経過報告 ヨコハマのTさん その他 | tmpブログ

経過報告 ヨコハマのTさん その他

9/15 ヨコハマ晴れ 早くも9月が半分経過.

写真はtmpの5弦ベース/55B-5 用のブリッジで、左が元のゴトー製市販ブリッジ、右がtmp仕様に作り替えたモノです.

市販ブリッジの多くはパーツメーカーさんの設計製造によるものですから最終的な音の落とし処を決め込んで製作するカスタム品に市販仕様そのままで使える事は稀です.(tmpに於いて)

今回もプレートに切削を加えて厚さの変更、元の円筒形サドルのボトム切削でカマボコ型に変更、サドルアジャスターネジの径の変更とそれに伴うサドルビス穴の変更加工を行なっています.
また市販ブリッジのサドルに施されている弦溝も多くが4弦のベース弦の径には適しておりませんので4弦と更に太い5弦のベース弦に合わせてラウンドスリットの加工幅を変更しております.

こうして4項目の追加工を経てやっとtmp仕様のベースブリッジが完成します.
元の仕入れ価格よりも後加工の工賃の方が高いんですからね.その合計金額がこのブリッジの原価となっているワケです.
ですからこのベースブリッジを見て「あ~市販品がマウントされてるんだ」と思ったら大違いなんですね.

@Tさんへ:本日は仮セットアップ止まり.来週明けには完成予定です.お楽しみに.
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ワタシはかつてメーカー数社の楽器開発を経験しておりますが、こうした細部の変更要望はまず通らない事が多いです.少しでも製造原価を抑えたいメーカー事情で殆どの場合が量産仕様のまま製品化されてしまいます.

こうした事はパーツに限った事ではなく、勿論楽器本体にも共通して言える事です.
設計通りに製品化される事など今までただの一度も無かったですね.
あくまでワタシの仕事はアーティスト本人が使用する現物に関してだけで、そのモデルを製品化するのは全く別なスタッフが仕切って行きますからね.試作品とは様々な違いが生まれます.

まあ、そもそも元のデザインに手を加える事自体、社内の設計者からの少なからず反発が出ますからかなりやりにくいものなのです.
元の設計を変更するってことは元の設計者の顔に泥を塗るようなもんだからです.
加えて、メーカーさんの仕事でのアーティスト本人モデルの製作作業は、そのアーティストさんに対して自分本来の設計や製作方で対応することは許されないので心的ストレスが非常に大きかったですね.

そんなメーカーの開発仕事に度々携わった経緯上、メーカーから販売された楽器を見て、ミュージシャンが「これってマツシタさんが開発したモデルなんでしょ?」って言われると結構ツライんですよね.「うっ、う~ん・・そうね、 そ、そうなんだけどね・・」って.(^_^;)

そんな過去も有りまして、現在某ギタリストの楽器を個人的に製作しています.
それはRetroCity-PWなんですが、その方は過去に某メーカーさんのモニターアーティストさんでしたが、その後もたいへん活躍されている方です.
当時ワタシはそのメーカー側の立場でしか対応する事が出来ませんでしたので自分で設計製作した楽器を弾いて頂いた事が一度も無いんですね.元のモデルに手を加えてモニタープレイヤー自身の満足度を少しでも高めて使用させ続ける事がメインの仕事だからです。
まあ、殆どの場合プロミュージシャンに対してはワタシはメーカーサイドとしてのお付き合いでしたからそれ自体は珍しい事ではありません.

メーカーに雇われたワタシは彼の最後のモデル担当を任されましたが勿論デザイン変更など基本的に許される筈も無いのです。担当は国内外のモニター本人の使用楽器ですから手を加えるのも見た目の変化を最小限に留めることが重要になります。実はこれが難しいのです。

でも彼のモデルに関してはそれまでで初のセットネック/ラミネート構造にする事が認められたのでその点は良かったですね。
それが彼とのお付き合いの最後となりワタシはその後メーカーを去り、彼は別メーカーのモニターさんとなりましたが、チューンナップの仕事をその後幾度か頂きました。
しかし、tmp設立後もメーカーさんのモニターアーティストさんには基本、お付き合い出来ない、ある種の暗黙の掟みたいなものもありますので、モニターをされているミュージシャンとは意識的に距離を置き続けてきました。

まあ、今では独立から10年以上も経ちましたし、せめて、彼一人くらい、現在は老舗ブランドのモニターさんではありますが、マツシタの設計でマツシタが製作した楽器を引退前に1本贈りたいな、と思って製作しております.当時彼は非常にワタシを評価して下さいましたしね.ツアーにも同行しましたし想いでも幾つも有ります.
とは言え、他社の代表的なモニターアーティストさんですからtmpが表に出ない形で受け取ってもらおうと思っています.あくまで個人的に感謝と受賞お祝いの気持ちですから.

それに、日本の技術屋の意地みたいな部分を感じてもらいたいですしね.(^.^)