経過報告 ギタリスト Sさん | tmpブログ

経過報告 ギタリスト Sさん

10/23  ヨコハマ 曇り

写真はSさん用にチューンしたオルテガのエレガットです。
やっと燻煙からネックグリップ変更、グリップ部再塗装が終了し、本日からセットアップ作業に移行しています。
セットアップ前にフレットファイリングとWBHナットの取り付けを済ませ、全体を水研磨してから艶だし研磨を行ってあります。

ここまでの手間隙もなかなかのモンです。
修正すべき点は修正しサウンドのグレードや弾き心地を格段に高める作業です。

新品の楽器でもチューンの際にフレットの擦り合わせをなさってる様ですが必要なのでしょうか?
との質問に対してですが、
以前にも触れた事項ですが、量産品はネックに指板を接合する前に既に指板にフレットをプレス・インサートしてあり、その状態でネック本体に接着されます。
その場合、指板自体にも固さなどの個体差があるので、フレットをプレスで押し込んでセットした場合、フレットが浮き気味な個体も出て来ます。
また、フレットをプレスインし易くする為にフレット溝が広めに施されている場合、弦の張力が指板面に架かった時にその圧力でフレットが浮き上がって来るケースも出て来ます。

その為に新品の個体であっても、チューン時にはフレット全部にハンマーでトントン!と当てを入れて浮いてるフレットを打ち込み直すので、結果的にフレット上面は不均一な高さになるのです。その為にあらためてフレット上面を擦り合わせて再仕上げする必要があるのです。
この説明でご理解頂けるかな?

最後の写真は分かり辛いでしょうがサドルをセットする溝の断面の両サイドに0.5㍉のローズ材を張り込んで元の厚いサドル幅を縮めた後のショットです。
多くの市販エレガットのサドルはその下に仕込まれているピエゾサドルの厚さだけ厚めのサドルがセットされています。本来のガットギターの理想的なサドル厚は2.0~2.5㍉ですが、エレガットの多くは3.5~4.0㍉ほどもあります。
これだけサドルが厚いと、まず生音がぬる~くなります。音抜けも甘くなりますから生で弾く気が起こらない楽器に成ってしまっている事が実に多いのです。
多くの皆さんはエレガットの音質の悪さは諦めて、割り切って使ってる人が沢山居ます。

それを解消する為にサドルの厚を2.5㍉にまで戻して「ピエゾ仕様の楽器だけど生音もイケる個体」に変えてしまうのです。その為にはブリッジ台座のサドル溝を作り替える事が必要になって来るというわけです。 あ~、ホントいい音出すのって 面倒くさ (-。-;)

この個体は明日中に完成させる予定です。Sさんお楽しみに。



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