経過報告 2件
10/26 ヨコハマ 雨
ヒドイ嵐にならなくて良かったですね。助かります。
1枚目の写真は Uさんのチューン済みのCS-JB のネックで端末厚変更の為にイタヤカエデを接いで、本日生地加工を進めているところ。
元のネックの端末ボトムを精度出しの為に表面を0.5㍉一旦落として、そこに接ぎ木して2㍉厚さを増しています。目的が最初の状態から1.5㍉厚を上げたかったのでこうした作業を行っています。
割と簡単そうに見えますでしょ?
でも実際に目的の数値まで平面精度をきっちり出しながらグリップ形状にフィックスさせて仕上げるのは結構難しいんですよ。目立たない作業に限って難しかったりするもんです。
この後、晴れたらネックのグリップ塗膜をサンドブラスで落としてから生地仕上げを追い込んで、そしてネックグリップ全体を最初から再塗装仕上げして行きます。
もう1枚の写真はギターの I さんのコールクラーク。WBHナット交換と荒れていたフレットをファイリングして仕上げ直しています。
このコールクラークと言う楽器はワタシが今一番面白いな、と感じているブランドです。
昔からのオーソドックスな代わり映えのしない作りのギターが溢れる中で、新しい試みを続けているブランドだからです。
とは言っても闇雲なオリジナリティではなく、一定の方向性をもって作り込まれた部分が見受けられます。
いろんな部分をチェックしますと、あるコンセプトに基づいて設計がなされている様です。
ヘッドもヘッドトップ面はラウンド形状でヘッド質量を増して低域の音の溜を得ていますからローエンドがよく出ますし、ロッドも端末閉め。基本的にこれでなくちゃね。
この個体に限って言えば、たぶん弾き語りでのギターサウンドの在り方が意識されている様に感じます。別な言い方をすればローレンジに偏ったサウンドなんですね。指向性も横広がりなワイドレンジ設定です。先程のヘッド厚設定もそうですし、内部のブレーシングもオリジナルな設定でサウンドホールもラージホール設定で全てが特定な方向性を示しています。
これはギター1本で伴奏した場合、どうしても従来のアコギ1本の鳴り方ですと、ルートサウンドが薄くなりますが、この楽器は丁度テナーギター的な低域のふくよかさが出る事でルートベースラインがしっかり出て来ますので、同じ1本のギターサウンドでありながら、この楽器の設定ですとベースラインがより出せるのでサウンド自体に厚みが出せるんです。
もし設計者が このワタシの読み通りのことを意図して設計していたのであれば、ワタシはこの設計者に才能を感じざるを得ませんね。それは「音楽が見える楽器作り」と言えるからです。
この世の中にギターが作れる人間なんて掃いて捨てるほど存在しますが、カタチに出来る様になったに過ぎない方の方が圧倒的に多いのです。形にまでは出来てるけど音楽家に取ってはどうでもいい楽器でしかない。早い話し、楽器の製作家としての最も重要な「音楽をカタチにする」才能が足りないのです。
それを考えますと、この設計者/製作家は明らかに才能が有りますね。素晴らしい。
ちなみに、ワタシの大ッ嫌いな作り方とは
「こんな風に作ってみたら こんな楽器が出来ました」みたいなノーコンセプトであったり、装飾や見た目ばかりに拘り、サウンドの方は何だコレ?みたいな単に工芸品的なモノです。
今回のコールクラークはそれらとは全く違います。音楽に寄り添う様に作られています。
そもそも、サウンドが二の次の楽器なんて材の無駄使いです。製作を止めて欲しいですね。
仮に、この個体をもう少し全体のバランスを整え、サウンドの指向性を高めたいのであるならば、ペグを軽量なクルーソンタイプに変更し、サウンドホールの径を直径で10㍉ほど狭めてあげれば指向性が増した別タイプの良いギターになる筈です。
更にブリッジ台座に段差加工を施して弦穴からサドルトップに高低差を加えれば、音もレンジも締まって分離の良いギターになるでしょう。
取り敢えず、早めに燻煙処理は行っておきたいですね。
この個体への作業は本日中に完了する予定です。

ヒドイ嵐にならなくて良かったですね。助かります。
1枚目の写真は Uさんのチューン済みのCS-JB のネックで端末厚変更の為にイタヤカエデを接いで、本日生地加工を進めているところ。
元のネックの端末ボトムを精度出しの為に表面を0.5㍉一旦落として、そこに接ぎ木して2㍉厚さを増しています。目的が最初の状態から1.5㍉厚を上げたかったのでこうした作業を行っています。
割と簡単そうに見えますでしょ?
