終了報告 大阪の I さん
10/30 ヨコハマ 晴れ
今日は燻煙処理を行いつつファイアーバードのセットアップを終了させています。
実は話すべきかどうか、多少悩んだのですが、やはりお伝えしようと思います。
それは以前も触れましたが質量のあるペグの付いた楽器のネックの湾曲化についてです。
写真1枚目はこのファイアーバードに採用されている専用ペグです。
実はこのペグは最重量ペグなんです。通常のクルーソンタイプのペグは1セットで130g程度なんですが、このペグは340gもあるんです。なんと2.6倍の重さ。ペグ単体で言えばクルーソンタイプのペグの15ケ分の重さがこの1セットであるんです。
クルーソン2セット半の重さですからまさに横綱級。
本体の写真で、ちょっと見には気付かれないかと思いますが、やはり右利きの楽器ですからネックは1弦側に曲がってしまうんです。それをこの個体は割と近年に行ったと思われるレフレットの際に、どうやらカーブしていた指板をフレット仕上げのエッジの直線出しの際に削った様子です。
それで見た目には割と真っすぐなネックにはパッと見は見えるんですが、実際には本来のネックセンターから1弦側に1.5㍉は最低でも首を振ってます。
フレット上でも1フレットから最終22フレットのセンター間の距離が1弦側よりも6弦側の方が若干長くなっています。これはカーブを描いている証です。
そこで、正直ワタシもこうした楽器の音程ピッチの悪さは気になって仕方無いんですが、(まあ、それだからこそサークルフレッティングを考案し具体化したんですけどね)それを少しでも解消するには今回はブリッジのセンターを少しだけ6弦側に振ってやることで、実際にカーブした平行フレッティングの狂いを少しでも気にならなくする手段を取っています。
実際にもう指板自体は残念ながら曲がっちゃっているワケですから、そこを悔やんでも仕方無いので、それを少しでもそれが気にならない様にしたと言う事です。
こうした部分は I さんが気にされない様に黙っている事も出来ましたが、もし仮にこの楽器をどこかのリペアーショップに持ち込まれた場合、経験と知識の足りないリペアーマンでしたら「あれ、少しブリッジが6弦側に寄ってるなあ、直さなくちゃ」と言う事になり兼ねないからです。
折角少しでもピッチの狂いが気にならない様にしたのに、直されたら更にピッチ感は悪化しますからね。
と、まあそんなワケでして実際の状態をお話しする事に致しました。
そもそも I さんはギブソン系のミディアムスケールは自分には合わない、とおっしゃっていた方なので、たぶんファイアーバード自体が好きなんだろうな、と察して、これ以上コストを掛ける事はせずに仕上げてあります。
重量のあるペグは楽器の表現力が劣りますので割と無表情な傾向が有りますが、少なくとも今回は元よりも軽量なチューン0ブリッジに変更していますので以前よりは音も締まり表情も付き易くはなっています。
取り敢えず、今回はこれで返送させて頂きますので明日のお昼の便でお受け取り下さいませ。
ご依頼ありがとうございました。

今日は燻煙処理を行いつつファイアーバードのセットアップを終了させています。
実は話すべきかどうか、多少悩んだのですが、やはりお伝えしようと思います。
それは以前も触れましたが質量のあるペグの付いた楽器のネックの湾曲化についてです。
写真1枚目はこのファイアーバードに採用されている専用ペグです。
実はこのペグは最重量ペグなんです。通常のクルーソンタイプのペグは1セットで130g程度なんですが、このペグは340gもあるんです。なんと2.6倍の重さ。ペグ単体で言えばクルーソンタイプのペグの15ケ分の重さがこの1セットであるんです。
クルーソン2セット半の重さですからまさに横綱級。
本体の写真で、ちょっと見には気付かれないかと思いますが、やはり右利きの楽器ですからネックは1弦側に曲がってしまうんです。それをこの個体は割と近年に行ったと思われるレフレットの際に、どうやらカーブしていた指板をフレット仕上げのエッジの直線出しの際に削った様子です。
それで見た目には割と真っすぐなネックにはパッと見は見えるんですが、実際には本来のネックセンターから1弦側に1.5㍉は最低でも首を振ってます。
フレット上でも1フレットから最終22フレットのセンター間の距離が1弦側よりも6弦側の方が若干長くなっています。これはカーブを描いている証です。
そこで、正直ワタシもこうした楽器の音程ピッチの悪さは気になって仕方無いんですが、(まあ、それだからこそサークルフレッティングを考案し具体化したんですけどね)それを少しでも解消するには今回はブリッジのセンターを少しだけ6弦側に振ってやることで、実際にカーブした平行フレッティングの狂いを少しでも気にならなくする手段を取っています。
実際にもう指板自体は残念ながら曲がっちゃっているワケですから、そこを悔やんでも仕方無いので、それを少しでもそれが気にならない様にしたと言う事です。
こうした部分は I さんが気にされない様に黙っている事も出来ましたが、もし仮にこの楽器をどこかのリペアーショップに持ち込まれた場合、経験と知識の足りないリペアーマンでしたら「あれ、少しブリッジが6弦側に寄ってるなあ、直さなくちゃ」と言う事になり兼ねないからです。
折角少しでもピッチの狂いが気にならない様にしたのに、直されたら更にピッチ感は悪化しますからね。
と、まあそんなワケでして実際の状態をお話しする事に致しました。
そもそも I さんはギブソン系のミディアムスケールは自分には合わない、とおっしゃっていた方なので、たぶんファイアーバード自体が好きなんだろうな、と察して、これ以上コストを掛ける事はせずに仕上げてあります。
重量のあるペグは楽器の表現力が劣りますので割と無表情な傾向が有りますが、少なくとも今回は元よりも軽量なチューン0ブリッジに変更していますので以前よりは音も締まり表情も付き易くはなっています。
取り敢えず、今回はこれで返送させて頂きますので明日のお昼の便でお受け取り下さいませ。
ご依頼ありがとうございました。

