個別報告 滋賀のHさん
5/2 巷は連休の様子ですが暦の上では今日は平日。幸い天候も晴れですから朝から塗装作業に集中。
写真のレスポールは燻煙処理も終了しておりましたが御本人がネックグリップ形状に不満を持たれておりましたので更にひと周りグリップを細めに仕上げ直し塗装処理も済ませました。
実際の生産現場では専用機械で大まかなグリップ加工されたネックは作業担当者の手で仕上げられて行くのですが、この時点で余程気遣いしないとラウンド形状に沿った直線出しが出ないんですね。形状に沿った直線精度は意識をしないと出せない作業だからです。
手に馴染まない、ストレスを与えるグリップはそうした現状から生まれてしまいます。
実際には作業者の方々の殆どはギターを普段弾いたりしていないですからどんなグリップにすべきなのか、そもそも知らない、興味が無い場合が非常に多い為に単純作業的に磨かれて行きますので様々なブレやデコボコな形状が出てしまいます。その上に塗装作業での塗膜仕上げでも研磨担当者は形状に気を留める事は無く、もっぱら艶を出す事に集中してますから生地加工での面ダレやセンター・ブレも、そのまんま仕上がって来ちゃうんです。
今回の作業では塗膜厚ギリギリまで形状精度出しを行なって部分的に形状修正した部分だけ塗装修正を行なってあります。結果、元の50's グリップよりも一回り握り易くスムースな形状に感じて頂ける筈です。
もし仮に50's グリップ自体が太過ぎると感じられる場合には、作業は塗膜を剥がして木部の削り修正から塗装処理の全てを行なう事になりますのでコストも2~3万程アップが見込まれます。
本日は、このレスポール以外にも総数7本の塗装工程を進めました。丁度この連休明けに次のコーティングが予定されます。皆さんお楽しみに。
追記:このHさんからチューンナップ依頼時に、自分はサンバーストよりゴールドトップのレスポールのサウンドの方が好み、との内容の連絡を頂いていました。この意見には一見、カラーリングで音に違いが出る訳ないじない、と思われる方も多いかと思います。
勿論基本的に同じラッカー・フィニッシュの同様塗装でサウンドが明らかに異なる事はありませんが、
生産時の材の仕分けに於いてカラーリングによる素材選択の傾向が現れると言う事実があります。
これはカラーリングによって、なるべく見栄えの良いゴージャスな木目の素材がサンバーストのカラーリングに選択されますので多くのサンバーストはソフトメイプル材がトップ材に選ばれている傾向が強いのは事実なんです。本当にハイグレードなトラ目材は材密度も高い上に見た目の美しさも備えていますが価格の安いエレキギターに古典楽器に採用されるようなグレードの素材はそうそう採用されるものでは有りません。それは単純に単価的に見合わないからです。
完全手工の古典楽器の裏板のメイプル材は土壌性質や水はけや日照具合の一定条件が整った個体にのみ現れるのが上質材でして基本的にじっくり成長した個体である事も条件の一つです。
決して表皮に現れるものではなく、トラ目であれば芯材と表皮の中間部分にくっきりと現れ、安定成長した素材である為に目の間隔も均一です。ですから非常に限られた部分材でありますので材木商は決して安売りしません。
でも量産品の中にはハイグレードなフィギャードメイプルが出てくる事も有りますが、それは現実には大量入荷した素材の中にたまたま紛れた当たり材に過ぎず、素材の多くはそこそこの素材です。
*例えば、ストラディバリなどに採用されていた素材と同じ産地、同グレード素材を現代入手しようと思ったら70万前後は素材入手価格だけで掛かりますが、エレキギターの素材単価はハイグレード製品用であってもその1/10にも満たないコストで入手可能です。
あらためて申しますがギターと言う楽器は基本的に安価な楽器であるという事を忘れてはいけません。
エレキで採用されている派手な木目材は木の表皮に近い部分に現れますので1本の木の中で最も柔らかい部分なんです。はっきり申せば本当は使えない部分と言ってもいい程です。その為に派手な木目のソフトメイプル材の楽器は音抜けが悪くコンプが掛かったようなサウンドが非常に多いんです。
反対に塗りつぶし系のカラーリング材には目が地味な素木が多く選択されますので、よりハードメイプル材が比率的多く見受けられたりすると言う現実も有るのです。見た目は地味ですが音はしっかりしている、そう言うケースが多いのも事実ですね。
