのです。

そうした材も時にはカラーリングで塗りつぶしの仕様の製品に流用されてりもするのですが、実際には多くの節目材が放棄されています。
しかし節目がある周辺部分は非常に強度が高いので古典楽器の世界ではネックの張力負荷が架かる部分にあえてこうした節目部分が来る様に木取りして製作したりもするのです。

今回もそうした節目部分をネックのアゴに当たる部分に用いてヘッド面の起き上がりを抑える強度を得ています。またベースなど弦長が長い構造のネックの最も負荷が大きく掛かる14フレット以降にこうした節目部分が来る様に木取って製作しますと長年の張力負荷にも耐えられる良いネックの製作が可能なのです。音の張りや腰の強い楽器作りに貢献してくれるからです。

今回も人によっては、いくら音が良くても見た目が嫌だな、と避ける方がおられる事は充分承知の上で製作しています。

ワタシにすれば、節目だって天然木の証です。その性質をうまく利用すれば通常ネックより、ずっと楽器としてのグレードを上げる事が出来るのに、単に見た目だけで捨ててしまうなんて、ある種,人間の傲慢さとも言える態度に思えるのです。
勝手に切り倒しておきながら気に食わないから捨ててしまうんですからね。

ワタシがお伝えしたい事は伝わりますかね? 本当の技術やノウハウとは、見た目優先主義を超えたところに存在するものだと思います。いかに生き物の命を生かすか、そこに尽きるのだと思うからです。

ですからこのネックを使って完成されたギターが有無を言わせぬスゴイ鳴りの楽器に仕立てる事がワタシの使命だと思っています。 
そんな気持ちで製作したネックである事を少しでもご理解頂けましたら幸いです。

写真1&2 グリップシェイプ中のショット  
写真3 生地加工が済んだところで下地処理塗装を施した直後のショット。
通常のメイプルネックでは有り得ない程の音密度を備えた最高のネックに仕上がっています。

この素材の命を生かし切ったネックの製作が行なえて、非常に満足です。イエイっ!(^ε^)v