経過報告 数件 | tmpブログ

経過報告 数件

8/5 完璧に夏日 

蝉はミンミン啼いてるし、汗だくで作業しています。

写真はオールドのギブソン/L-7 
燻煙処理とヘッド断面変更とWBH ナット交換が主な作業。
この手のギブソンはヘッドが先に行く程クサビ形状で細まっているので、本来ヘッド面に垂直に突き出る筈のペグのポストが強引に傾斜させられてしまう為に裏面にマホ材を接いで均一厚のヘッドに作り替えて上げる必要があるのです。けっこう面倒な作業です。本日早朝から燻煙処理に入っております。

FRT-TELESA は最後の下地塗装を本日施しております。明日以降は着色作業です。

佐賀の O さんのマーティンー00028・EC は本日指板の修正/精度出し作業からスタートしております。ご本人からはシグニチャー・インレイは消えても構いません、との承諾を頂いておりますが、じゃあガンガン指板を削っていいかと申しますと、それはNG なんです。
基本的に指板上面を0.5ミリ以上削った辺りからサウンドに明らかな変化が出てしまうからです。

この個体はねじれと波打ち状態でして、ねじれは6弦側フラット状態で1弦側が逆ゾリ状態、そして5~7フレットが逆ゾリのピークで持ち上がって、その後12~18フレットに掛けて指板は陥没状態です。

こうした状態は別に珍しい事ではありません。既製品には良くある事です。
特にフレットを打ち込むのではなくてフレットをプレスして圧着させる方式が現在の製造主流ですので、そもそも指板の上面の平面精度が出ていない状態でフレットがプレスされ、その状態でネックに接着されている場合が多いのです。
手工製作では指板がネック本体に接着された後にその上で再び指板上面の精度確認をしたのちにフレットを打ち込みますので最後まで指板精度を追求します。しかしあらかじめフレットがプレスインされた指板をネックに接着した場合、狂いが出ていてもフレットが既にセットされている為に指板修正が出来ないわけです。
昔ながらの職人技が必要無い方法で製造する事が生産性を高める為には必要だからです。現在ではこうした量産型の方式がどこでも採用されています。

ちなみに皆さん、クラッシックギターなどで30~40万クラスを高級品モデルと思ってらっしゃいませんか? 金額的に高いからハイエンドモデルと思ったらそれは大間違い。
手工ギターで50万以下はエントリーモデルです。少なくとも手工製作家はその認識です。

マイスタークラス本人の製作の場合、トップモデルで200~300万、その親方の一番弟子が製作して親方のサインラベルが入ったモノが100万~150万、それ以下は一番弟子が孫弟子に指導/監修しながら、ある程度の小量産化モデルで高い方が70万前後、そして50万以下、ってのがエントリーモデルってのが昔ながらの手工ブランドの製品構成の目安です。

話しを戻します。
例えば、指板にはポジションマーカーが施されますが、あれは指板の中央部分に多いでしょ?
あれがひとつには指板の平面精度を落とす要因でもあるのです。
インレイは指板に施された溝に埋め込まれますが、初期段階では指板面から突起した状態で接着されてます。本来ですとその突出した部分だけを丁寧にヤスリで削り落としておいてから指板全体を整えるのですが、特に固めのシェルインレイはそうした手をかけてあげないと指板の仕上げ精度を落とす要因になりがちです。
下請け作業の現場ではいっきにベルトサンダーで指板上面をざっと削ってしまう為にポジションマーカーがある部分だけグイグイ押さえつけられ易くポジションマーカーの多い指板の中央部が沢山削られてしまう事がよくあるのです。

まあ、量産現場の作業員のオバさん、オジさん達にしてみれば、インレイが出っぱってなきゃいいんだろ! 忙しいんだからさー!って話しです。( ̄_ ̄ i)

ましてや外注作業の場合、そこでは指板周りの作業だけを行っている為に現場の人達は完成品の楽器を見た事すら無い場合も多いのです。ですからどうしても、より早く作業を沢山こなす事が重要になっちゃうんですね。

とまあ、製造現場の実態がどうあれ、要は最終的にいい状態に持ち込めればいいワケです。

作業に当たっては、まずトラスロッドの閉め具合をどの程度にした状態で修正を行うべきかが非常に重要となります。
その上で、ねじれが原因で出ているピークを削り、波打ちが原因で起きている陥没部分との高低差をどう整えて行くか、微妙な修正プランを最初に立ててから修正を行っていきます。

結果、陥没部分の最も深いところを0.2ミリ程残し、盛り上がってしまっている部分を0.3ミリ程度に削りを抑えつつ、最終的に指板上面高が0.5 ミリ以上落ちる事が無い様に修正を済ませました。幸い今回はシグニチャーインレイもギリギリ残っています。
更にはこれから打ち込む新しいフレットに合わせて全てのフレット溝のサイズも変更してあります。後はフレットを打ち込んで行くだけです。

今日の作業はここまで。



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