個別報告 滋賀のHさん  | tmpブログ

個別報告 滋賀のHさん 

2/11 ヨコハマ曇り空ですねえ.けっこう冷えます.

今朝もちょいと揺れましたが、大きいのが起こりそうな地震雲が出ない限りは無視します.

新たなチューンナップ依頼の為に今朝から燻煙中.
その間、やっと完全に塗膜が硬化したHさんのCCR-312のネックを仕上げました.あとはセットアップに移行します.来週中には完成予定でおります.お楽しみにお待ち下さいませ.

暇を見てはヴァイオリンのヘッドスクロールを削る練習中.まだ身体が覚え切れていません.
角材からこのクルクルした渦巻きのヘッド形状加工がけっこう面倒なんですわ.写真は仕上げ加工を残した状態で本体に仕込んだ後、最後の生地仕上げ加工を行なっているショットです.

長年こんな仕事をしていますと身体が作業を覚え切っているかどうかが分かります.それは出来る出来ないレベルじゃなくて要するに作業慣れの部分ですね.何度やっても流れる様な美しい形状加工が出来る様に身体に染込むまで行なう事が重要です.

とは言ってもそれも一旦ある程度の作業経験値に達する事が目的なだけです.
将来は長い歴史の中でほぼ形状が決まっている古典楽器のヴァイオリンですからヨーロッパなどの古典楽器製造業者からおおよその形状まで加工済みの半加工材を購入して効率よく製作する事でなるべく安価でクオリティの高いヴァイオリン作りを行なう事を考えています.

なぜなら同じ形状に仕上げるのであれば何も最初から全ての工程を自分で加工する事に拘ってもあまり意味が無いからです.途中まで加工済みの良質な素材が入手出来るのであれば、あとはどう仕上げるかが重要なだけです.途中の加工形状に大差が無いのであれば素材さえ良ければいいのですからね.
問題は素材に対してしっかり燻煙処理を行なって最終的に独自の設定ヴァイオリンが完成出来ればいいワケで、最後がどんな楽器に仕上がっているか、そこだけに拘ればいいのです.プロセスはプロセスに過ぎないのです.

ですから、製作工程内容に関しては、何も数百年前の巨匠と言われる職人さん達と同じ手法で製作する事がベストだとはちっとも思っておりません.
伝統的な手法に拘って製作することで得られる、ある種の職人の自己満足や安心感など、こと音楽を前にしたら大した意味を持たないのです.なぜなら結果が全てである事が明白だからです.

楽器である以上、誰がどんな技法手法で製作したにせよ「クズはクズでしかない」のです.
ですから作者の自己満足で終わる事がある意味一番恐れている事ですね.
「ゴミ屑には一銭も出したく無い」
奏者はそう考えているに違いないとワタクシはいつでも肝に銘じています.

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