経過報告 さいたま市のMさん | tmpブログ

経過報告 さいたま市のMさん

4/19 ヨコハマ曇り空 湿度も少々高め.

写真はMさんご依頼のチューンナップで正直手を灼いています.
リヤーハムのロケーション変更の為にハムの座グリに埋木加工しております.同時にこのショットでお判り頂けるのですが、FRT トレモロのアンダーキャビティ加工仕様の為にトレモロのトップのメイプル部分が貫通しております.
この状態はこうしたFRT/アンダーキャビティ仕様のラミネート仕様によく見受けられる事なのですが、折角トップ材があるのにトレモロの2点支持ボルトはバック材にしか打ち込まれていないのです.本来なら音の輪郭を整え音の張りやタイトさを付加させる為のトップ材なのに肝心のブリッジからの振動はまずバック材に伝わってから逆ルートでトップに伝達されている事になります.
これである種、トップ材は飾り板になってしまっているのと変わらないのです.

要するにこの個体ではメイプルトップ仕様であるにも拘らず、実際にはバック材の軽いアッシュだけを鳴らしている構造の様なものなのです.

そこでワタクシもさすがに悩む訳です.
いつもの t.m.p に於けるFRTの設定を取り入れるだけでは張力バランス設定は理想値まで追い込めますが、最終的な鳴りの軽さをカバー出来るかと言えば、不十分になるんですね.何と言ってもトップ材はお荷物になっているに過ぎませんから軽いアッシュ材だけで元よりダイナミクスを出さなくてはいけないからです.

そこで急遽2枚目の写真のように一旦ネックキャビティの深さを下げて、そこにメイプルを接ぎ木して少しでもバック材の鳴りにメリハリが出易いように変更しております.
接するネック自体もメイプルなわけですが、バック材にネックと同じメイプル材を接ぐことで振動の受け口だけでも振動が伝わり易くしているわけです.この部分はお見積もり金額をオーバーしますが、金額内でやらせて頂きます.

こうした部分は写真付きで詳しい解説をしないことには皆さんに伝わらない部分なのでtmpブログが存在する訳です.
以前に「持ち込まれた楽器のコメントが辛口過ぎはしませんか?ちょっと酷いと思います」と批判的なご意見をおっしゃる方がいらっしゃいました.別な方からは「2chで評便悪いですよ、あいつはペテン師だって」とかも言われた事がありますね.

考えてみて頂きたいのですが、解説内容をオブラートに包んだ表現をして結局この楽器の設定変更すべき部分とその理由、そしてそれを解消する為の手法とコストが伝わらなくてはお客さん自身がその支払う金額に納得は出来ないでしょう.違いますか?

しかも一旦作業をお受けした以上はワタクシは必ず「あの人に依頼して良かった」と言われるだけの結果を出さなくてはならないのです.だからこそ、まず最初に依頼者の楽器に現状にどれだけの問題が有るかをお伝えして、まず作業のスタート地点がどの程度か知って頂くのです.そこからどこまでグレードを上げるか、その為に費用がどの程度掛かるかがお見積もりとなるわけです.

もし、このブログが無かったら皆さんはワタクシにこんなにも多くの作業依頼を下さらない筈です.
燻煙の事も知らなかったら燻煙費用で7~8万掛かりますって言われたら「なにそれ!なんでそんなに高いの?」って思われてオシマイでしょ? そこにどれだけの価値が生まれるかを知らぬままにね.

自分の楽器が量産システムであくまで製品として組み立てられているに過ぎない状態のまま、それを楽器だと思い込んで弾いている方が余りに多く、それに対して今まではリペアーの窓口しか存在しなかったわけです.
部分修理の範疇で単なる製品が素晴らしい楽器に生まれ変わる事は稀なことです.そこを何とかしてあげたいと思ったからこそワタクシは新しいジャンルであるチューンナップをカスタム製作とともに始めた訳です.
製品として作られたものが的確なチューン作業によって単なる製品の域を超えて生涯その方に愛される「楽器」に生まれ変われる可能性があるからです.

もしワタクシのコメントが辛口で不快だと思われる方は実にシンプルなご提案ですが、もうこのブログを読まないで頂きたいですね.もしかすると同業者の方なのかも知れませんが実際は判りません.

例え批判的なアナタが単なるアマチュアプレイヤーであってもプロのミュージシャンであっても依頼をお受けしたらワタクシは同じ姿勢で作業にあたりますよ.
事前にどこをどうするかをご報告し、ブログで写真掲載報告までしながら最終的に結果を出すことで代金を頂戴しています.しかも納得出来なければ代金は頂戴しませんとお約束してますよね.
ここでひとつ言わせて頂くのなら、これまでにそこまで依頼者の立場に立って作業を公開し、結果を出し続けている人間がワタクシ以外におりますか?

実際に、2005年から本格的にチューンナップと言うジャンルを確立してから先月まででチューンナップ作業の売り上げだけで5千万程あります.これこそ沢山の方に信頼して頂けた証として実に有り難く思っています.

ですから今回もご予算の範囲内で出来る限りのことをして依頼者のご期待に少しでも応えたいと思っております.ご理解頂けたら幸いです.



$tmpブログ
$tmpブログ