R貼り指板の作り方 | tmpブログ

R貼り指板の作り方

1/28 本日2回目のブログ たまには技術屋さん達へのレクチャー内容にしますか.

ワタクシの作るヴァイオリンはR指板貼りを基本設定としています.但しコストを抑えたチューンナップ・ヴァイオリンでは通常通りのフラット貼りとなります.

各弦が指板に直接触れるヴァイオリンでは指板厚が均一である事が重要と考えてのR指板貼り設定なんですが難点が加工精度が求められる点ですね.機械加工ならまだしも指板も指板を貼るネック本体の上面もR設定ですからシビアーな精度出しをしなくてはいけません.

写真1枚目はR指板に変更する為に通常のヴァイオリンの指板を固定する専用治具をまず手作りして固定した時点でのショット.
次に指板トップ面(ヴァイオリンは40R)と同じRで指板の裏面を削って行きます.写真2 *カンナも指板R溝に合わせて通常の市販品の四角い台カンナから専用の丸カンナに作り替えます.(写真に写っているのもその内のひとつ)

3枚目の写真が加工を終了した時点でのショット.

この様に指板自体の加工を終えたら今度はネック本体の指板を貼る部分も密着出来る様に指板の裏面に加工したRよりもほんの少し大きいRで加工を行ないます.これは全く同じRの場合、将来的に変形の可能性があるからです.
ほんの少しだけ大きなRでネック面を仕上げて指板を圧着しますとより互いが密着出来ますので指板裏面を40RのR溝加工をした場合は指板を貼るネック上面は40.2R程度で加工して指板をニカワ接着をします.もしくは指板裏面のR溝を39.8Rで加工し、ネック上面を40R加工。

仮に今回の指板を量産する場合には機械で加工を行なうわけですが、職人はそれを手加工で製作する事が出来ないと技術屋としては伸びないんですね.プログラミング・ルーター加工で楽器を作ったとしても、それは機械が仕事をしただけで技術屋としては腕が成長出来ないんです.
やろうと思えば最新のマシン加工と変わらぬ精度で加工出来る技術を身に付けている事が重要です.
そこまでになればレスポールでもPRSでも作ろうと思えば何でも製作出来ちゃいますから.

とは言え、あのレスポールだって量産仕様の楽器ですから製造当初からアナログの機械加工でトップアーチを削っていたわけで、職人さんが手でアーチを削っていたことなど一度も無いですからね.
当然ながらみ~んな機械加工品です.売る時にはあたかも職人が1本1本削りだしたかの如く売ってますけどね.みんなそれでコロッとダマされちゃう.(^O^) 
大昔から値段が安いのがギターの世界.フレットがあるから誰でも弾ける様になるのでポピュラーな弦楽器として世界に広まった訳ですから.
でも実際に完全な手工品を50万以下の値段で作るのは困難です.ぜんぜん割が合わないですもん.

で、ワタクシはもっと腕で勝負出来るヴァイオリン製作へと向かうのであります.馬
燻煙処理、R指板貼り仕様、サークルフレッティング理論によるナットR加工など新しいノウハウを保守的な古典楽器の世界に導入して行きます.

皆さん、知り合いのヴァイオリン弾きにt.m.p ヴァイオリンを知らせて下さいね.(^O^)/

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