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$tmpブログ-0107 1/7 ヨコハマ快晴。
写真の2本はオーダー外で製作している楽器達です。
共に最終のコーティングに入っています。
素材に依ってまちまちの塗装期間ですが、多くの場合、ソリッド・スプルース材仕様に比べたら半分以下、2-3ヶ月以内の期間で塗装は終了出来ます。

左端のストラトのネックは貸し出しチェック用に準備を進めているストラト用に製作したスロープヘッド・ネックです。
明日の作業では新たに持ち込まれたCCRのネックをスロープヘッド仕様に作り替えの作業に入ります。既に新年に入って2本目の作り替え作業となりますね。

tmpユーザーさん達の中には3本前後tmp製を所有されている方が結構いらっしゃいますが、1本作り替えると次々とスロープヘッドへの作り替え依頼にとなっていくようです。
長年定番であったフェンダー系のフラットヘッド構造では張力バランスやベンド感などサウンドのトータル面で限界が出ますので一度スロープヘッドの楽器を手にされると変更要望が相次ぎますね。
よく頂く質問に「どうしてスロープヘッドにするとベンド域が広がるのでしょうか?」と言った内容のものがありますのでお答えしておきますね。
まず、スロープヘッド構造であったらどんなものでも同じ効果が得られるかと言ったら、それは全く違います。これは一般の方には理解しづらい点かもしれませんが、同じくアングルヘッドだからフラットヘッドだからと言って構造区分けでは同じ部類であっても、その構造設定次第では全くの別なバランスや特性になります。

俗にいう鳴らない楽器、バランスしない楽器、奏者が感情移入出来ない楽器の多くは張力設定がデタラメのモノが非常に多いです。まず弦自体が各ゲージ毎に一定のバランスされた張力設定を与えればバランスするように出来ているのに対して楽器本体の設定が大ざっぱな言い方をすれば、製作者/メーカーの自由に任されちゃっているのが大きな原因ですね。実際には楽器の設計には驚く程自由さは無いんです。
その原因が先ほど申した、張られる弦に適正張力を与える必要があると言う点です。それを踏まえた上で、質問に対する答えですが、従来のフェンダー系にみられるフラットヘッド構造ではナットから斜め方向から弦がペグポストに巻かれますので平坦な構造のヘッド面は奏者がベンドして弦を引っ張りますとなかなか目では確認出来ないのですが実際には微妙にヘッド面がその都度引き起こされているのです。
分かり易く言えば、ベンドの度にヘッド面がめくれ上がっていると言う事です。その結果、ギブソン系の様なアングルヘッドでは基本的にペグポストは真横方向から弦に引っ張られていますから、そうそうヘッドがめくれるという事は起こりませんがフラットヘッドではそれが起こるのです。
その結果、奏者がベンドした場合、ヘッド面がその弦を引き戻そうとする力が加わる為にベンドの溜を効かせづらいんですね。なんせヘッドが元に戻ろうと弦を引っ張ってるわけですから。

そこでtmpのスロープヘッド構造ではナットからヘッド面に繋がるR段差加工の先でアングルヘッドの様な傾斜を加えて、その引き戻す力を適度にセーブする設定を与えているのです。従来のアングルヘッド構造での特色はレンジの広がりが限定され指向性が強く出ますが、tmp・スロープヘッド設定の狙いはフラットヘッドのレンジ感とアングルヘッドの腰の強さや深いベンドワイズの双方の良さを満たす為のベストなミクスチャー・バランス設定です。
ですからワイドレンジのまま音のコシも強くベンドも深く掛けられるのです。その為に傾斜設定は非常に微妙な設定値となっています。その設定こそがオリジナルなのです。
またtmp-SHネックは製作の度に素材自体の強度個体差をその都度判断してヘッド厚や段差R加工の設定、ペグロケーションなど狙ったニュアンスを得る為の個々の設定加工を施しながら1本1本ネック製作を行っています。 もしこの説明でも理解が出来ない方はあらためてメールにてお問い合わせ下さいね。 では今日はこれで。