経過報告 55B−4−FL
10/4 ヨコハマ 曇り空
薄暗い日です。今日の報告はベースの U さんオーダーの55B-4/TJ-FL のネック加工。
フレットレスはフレットの無い分1ミリ程ネックの端末厚を厚く設定するのがワタシ流設計ですのでそれに従って作り替えてます。
今回はエボニー指板のフレットレスなので折角だから接ぐ板も縞黒檀。
現在は予定通り、お客様の依頼品だけでなくRetroCityのロングスケールモデルとRetroCity-Bassも開発中。
頭の中では既に完成しているので、後はテンプレート用板に直接ラインを引いて各種テンプレートを作成試作加工の準備をしています。
とは言っても、これらの作業は各種以来作業の接着硬化待ち時間ですとか、チューン作業でも段取り上の空き時間に行っています。そうでないとお客さんに怒られちゃいますからねえ。
でも作業に追われている中で何で新たな楽器を作っているのかと申しますと・・
これだけはワタシ自身の精神的な安定感を取り戻す為です。
ご存知の通り、ワタシは残念ながらファクトリーを所有していません。ハッキリ言えば、こんな狭い場所で作業なんかしたくない!ってのが本心です。塗装も燻煙も屋外でしなくてはいけませんから大きな作業上のロスがしょっちゅう生まれます。それらは当然ストレスになります。
また、エレキだけでなくアコースティックもガット系とフォーク系それぞれオリジナルで製作もしたいと言う気持ちは持ち続けていますので、時々ふつふつとその思いが沸き上がるんですね。
製作出来る人間が事情で製作出来ない作品がある、って言うのもコレで充分ストレスになります。
実際、アコギ系の製作を行う為には更に広い作業場と各種素材や工具も必要になり、更には作業出来るのはワタシのみですから、アコギの製作を行う為にはエレクトリック系の作業がストップする事になります。
そうまでして製作してもオールハンドメイドのアコースティックギターは70万以下で製作するのは非常に困難です。たっぷりtmpの製作ノウハウを注ぎ込んで作るのでそれ以下の価格での製作はほぼ不可能なんですね。
そーなると皆さん、今時70万をアコギに出せます? そーとういい楽器としても、その金額は簡単には捻出出来ませんでしょ? それが分かっているから、ずーっとワタシはアコギ系の製作を行って来なかったんです。
ヴァイオリン系も技術面での習得が出来たのでそれで良しとしてますが、作るよりも販売する方が大変なんです楽器は。ワタシには古典楽器の販路が無いですから商売として成り立たせるのが難しいんです。
作るより売る方がたいへん。これが現実。
だからエレキを犠牲にしてまでアコギ製作には手は出せないんです。余程資金力があれば別なんですけどね。
そこで「アコギ作りたい!」って言う気持ちを自らねじ伏せる為にアコギのチューンナップを時々行っているのです、実のところ。
ワタシは自分で避けている部分もあって、市場へのアプローチ(広告宣伝/モニター品出しetc)を一切行っていません。それは仮に広く存在を知られたところで多くはアマチュアプレイヤーさん達の対応に追われるという事になるので、それは出来れば避けたいのが本心だからです。
所有欲から楽器が欲しいだけの人に楽器を製作するって言うのは、たぶん皆さんには想像外でしょうけど、けっこうヘビーな事なんですよ、製作家からしますと。
相手が音楽家では無い人に楽器を1から作るって、依頼者本人にも正解が見えてないですから作り手には相当なストレスを感じながらの製作になるからです。
幸い t.m.p にオーダーされる方々はプロであったり真剣に音楽活動されている方が多いので、その意味では有り難いのですが、それでもオーダー品はワタシの自由に作れるわけではありません。
絵描きに例えると分かり易いでしょう。オーダー品は「こんな風な絵を描いて欲しい」って依頼されるわけですから、自由に描いているのとは根本的に違うのです。
そんな内情ってのがありましてね、時々自分の作りたい楽器を作ってストレスから自らを解放してあげるんですわ。この方法以外に製作家のストレスの解放手段は無いんですねえ。
そもそもお決まりの定番楽器を何本も何本も作る事ですら即ストレスを感じてしまうよーなワタシですから、数を売る商売には全く不向き。
もし皆さん自身が自分で自由に楽器を製作出来るのだったら、どんな楽器を作りたいと思うのでしょうかね? ワタシとてそこが原点でしたからね。
ギブソンもフェンダーもマーチンもいいけど、自分ならこういう楽器を作りたい、って素人の時点でイメージ出来たから「じゃ、自分でやってみよう」って思っただけですからね。
プロと言ったってね、アマの延長ですから誰しも。作りたい奴が作ればいいんです、何でも。
ワタシの密かな願いは、ワタシの様な人間を見て知って「自分もやってみたい!」って人間が沢山出て来て「日本って国はカスタム製作家が沢山いてスゴイんだよ!」って世界中のミュージシャンが 純正 Made in Japan の楽器で演奏してくれる事です。
皆さんはもしかして考えた事も無いかも知れませんが、日本人が外国製の楽器に憧れている姿を見て何とも思わないですか? だとしたら、その人はあくまでユーザーにしか成れないでしょうね。
若き頃からワタシはそんな日本人の姿がとても残念でしたし悔しかったですね。
たぶんそんな日本人だけが世界と勝負出来るんだと思っています。今でもね。

