停滞中 | tmpブログ

停滞中

10/14 なんだか、ここのところ湿度が高いままですね。今日も蒸してます。

写真はスロープヘッド化してる最中のショット2枚。段差R加工もこうして手作業で仕上げて行きます。
この段差Rの設定次第で微妙に楽器の反応の仕方が変化しますので、製作に於いてはその変化の仕方を利用して設定するのです。
簡単に言えば、素材自体の強度と加工Rの大きさに依る形状強度の変化を音作りに合わせて決定するって事です。
この段差Rを大きく取ればヘッド面の強度は増し音の溜も効き易いですが、特に細めの弦を張った場合は微妙な反応が得にくくなります。
反対にこのRを小さく設定すればヘッドは弦の張力に対してより踏ん張る状況に成りますからレスポンスは高まりますが素材強度が高く無い素材ではヘッドのめくれ上がりや変形の原因に成ってしまいます。同じ様な意味合いでヘッド裏のネック本体からヘッド裏面の繋(つなぎ)形状もヘッド面の強度に影響を与えますから結果的にレスポンスなどの形でサウンドに影響を与えています。
こうした部分の強度を落とす作業は燻煙処理を行っていない素材では個体に依っては楽器の変形を招く危険な処理となってしまいますね。
その全ては素材の個体差と最終的な楽器のキャラクターで都度判断していくものです。

tmp製の楽器はその設定から素材に対して従来の楽器以上に張力負荷を与えているのが大きな特色と言えますので素材の強度や張り具合を一定の高レベルにする必要がある為に必ず燻煙処理で素材強度を高めています。(弦の張力負荷をより素材本体に対して架けているからこそ、tmp製の楽器は同じゲージでも弦の張力はキツく感じないのに楽器本体がよく響くのです)

また近年建材メーカーさん中心に大きな倉庫内で材木を大ざっぱな燻煙処理を行っていますが、楽器に適した処理レベルには全く及ばないのであまり期待はしない方がいいでしょう。確実な燻煙効果を結果的に得るのはそんなに甘く無いです。
また、量産品の場合では素材の個体差を無視して均一な設定でライン加工を行う為に素材の個体差に合わせて設定を変化させる事は最初から考えられていません。

話を本題に戻しますが、ワタクシが作業に当たって使用弦を指定して下さいと必ずお願いするのもこうした製作ノウハウを出来る限り要望に対して反映させて具体化しようとするその為です。

また、音源や演奏スタイルやサウンドのイメージに一番近い演奏をしているプレイヤーなどをなるべく伝えて頂きたいと言うのもそうした最終的な落とし処を最初に決めてから作業をスタートさせたいからです。市販品は楽器屋さんで選べばいいだけですが製作に当たっては最終的にどんな楽器にするかを決めてから行うべきだと言うのがワタクシの製作にあたっての基本姿勢です。

完成した楽器の特色を説明する際にはなるべくですが、どんなスタイルやサウンドの著名プレイヤー向きなのかを記載する様にしているのも皆さんにそのイメージを伝わり易くするためです。
同じ様に皆さんも作業を依頼下さる際には出来る限りワタクシに要望するイメージを伝える努力をお願い致しますね。

適当によろしく!って、それで損をするのは他ならない皆さんご自身ですからね。よろしく(^ ^)/


P.S.:
ある種特色の様にも思える程、日本人は見た目ばかり気にしてサウンドに関する思考が浅く方向性が定まっていない場合が多い様に感じます。もしご自分がそうしたルックス重視である場合はあえてtmpにオーダーは・・・だって作る際に最初から落としどころが見えないのでは作業する側として困ってしまいますから。(^_^;)



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