クリスマス午前四時十五分
東京タワーを昇っているが、どこまで行っても先がみえない。酸欠状態になり、やりたかったことや過去のことを思いだしていた。あと数分か。我々にとってラッキーだったのは、ドイツ陸軍で爆発物に詳しい人物がこの部隊にいたことだ。ただし、戦闘員ではない。もう1人もドイツ陸軍の化学班だ。今ごろユーチューブの視聴者は数百万、もしくは、世界各地でニュースに取り上げられ、数千万になってるかもしれない。おそらくテレビでも緊急ニュースで流れてるだろう。
ひたすら階段を昇っている。
「まおさん、ユーチューブの映像から、場所を特定できる?」「大使館にいるゆりから連絡があって、場所を特定できた。もうすぐ上のはず。」息を切らしながら、まおは話した。「がたん。」まおは倒れうずくまった。「矢神さん、先に行って。すぐに追い付くから」まおは笑って言った。もう会えないかもしれない。「愛してる。」こんな状況で言う言葉ではない。「私も」まおは微笑んだ。風が冷たい中、唇を重ねた。「必ず後で。」矢神も微笑みながら言った。

まおから電話を預かり先を昇り時計を見た。もう時間がない。
「あったぞ。」先を行っていた部隊員から、声が聞こえた。矢神も着いた。パソコンにカメラ、そして・・核爆弾がセットされていた。
早速部隊員が取りかかる。運命はいかに。
クリスマス 午前四時10分


電話が鳴った。來未からだ。良かった。無事だった。「もしもし。増上寺の地下に潜ったわ。墓を進んでる。もう、電波が届かなくなるかも。爆発に巻き込まれて何人かが犠牲になった。奥に進んで犯人を確保する。」「大丈夫か?こちらは、大変なことになっている。何とかテロを食い止めないと。」電波が途切れた。「矢神さん、爆発物は、この上よ。東京タワーよ。今ユーチューブで爆発物カウントダウンの映像がリアルタイムで流れてる。あと15分。」「何だって?すぐに逃げないと。」東京タワーで核爆発が起きれば、例え小規模でも霞が関、国会、大使館、企業は全滅だ。東京が終わる。今の時間をみると、すぐ近くにいる部隊数名で対処するしかない。
死を感じた。
まおは首を立てにふらず、ついてくるつもりだ。
「今から逃げても無駄。それなら、私もやるだけやるわ。」まおは笑った。
「わかった。行こう。みんな集まってくれ。」
加勢、まおを含め合計五人。東京タワーの階段を昇っていくしかない。
四時半近くに運命が決まる。來未達の部隊が犯人を確保し、爆発物の解除方法がわかる手がかりがつかめればいいが。
まだ夜は長く感じられた。夜明けは・・果たして。
クリスマス。3時50分。

矢神、加勢、まおは東京タワーに着いた。
各国連合の特殊部隊もいた。「これでは、目立ちすぎる。」矢神はつぶやいた。

しかし、待つしかない。レインボーブリッジ、東京タワー、増上寺・・そして、為替介入をしないことを決定した時点で犯人サイドはどうする?大使令嬢の死?それが目的なのか?このままいけば、莫大な損失がでるはず・・


あと、5分で四時に。

そして、朗報が届いた。最後の令嬢がレインボーブリッジで確保できた。「よし。」矢神は拳を握った。次は、突入して薬を見つける・・


「矢神、まずいぞ。今外務省から電話がつながっている。5人の大使令嬢の誘拐画像がユーチューブにアップされたらしい。そして、港区に、核が運ばれている映像が・・・」加勢がうずくまった。

「バン。」凄まじい音が響いた。増上寺から、煙がもうもうと雲に昇っている。他の場所からも煙が。

犯人の為替介入失敗時の保険・・それは、日本の混乱・・日本売り。

核に解毒薬の確保・・絶望的だった。

「同時多発テロ?」

増上寺に向かった來未は?