その意味ではHさんの持たれている印象はあながち間違いではないと言えます。 以上、参考までに。
写真のレスポールは燻煙処理も終了しておりましたが御本人がネックグリップ形状に不満を持たれておりましたので更にひと周りグリップを細めに仕上げ直し塗装処理も済ませました。
実際の生産現場では専用機械で大まかなグリップ加工されたネックは作業担当者の手で仕上げられて行くのですが、この時点で余程気遣いしないとラウンド形状に沿った直線出しが出ないんですね。形状に沿った直線精度は意識をしないと出せない作業だからです。
手に馴染まない、ストレスを与えるグリップはそうした現状から生まれてしまいます。
実際には作業者の方々の殆どはギターを普段弾いたりしていないですからどんなグリップにすべきなのか、そもそも知らない、興味が無い場合が非常に多い為に単純作業的に磨かれて行きますので様々なブレやデコボコな形状が出てしまいます。その上に塗装作業での塗膜仕上げでも研磨担当者は形状に気を留める事は無く、もっぱら艶を出す事に集中してますから生地加工での面ダレやセンター・ブレも、そのまんま仕上がって来ちゃうんです。
今回の作業では塗膜厚ギリギリまで形状精度出しを行なって部分的に形状修正した部分だけ塗装修正を行なってあります。結果、元の50's グリップよりも一回り握り易くスムースな形状に感じて頂ける筈です。
もし仮に50's グリップ自体が太過ぎると感じられる場合には、作業は塗膜を剥がして木部の削り修正から塗装処理の全てを行なう事になりますのでコストも2~3万程アップが見込まれます。
本日は、このレスポール以外にも総数7本の塗装工程を進めました。丁度この連休明けに次のコーティングが予定されます。皆さんお楽しみに。
追記:このHさんからチューンナップ依頼時に、自分はサンバーストよりゴールドトップのレスポールのサウンドの方が好み、との内容の連絡を頂いていました。この意見には一見、カラーリングで音に違いが出る訳ないじない、と思われる方も多いかと思います。
勿論基本的に同じラッカー・フィニッシュの同様塗装でサウンドが明らかに異なる事はありませんが、
生産時の材の仕分けに於いてカラーリングによる素材選択の傾向が現れると言う事実があります。
これはカラーリングによって、なるべく見栄えの良いゴージャスな木目の素材がサンバーストのカラーリングに選択されますので多くのサンバーストはソフトメイプル材がトップ材に選ばれている傾向が強いのは事実なんです。本当にハイグレードなトラ目材は材密度も高い上に見た目の美しさも備えていますが価格の安いエレキギターに古典楽器に採用されるようなグレードの素材はそうそう採用されるものでは有りません。それは単純に単価的に見合わないからです。
完全手工の古典楽器の裏板のメイプル材は土壌性質や水はけや日照具合の一定条件が整った個体にのみ現れるのが上質材でして基本的にじっくり成長した個体である事も条件の一つです。
決して表皮に現れるものではなく、トラ目であれば芯材と表皮の中間部分にくっきりと現れ、安定成長した素材である為に目の間隔も均一です。ですから非常に限られた部分材でありますので材木商は決して安売りしません。
でも量産品の中にはハイグレードなフィギャードメイプルが出てくる事も有りますが、それは現実には大量入荷した素材の中にたまたま紛れた当たり材に過ぎず、素材の多くはそこそこの素材です。
*例えば、ストラディバリなどに採用されていた素材と同じ産地、同グレード素材を現代入手しようと思ったら70万前後は素材入手価格だけで掛かりますが、エレキギターの素材単価はハイグレード製品用であってもその1/10にも満たないコストで入手可能です。
あらためて申しますがギターと言う楽器は基本的に安価な楽器であるという事を忘れてはいけません。
エレキで採用されている派手な木目材は木の表皮に近い部分に現れますので1本の木の中で最も柔らかい部分なんです。はっきり申せば本当は使えない部分と言ってもいい程です。その為に派手な木目のソフトメイプル材の楽器は音抜けが悪くコンプが掛かったようなサウンドが非常に多いんです。
反対に塗りつぶし系のカラーリング材には目が地味な素木が多く選択されますので、よりハードメイプル材が比率的多く見受けられたりすると言う現実も有るのです。見た目は地味ですが音はしっかりしている、そう言うケースが多いのも事実ですね。
その意味ではHさんの持たれている印象はあながち間違いではないと言えます。 以上、参考までに。