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思わず笑みが

12/27  ヨコハマ 冷たい曇り日です。

冷え込んでます。そろそろこの1年で切り出した材の余り部分(端材)を更に細かくして燃焼ゴミの日に出せる様にしなくてはいけません。作業場にはそんな端材が山積みなのです。

写真は完成させたばかりの大昔のヤマハ製ダイナミックギター(いかにも時代を感じさせるネーミング)です。
オーソドックスなダダリオのプロアルテ弦を張って早速音出し。勿論、数十年も弾かれていなかった個体ですから、すぐに本調子のサウンドが出る筈も無いのですが、そこはたっぷり燻煙処理を施した上に、この設定で鳴らない筈が無いと言う設定に作り替えてありますから、既にただ者では無い反応を示しています。 正直 思わず笑っちゃいました。「キミ・・スゴイね」って。(^o^)

サイド&バック材がメイプル材と言う、通常の手工クラッシックでは単板ローズ材が使用されますから、この個体は素材のとトーン自体がそもそも異なります。
ローズ材のウエットで暗い艶のあるトーンと比べ、フラメンコギターのシープレス材のサイドバックに近いブライトなトーンですが、乾き切ったメイプル材では更にドライなトーンになっていますね。
また今回は張り替えた指板も黒檀では無くローズ指板ですので、よりブルージーなトーンが備わっています。まあ何でもエボニーがいいっって事じゃなくてサウンドのメリハリ感とウッドトーンの違いで本来選択すべきものですからね。

フラメンコ/シープレス材仕様はそもそも低域が出ませんが、この個体はゴリッ!と言った腰のある響きが魅力的です。
弦高もナイロン弦の振幅には最低12フレットで3㍉が必要ですので、今回はその最低弦高である12F/3㍉の低い弦高設定を施してありますが、それでも充分にローに張りとパワー感が在ります。
たぶん、録音したら150~200年前の状態の良いギターのサウンドの様に音録り出来る筈です。
さあ、大ざっぱに説明しますと以上の様な感じですが、とにかく良質なガットギター・サウンドをお探しの方は試奏に来てみて下さい。

ぶっちゃけた言い方をすれば、20万以下の販売価格などで手に入る様な楽器じゃないです。
先程のローズ材仕様とのウッドトーンとは異なるトーンの個体とは言え、これほどの鳴り方をする100年以上昔の手工楽器ですと、通常は150万円前後はしています。

[ 主な作業スペック ]
□ ネックにインサートブロック加工を施した上での逆ゾリ指板張り替え&リフレット
□ 指板ナット部の幅設定を52㍉から50㍉幅設定に変更済み
□ ネックグリップ形状変更&リフィニッシュ(ヘッド形状もt.m.p 仕様に変更済み)
□ 弦長設定を650㍉仕様に弦長変更 及びペグ全体のロケーション変更と新品ゴトー製ペグに変更
□ WBH製のナットとオクターブサドルに変更
□ ブリッジ台座テールピース部分にブラックパーシモン材にて形状変更