個別報告 2件 | tmpブログ

個別報告 2件

6/12 ヨコハマいかにも梅雨らしいジトジト雨降りの日.今週はダラダラ降り続く様子.

写真はビオラ弾きのSさんの大きなサイズのビオラでWラディアス指板の接合後のショット.
本当は指板自体もっと長い燻煙をかけてあげたかったんですが、こ~雨ばかりじゃね.
だから梅雨時に掛かる作業は出来れば避けたいのです.でもその前の段階で燻煙処理をしっかり行なっていますので作業はこのまま進めます.

15日にSさん学芸大近辺でライブがあるそうなので仮セットアップして当日のリハにお邪魔してネックグリップとかを確認して貰おうかな、と考えています.が、まだそれが可能かどうか未定.

もう1本はエピフォンのセミアコ.Mさんお持ち込みでアメリカ直輸入で入手された個体とか.
それはいいんですけど、ブリッジが台座ごとボディのトップに接着されてました.
なんちゅーことしてくれてんねん!たぶん前所有者の仕業だとは思うのですが(もしこれがプロの仕事なら散弾銃で処刑モンです)これ剥がすのが大変でした.ベッタリ接着されてましたから.

その他の作業があるんですが、これを剥がしてキレイに元通りにするのに時間食ってしまった.
*写真は修正が終わってやっと元の姿に戻した時点でのショット。
そもそも、どうしてこのブリッジの台座が固定されていない構造なのか、これが分かってないからこんな事をしてしまうのでしょう.
ン?「でもフォークギター系は台座が接着されてる構造じゃない!」って反論がある?
あのね、アレはそもそもテールピースとブリッジが一体化された構造だから接着されてんの.分かった?
この手はヴァイオリン族がいい参考になります.全てブリッジは接着されておらず乗っているだけです.それこそが重要なんですよ.
例えれば、ドラムを叩く時にスティックはその都度跳ね返って来ますでしょ?分かりますよね.
アレを一回一回スティックのヘッドを皮に押し付けたらまともなドラムの音に成らないでしょ?
弦楽器も同じなんですよ、打楽器と. 弦の振動が次々とボディを振動させてる訳です.
その場合、ブリッジが完全固定されてると音が途切れにくくなってダーダーとだらしなく音が繋がっちゃう訳です.その都度与えられた振動の強弱に合わせて音の強さや長さなどが変化対応出来る様にあえてブリッジは固定されていないのです.

ギターの場合はそもそも特殊な構造でして、ナットからブリッジまでの距離に対してブリッジから弦の出口であるピンの位置までが極端に短いでしょ? ああすることで音を分離させているからなんです.言ってみればテールピースが存在しない様なものなんです.ブリッジ自体がテールピースを兼ねている構造だからです.

もうこのへんで解説はいいですよね.でもまあ、現実問題としてギターの専門書でもこういった構造解析が出来てるものはま~ず無いですから仕方ないのかも知れませんね.
「~だと言われている」「~らしい」みたいなまるで都市伝説みたいな注釈ばかりですからね.
そのせいもあってか、まともな設計のギターの少ない事.技術屋さんもルックスから入っちゃうからなんでしょうね、たぶん.何度も言いますが楽器は物理的構造物です.

だからこそワタクシは自分で検証をして構造設計の専門家になったわけですけどね.そのついでに作れる様になったと言うワケです.自分が作れないと自由に検証が出来ないからです.
そんな経緯でこれまでにありとあらゆることを実験検証して来たというわけです.

ですから近しい人たちは、こう言うと驚くのですが「僕は別に製作家になりたかった訳じゃないんだよ、いい楽器を誕生させる製品プロデューサーになりたかったんだよ.その為には一旦製作家にならないと自由に発想したモノを作れないから仕方なくやって来ただけだよ」って.コレはホントの理由です.だっていちいち作りたいものを誰かに頼んでいたららちが空かないでしょ?
だったら自分でやるしかないですから.だから t.m.pのPはプロデュースのPなんですよ。

それはヴァイオリン系も同じですね.現状のヴァイオリン族の構造はベストじゃない、って思うから、それを立証するには自分で作るしか無いでしょ? その為に今やってるんです.
一般の人に分かり易い言い方をするのなら「ストラディバリウスより優れたヴァイオリンを製作する事は可能です」って事をワタシは半ば公然と言ってるわけで.

世間は当然こう言いますよね「じゃあ、やってみせろ」って.
だからこれからそれをヤルんです.ねっ、こんな楽しそうな事ってそうそう無いでしょ?(^O^)

ちなみに今現在、試奏器を用意して数名の奏者の方々に貸し出しチェックをしていただいているのも、プロの演奏家達に作られた楽器はプロの演奏家が判断すべき事だと思っての事です。
ですからワタクシが「ここはこうあるべき」とした新しいヴァイオリン属への設定構造を与えた楽器達が奏者の方々に取って「従来のままで充分」「新しい設定は不要」などの反応であった場合、ワタシはヴァイオリン族の製作は断念するつもりでおります。
だって自分の提供したい楽器に「魅力は感じ無い」と弾く側に判断されたら、それはあえて作る意味は無いでしょう。その場合はもう何か全く別な仕事でも始める事に成るでしょう。

@Mさんの作業は別にギブソンのアコギもあるのですが、リフレット作業で指板の削り修正が含まれるので雨が上がった時に行なう予定でおります.Mさんにはお時間たっぷり頂いてますのでのんびり仕上げさせて頂きます。

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