個別報告 エピフォンのMさん | tmpブログ

個別報告 エピフォンのMさん

6/21 ヨコハマ曇り空 たまに小雨

いや~蒸し暑いですね~ 今日は写真のMさんのエピフォンのフレットファイリングを行なうつもりでしたが、トラスロッドを締めますとグニュ~ンと指板面が波打ってしまいフレットファイリングでは間に合わず、指板修正&リフレットを行なう以外に手は無い事が判明致しましたので、Mさんにはそのご報告です.

既にトップに接着されていたブリッジは剥がして修正済みですが、指板修正&リフレット(抜けていたドットポジマーカー入れ)作業との合計で¥55.000+TAXの作業と成る見込みです.
取り敢えず後はご本人の判断に委ねます.ご連絡をお待ちしております.

皆さんにはあまり認識されていない部分かと思いますが、トラスロッドはギブソン系の様なヘッド部でロッド調整する構造ではキレイな修正はは非常に困難と言えます.
確かにロッド調整そのものは機能はしますが基本的に理想的なロッド修正が可能にする為にはネックの端末で締め込む、端末締めタイプでなくてはならないんです.

それはネックの張力負荷が最も掛かるのはネックの仕込み部分なのです.ヘッド側で締め込むロッドの場合、そのネック端末部分はロッドの仕込みカーブが終わって単に埋め込まれているだけの為に一番張力負荷が大きい部分に効力が発揮出来ない構造なのです.

それだけでなくこの個体の様にヘッドからロッドの仕込みカーブが始まっている構造のロッドは5F前後に仕込みカーブの深い部分が始まっているので、ロッドを締め込みますとこの部分が盛り上がり、先ほど述べた端末部分でロッドの効力が無い為にネックが耐えられずに落込むことで結果的に指板が波打ち状態に成ってしまうのです.特にロッドが食込みやすいマホガニーネック材の場合では完全に構造欠陥と言えます.

でも当時はセットネックのギター系ではトラスロッド調整がし易い様にヘッド側で調整出来る構造をどこも単純に採用してしまったのでしょうね.物理的に考えれば本来有り得ない選択だと言えます.

現実にはこうした事実が分かっていても定番楽器達がこうした構造で製作されてきた為にオリジナルと異なる仕様で製作した場合、オリジナル仕様と違うから、と言う理由でユーザーが買わない事をメーカーサイドは恐れ未だに同じ仕様で製作され続けているのです。

ある意味で馬鹿げた話です。
わざわざ問題のある仕様で作り続けられているなんてね。┐( ̄ヘ ̄)┌

$tmpブログ