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経過報告 その他

7/21 ヨコハマ曇り空。

いきなり気温が下がって調子狂っちゃいますね。
写真はHさんのレスポールのチューンナップでヘッドに直接ロケーション位置出し中。元のペグ穴を埋木しロケーションをし直すのですが、その前にネックのセンターの延長上に在るべきヘッドのセンターに少々ブレが生じています。

ペグのロケーションはあくまでネックセンター延長上に適切に配すべきものですから、このままですとリロケーションした時点でロケーションのセンターと、ヘッドのセンターに当然ながらズレを生じる事になりますが、これは致し方ないのでこのまま正しい位置に加工し直します。

もう一枚の写真は板材から設計に応じた形状に切り出す際に、これまではラインにギリギリまでノコで追い込み、最後に大型のハンディールーターでテンプレートに沿って切り出し加工していたのですが、この方法は手っ取り速いのですが、4キロ以上有るルーターを安定させて引き回すのはかなり難しく、危険な作業でもあります。結構な腕力も必要ですしね。
長年この作業を行って来たワケですが腕力は徐々に衰えつつ有るので、怪我や失敗を避ける為にも、この際お手製でピンルーター・テーブルを製作して楽して安全な加工方法で行こうと決め、製作に取り掛かったのが写真で、まだトップテーブルを製作する前のショット。

材料も全てホームセンターで売ってる物を流用加工して独自なルーターマシンを作っています。楽器製作の半分はある種、治具製作でもあります。市販品に楽器製作向けの加工マシンなどある筈も無いので、全て自己流で精度と安全性も兼ねた製作治具を作って行く事が大切なんです。
この製作中のルーター・テーブルは手作りのヘッドピン方式ですが、新品購入すると百万以上はする中型のピンルーター・マシンと仕上がり精度は殆ど変わりません。買えなきゃ作っちゃえって事で。
要するにギターを作りたければ、作る為の物も自分で作れなくちゃプロにはなれませんよ、と言う事です。

メーカー工場の様にNCルーターや加工機械が揃った環境でなければ製作出来ない技術屋さんが増加する一方ですが、いざ彼らが独立すると限られた資金や環境下での製作の困難さにすぐに行き詰まってしまうのも、製作環境全てを自分一人で立ち上げた経験が無いからです。
結局は創意工夫の積み上げの上に完成品が成り立っているわけですからね。

こうした製作方の違い、加工段取りの違いも完成した楽器のクオリティにモロに直結しています。
ですから楽器は製作者によって同じモデルでも完成度は大きく異なって来るのです。
仮に、初期のギブソンやフェンダーと同じモデルを同じクオリティで作れる様になったところで、大した意味は無いでしょ? だって完コピ出来ただけってことですから。
少なくともワタクシには完コピなど無意味です。

お弟子さんを取らないのはなぜなんですか?とよく聞かれます。
「手工楽器はそもそも製作者個人そのものなんです。その本人が死んだら同じ楽器を作れる者も二度と現れない、そー言うものなんですよ。だから師匠が居なくちゃ楽器を作れない様な弟子が何人居たところであまり意味は無いんです。」って答えています。 だって、本当の事ですからね。(^_^)

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