衣(ころも) | tmpブログ

衣(ころも)

6/16 ヨコハマ午後には晴れ上がりはしましたが湿度が高くてどーにもなりません。

まあ、毎年梅雨時はこんなもんです。
塗装も燻煙も出来ないし、こんな時には半加工で寝かす為のボディ製作を行う事にします。
現在1本製作中のTELESA-SMMですが、同仕様のボディの2本目の加工に入りました。
このモデルはセンターのマホガニーが大ざっぱに言えば、くり抜き構造みたいなもんですから加工で出る木屑の量がハンパ無いのです。

家庭用の掃除機の数倍は吸い込める業務用の掃除機で木屑を吸い込みながら加工を進めるのですが、この1本のホロウ加工で出る木屑でこの掃除機が途中でパンパンになってしまいます。
それと厄介なのがこの湿気ですねえ。加工作業は庭に設置したテント内で行っている為に晴れた日には40度くらいまで温度が上がって汗だくの作業になります。

今日の様なホロウ構造の加工では体から吹き出た汗に細かな木屑がまるでトンカツの衣(ころも)みたいにベッタリと張り付いて来るんです。油で揚げたらウマそーな感じ。(^_^;)

今日の写真は「昨日と同じじゃん」って思われそーですが、今日はブリッジ台座段差加工が終了したのでチョイト確認の為にボディに乗っけてみたところのTELESA-EAのショットです。
この段差面にはスチール製の弦の通る穴を加工したプレートが取り付けられます。それも勿論1枚1枚手作りしたものです。裏通しで台座の弦穴から出た弦はこのプレートに触れる事でアースに落ちる仕組みです。ですからエレキ弦でもアコギ弦でもスチール弦でさえあれば問題ないのです。

EAモデルでは、より生アコのゴリッ!としたサウンドが欲しければアコギ弦、アコギのサウンドにエレキギターのニュアンスを付加させた感じでプレイしたければエレキ弦を張れば良いのです。この事がこのモデルのコンセプトそのものを表しているとも言えますね。

仮にこの楽器をメーカーさんがモデル化出来たなら、ギターの歴史に新たなページが開ける可能性は非常に高いでしょうね。まあ、量産であってもこのEAと同グレードの生産となるとそれなりに高額な製品になってしまうでしょうし、実際にはtmpの楽器には燻煙以外にも独自なノウハウが詰まってますからtmpと同じサウンドは他所ではまず出せないでしょうね。

とにかくワタクシの場合は沢山作って稼ぎたいって気持ちが元々無いので年間数本の製作しか行いません。弟子や従業員を雇ってある程度の生産を可能にすると言う場合には経営者がビジネスとして成功したいと言う意思や強い意欲が必要です。当然経営者としての責任もひとり背負う事になります。
そうなったら製作家としてよりも経営者としての気苦労が増大しますし、修理やら流行のモデルのコピー品製作まで稼げる事なら何だってする、ってスタイルになりがちですからワタクシはゴメンですね。
製作家は儲からなくても製作で生きて行けりゃいいんです。(^~^)

その製作家が死んだら二度と同じ楽器を作れる者は現れない。手工楽器はそれでいいんです。
それこそが楽器なんだと思います。
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