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個別報告 &

11/29 ヨコハマ曇り

やはり小さめの地震が頻発している様子ですね.いいよいいよ、小出しにしてくれた方がいいからね.

写真はHさんのオーダーでCCR-312のボディ&ネック.気温が下がり過ぎて塗装自体がアウトになる前に下地処理まで進める段取りで集中して作業を行っています.本日無事に下地処理をスタート出来ました.

このCCR-312にはHさんのご要望を伺って設定判断した仕様で製作しております.バックのホンジュラスマホだけでも通常のテレキャスターのボディ厚と同じだけあります.その上にカーリー(縮れ目)のイタヤ材を接ぎ合わせた設定ですからボディ厚もかなり厚めです.

このCCR-312とRetroCityは姉妹器的な意味合いも持たせています.基本、CCR-312はソリッド構成とホロウ構成の2パターン構成、RetroCityは単板材仕様です.共にtmp製のハンバッカーとP-90モデルのセレクトが可能ですが、それぞれのメイン仕様としてはCCR-312がハンバッカー仕様、RetroCityがP-90仕様とお考え下さい.

それぞれのモデルをベースに更に素材構成の違い、ピックアップ仕様のカスタマイズ仕様が可能です.またCCR-312では写真のCCRの様にトグルSWをカッタウェイサイドに設けてのコントロール仕様も可能です.
この個体の場合はマスター・ヴォリューム&マスター・トーンでツインLCV回路で製作したカスタム・モデルとなっています.ピックアップそれぞれにローカット・ヴォリュームを設けての多彩なヴァリエーションが可能な仕様にしてあります.@この仕様は基本¥20.000コストアップとなります.
*RetroCityの場合はあくまで1トグルSW+MV+LCV+MTの基本回路のみの仕様としております.

双方ともギブソンと全く同じミディアム・スケールのギターですが特にCCR-312はまだ弾かれた事の無い方々からはその形状ラインからレスポール系の楽器と観られがちで、だったらレスポールを所有してる人間には無用なモデルなんじゃないか、と思われがちですが、そこがまず全く違います.

まず、レスポール自体の生い立ちが基本的にジャズギターとして誕生しています.音量を上げるとハウリングやフィードバックを起こしてコントロールが困難だったフルアコに対して同じ様な音圧音色をノンハウリングでプレイ可能なギターとして設計されたのがレスポールと言う楽器の背景です.

その後、図らずもジャズギターとしては不評だったのにロックギタリストに愛用されることでピックギター製作がメインだったギブソン社の花形楽器になった訳ですが、セットネックで分厚いボディ構成のこのギターは基本が音数の少ない演奏には太さや音圧感が売り物になりましたがハードで大音量で演奏されるととたんにその構造からローエンドが回って音が分離せずに早いパッセージ・プレイに音が追従出来ないという問題をも備えてしまっています.

重厚感が必須のヘビーメタル系のギタリストがレスポールをメイン楽器とせずにストラト系やPRSなどの楽器をメインとしてプレイするのも、ローエンドが溜まり過ぎず音の立ち具合が好まれている為です.レスポールはその構造から来る重厚なサウンドが音数の多い演奏でのカッティングには不向きな点となってしまっている為です.まあ、当たり前ですよね、だってジャズギターとして最初から特化した設計がされているんですからね.

そこでCCR-312とRetroCityではセットネックにしなくとも充分な音圧は得られる上にカッティングやストロークのレスポンスが抜群な特性を備え、かつLCVを基本コントロールとして組み込んでおりますので幅広い音楽ジャンルの必須サウンドにも違和感なくマッチ出来るのです.この2本の楽器は音の線が細いとかアンサンブルで抜けないなどの問題とは無縁の楽器です.
そもそも最初からそう設計していますからね.最初に最後が見えているか否か、物事全て最初からが肝心なんです.決して当ての無い旅に出てはいけません.必ず最後に喜びが待っている旅をすべきです.

*ちなみに.セットネック構造で楽器を作った場合、必ず音切れの悪さが付きまといますので、音をミュートして音を切る作業が必要になります.音符上での各音の長さに対して音をミュートし音の長さをコントロールする作業が、音切れの良いデタッチャブル構成の楽器以上に課せられてしまいます.
これは低音域は波長が長いのでボディが分厚ければそれだけ長く残留音として残ってしまうからです。
その状態で次から次へと新しい振動が重なる為に音が濁り易く分離が低下するのです。
またトップをアーチトップにした場合もトップ材が厚い為に音域バランスを考慮するとバック材もかなり厚めの設定がバランス上必要になります。レスポールが正にその良い例です。
その結果、レスポールの抱える問題点が付きまとい、反対にPRSのローが薄いのはトップ厚がレスポール同等有るのにバック厚が薄い設定だから低域が響かずローエンドが延びないのです。

セットネックがデタッチャブルよりいいとか、アーチドトップがフラットトップよりいいとか言うのは全くのデタラメと思ってくださいね。そう言った方がよりグレードが高い楽器と位置づけが出来て高価な価格が付け易いという製造/販売側の意向の現れと捉えるべきです。

デタッチャブル/フラットトップ構成でグレードの高い楽器は製作可能です。そちらの方が技術的難易度は高いんです。その証明をワタクシの作った楽器達がしています。

CCR-312を既に弾かれた方なら今ワタクシが申した事が一切のフェイク無き言葉だとご理解頂ける筈です.ですからレスポールの所有者の方やレスポールは必要としていないプレイヤーの方にも一度は手にして頂きたいモデルなんです.

もし将来ワタクシが死んでこの世を去った後、皆さんがtmpギターについて語られる事が仮にあったのなら、このCCR-312とRetroCityと言うモデル抜きでtmpの楽器を語って欲しくは無いと勝手ながら思っております.tmpユーザーさんであっても、この2本のギターを弾かずして語って欲しくは無いです.なぜなら、この2本のギターはワタクシと言う技術屋のバックボーンそのものだからです.(^ ^)

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