でも実際に目的の数値まで平面精度をきっちり出しながらグリップ形状にフィックスさせて仕上げるのは結構難しいんですよ。目立たない作業に限って難しかったりするもんです。
この後、晴れたらネックのグリップ塗膜をサンドブラスで落としてから生地仕上げを追い込んで、そしてネックグリップ全体を最初から再塗装仕上げして行きます。
もう1枚の写真はギターの I さんのコールクラーク。WBHナット交換と荒れていたフレットをファイリングして仕上げ直しています。
このコールクラークと言う楽器はワタシが今一番面白いな、と感じているブランドです。
昔からのオーソドックスな代わり映えのしない作りのギターが溢れる中で、新しい試みを続けているブランドだからです。
とは言っても闇雲なオリジナリティではなく、一定の方向性をもって作り込まれた部分が見受けられます。
いろんな部分をチェックしますと、あるコンセプトに基づいて設計がなされている様です。
ヘッドもヘッドトップ面はラウンド形状でヘッド質量を増して低域の音の溜を得ていますからローエンドがよく出ますし、ロッドも端末閉め。基本的にこれでなくちゃね。
この個体に限って言えば、たぶん弾き語りでのギターサウンドの在り方が意識されている様に感じます。別な言い方をすればローレンジに偏ったサウンドなんですね。指向性も横広がりなワイドレンジ設定です。先程のヘッド厚設定もそうですし、内部のブレーシングもオリジナルな設定でサウンドホールもラージホール設定で全てが特定な方向性を示しています。
これはギター1本で伴奏した場合、どうしても従来のアコギ1本の鳴り方ですと、ルートサウンドが薄くなりますが、この楽器は丁度テナーギター的な低域のふくよかさが出る事でルートベースラインがしっかり出て来ますので、同じ1本のギターサウンドでありながら、この楽器の設定ですとベースラインがより出せるのでサウンド自体に厚みが出せるんです。
もし設計者が このワタシの読み通りのことを意図して設計していたのであれば、ワタシはこの設計者に才能を感じざるを得ませんね。それは「音楽が見える楽器作り」と言えるからです。
この世の中にギターが作れる人間なんて掃いて捨てるほど存在しますが、カタチに出来る様になったに過ぎない方の方が圧倒的に多いのです。形にまでは出来てるけど音楽家に取ってはどうでもいい楽器でしかない。早い話し、楽器の製作家としての最も重要な「音楽をカタチにする」才能が足りないのです。
それを考えますと、この設計者/製作家は明らかに才能が有りますね。素晴らしい。
ちなみに、ワタシの大ッ嫌いな作り方とは
「こんな風に作ってみたら こんな楽器が出来ました」みたいなノーコンセプトであったり、装飾や見た目ばかりに拘り、サウンドの方は何だコレ?みたいな単に工芸品的なモノです。
今回のコールクラークはそれらとは全く違います。音楽に寄り添う様に作られています。
そもそも、サウンドが二の次の楽器なんて材の無駄使いです。製作を止めて欲しいですね。
仮に、この個体をもう少し全体のバランスを整え、サウンドの指向性を高めたいのであるならば、ペグを軽量なクルーソンタイプに変更し、サウンドホールの径を直径で10㍉ほど狭めてあげれば指向性が増した別タイプの良いギターになる筈です。
更にブリッジ台座に段差加工を施して弦穴からサドルトップに高低差を加えれば、音もレンジも締まって分離の良いギターになるでしょう。
取り敢えず、早めに燻煙処理は行っておきたいですね。
この個体への作業は本日中に完了する予定です。

