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既成概念

8/13 ヨコハマ まだ夏日  夏よ、早く行っちゃわないでくれよ.

写真はセットアップ初日を迎えた大阪のKさんのRetroCity-WHです.ホンジュラスマホにハーフフェイデッドのワインレッド.この個体も通常ですとピッカピカに磨き挙げるのですが、あえて半艶に近い仕上げで進めます.

理由は・・その方がしっとりとした楽器らしさが得られるからです.その方がいいと思っているから、そう仕上げようと。

ワタシは将来絵描きジジイで晩年を過ごすのが夢ですが、これまでにも暇を作っては、同じくこよなく絵画を愛する友人と上野美術館などに絵画を観に出かけたりしています.

この絵画を鑑賞しに行くのにはベストは一人ですが、誰かと連れ立って観に行く場合には非常に相手を選ぶのが絵画鑑賞と言うモノだと思っています.
作者の心情や状況、世界観を絵画という窓を通して垣間見る行為が絵画鑑賞ですから、そこに込められたものを読み取れない相手といっしょに観に行っても気疲れするだけなんですね.

反対にそうした作品に込められた世界を堪能出来る相手は非常に貴重な存在となります.
上野に行く場合なんか途中で大手の楽器店に立ち寄って小物を購入するのに、わざと付き合って貰います.あえてギブソンやらPRSなど高額機種が並ぶあたりに置き去りにして
「悪いね、ちょっと楽器でも見てて、買い物すぐに済ますからね」と、その場を離れちゃう.

買い物を済ませて楽器店を出てから
「どおだった?並んでた楽器達に何か感じた?」って聞いてみると
「楽器の事はよく分からないけど、なんでエレキってどれもあんな安っぽい色合いでピッカピカな仕上げなの?まるで大量生産の工業製品みたい」
「絵で例えるなら実際の油絵じゃなくて大量に印刷したプリント製品みたいな感じ」
「どれにも楽器だけの持つ気品や深みみたいなものがまるで感じられなかったんだけど」
って、答えが返って来た.う~ん、なかなか手厳しい。

彼女は工房にも幾度か来た事があるので「じゃ、僕の作ってる楽器はどお?」って尋ねる.

「アナタの楽器はぜんぜん重みが違う感じがする.でも私はもっと見た目がしっとりした仕上がりの方がいいと思うけど、もっとヴァイオリンみたいにしっとりした色艶の仕上がり」ってお応え.
「なるほど、そうだね 参考にさせてもらうよ」


絵画は著名作家の作品が手に入ればいいてもんじゃないと思います.

例えば松本竣介の作品やゴッホの作品もそうだけど、仮にそれらを入手出来たとしても安易に部屋に飾れる様な作品じゃないですもん.
松本竣介の絵には微かに希望を抱きながらも絶望を味わい続けた男の孤独感が張り付く様に流れているし、ゴッホに至っては単なる孤独感を逸脱した狂気に近い世界がそこに色濃く漂ってますからゴッホの絵を部屋に飾るという事は部屋の中に明らかに神経を病んだ人間が居るのといっしょ.
極端な話、ゴッホと暮らしているようなモンです.ちょっと耐えられませんねワタシなら.

ホンモノの絵には明らかに作者の魂が込められている(こもってしまっていると言うべきか)ので
その絵が壁に架けられているとそこだけ異次元の窓みたいなもんなんですね.作者の描いた世界が見える窓と同じです.

そうして同じ様に絵を感じ見ることが出来る人にそうそうお目に掛かれるもんではないので、その人は貴重な存在と言えるんです.
なまじギター好き、音楽好き、音楽家、業界人なんかより、ある種ず~っと参考になる意見や感想を述べてくれたりするのでとても参考になるのです.
既成概念をすっ飛ばした意見をくれるからです。

そうだよね、工業製品じゃないんだからピッカピカにする必要なんて無いものね.って納得した事が、未だにず~っと心に残っています.

そうした心情が反映されていたっていいでしょ?  ワタシの作品なんだから.


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