薄暗い日です。今日の報告はベースの U さんオーダーの55B-4/TJ-FL のネック加工。
フレットレスはフレットの無い分1ミリ程ネックの端末厚を厚く設定するのがワタシ流設計ですのでそれに従って作り替えてます。
今回はエボニー指板のフレットレスなので折角だから接ぐ板も縞黒檀。
現在は予定通り、お客様の依頼品だけでなくRetroCityのロングスケールモデルとRetroCity-Bassも開発中。
頭の中では既に完成しているので、後はテンプレート用板に直接ラインを引いて各種テンプレートを作成試作加工の準備をしています。
とは言っても、これらの作業は各種以来作業の接着硬化待ち時間ですとか、チューン作業でも段取り上の空き時間に行っています。そうでないとお客さんに怒られちゃいますからねえ。
でも作業に追われている中で何で新たな楽器を作っているのかと申しますと・・
これだけはワタシ自身の精神的な安定感を取り戻す為です。
ご存知の通り、ワタシは残念ながらファクトリーを所有していません。ハッキリ言えば、こんな狭い場所で作業なんかしたくない!ってのが本心です。塗装も燻煙も屋外でしなくてはいけませんから大きな作業上のロスがしょっちゅう生まれます。それらは当然ストレスになります。
また、エレキだけでなくアコースティックもガット系とフォーク系それぞれオリジナルで製作もしたいと言う気持ちは持ち続けていますので、時々ふつふつとその思いが沸き上がるんですね。
製作出来る人間が事情で製作出来ない作品がある、って言うのもコレで充分ストレスになります。
実際、アコギ系の製作を行う為には更に広い作業場と各種素材や工具も必要になり、更には作業出来るのはワタシのみですから、アコギの製作を行う為にはエレクトリック系の作業がストップする事になります。
そうまでして製作してもオールハンドメイドのアコースティックギターは70万以下で製作するのは非常に困難です。たっぷりtmpの製作ノウハウを注ぎ込んで作るのでそれ以下の価格での製作はほぼ不可能なんですね。
そーなると皆さん、今時70万をアコギに出せます? そーとういい楽器としても、その金額は簡単には捻出出来ませんでしょ? それが分かっているから、ずーっとワタシはアコギ系の製作を行って来なかったんです。
ヴァイオリン系も技術面での習得が出来たのでそれで良しとしてますが、作るよりも販売する方が大変なんです楽器は。ワタシには古典楽器の販路が無いですから商売として成り立たせるのが難しいんです。
作るより売る方がたいへん。これが現実。
だからエレキを犠牲にしてまでアコギ製作には手は出せないんです。余程資金力があれば別なんですけどね。
そこで「アコギ作りたい!」って言う気持ちを自らねじ伏せる為にアコギのチューンナップを時々行っているのです、実のところ。
ワタシは自分で避けている部分もあって、市場へのアプローチ(広告宣伝/モニター品出しetc)を一切行っていません。それは仮に広く存在を知られたところで多くはアマチュアプレイヤーさん達の対応に追われるという事になるので、それは出来れば避けたいのが本心だからです。
所有欲から楽器が欲しいだけの人に楽器を製作するって言うのは、たぶん皆さんには想像外でしょうけど、けっこうヘビーな事なんですよ、製作家からしますと。
相手が音楽家では無い人に楽器を1から作るって、依頼者本人にも正解が見えてないですから作り手には相当なストレスを感じながらの製作になるからです。
幸い t.m.p にオーダーされる方々はプロであったり真剣に音楽活動されている方が多いので、その意味では有り難いのですが、それでもオーダー品はワタシの自由に作れるわけではありません。
絵描きに例えると分かり易いでしょう。オーダー品は「こんな風な絵を描いて欲しい」って依頼されるわけですから、自由に描いているのとは根本的に違うのです。
そんな内情ってのがありましてね、時々自分の作りたい楽器を作ってストレスから自らを解放してあげるんですわ。この方法以外に製作家のストレスの解放手段は無いんですねえ。
そもそもお決まりの定番楽器を何本も何本も作る事ですら即ストレスを感じてしまうよーなワタシですから、数を売る商売には全く不向き。
もし皆さん自身が自分で自由に楽器を製作出来るのだったら、どんな楽器を作りたいと思うのでしょうかね? ワタシとてそこが原点でしたからね。
ギブソンもフェンダーもマーチンもいいけど、自分ならこういう楽器を作りたい、って素人の時点でイメージ出来たから「じゃ、自分でやってみよう」って思っただけですからね。
プロと言ったってね、アマの延長ですから誰しも。作りたい奴が作ればいいんです、何でも。
ワタシの密かな願いは、ワタシの様な人間を見て知って「自分もやってみたい!」って人間が沢山出て来て「日本って国はカスタム製作家が沢山いてスゴイんだよ!」って世界中のミュージシャンが 純正 Made in Japan の楽器で演奏してくれる事です。
皆さんはもしかして考えた事も無いかも知れませんが、日本人が外国製の楽器に憧れている姿を見て何とも思わないですか? だとしたら、その人はあくまでユーザーにしか成れないでしょうね。
若き頃からワタシはそんな日本人の姿がとても残念でしたし悔しかったですね。
たぶんそんな日本人だけが世界と勝負出来るんだと思っています。今でもね。

