
第14話。クリスマスイブ。午後9時40分。
矢神と麻央は暗闇坂に急いだ。「加勢、今近くにいる人で麻布十番の暗闇坂に行ける人を数チーム手配してくれないか?」加勢に電話した。「麻布十番の暗闇坂か?大部分は海岸地域にいる。遠いな。オーストリア大使館には幹部しかいない。もぬけの殻だ。しかし数チーム向かわせる」「よろしく頼む」矢神自体、確証はなかった。しかし、かなりの確率だと思っていた。大門駅、芝パークプリンス、赤羽橋駅を過ぎ、麻布十番に向かった。現在午後9時47分。
「麻央さん。暗闇坂に数チーム向かってるみたいだ。ただ我々しか間に合わないかもしれない」我々だけだと絶望的だ。
麻布十番駅に着き、麻布商店街を車を走らせる。時間がない。あと5分くらい。焦りが出てきた。暗闇坂はもうすぐ。麻布商店街は人は少なかった。暗闇坂付近に車を停めた。あと3分。「大丈夫?麻央さん?覚悟は・・」「大丈夫。行きましょう」麻央が力強く言った。外を見回しても他のチームはいない。暗闇坂を登る。
あと2分。暗闇に人がいた。女性を連れている。間違いない。犯人だ。
どうする?相手は武器を持ってる可能性がある。
「麻央さん」小声で話し、指を差した。
犯人は辺りを見回しながら、ビデオで録画していた。何を?こちらを見た。見つかった。しまった。我々は近づいた。「ご令嬢を放してくれ」犯人に話しかけた。
「よくわかったな」犯人は笑っていた。
「海岸地域に皆行ってると思ったが」犯人はスーツを着ていてサングラス、黒い手袋をしていた。英語で話している。犯人は何故みんなが海岸地域に皆が向かってたのがわかったのか?
「解放しよう。ほら」令嬢を解放し、こちらに令嬢が向かってきた。ひどくおびえていて、顔面蒼白、うつろな目、薬の影響だろう。「麻央さん。ご令嬢を早くオーストリア大使館に避難させて。早く」「わかった」緊張が走った。「さて、オレはおいとまさせてもらうよ」犯人は再び笑った。そしていきなり後ろに回し蹴り。密かに到着した大使館職員が後ろから犯人を襲おうとしたが犯人は気づいていた。あっという間に2人がうずくまった。そして、何かを2人に刺した。完全にプロだ。矢神は足が震えて動けなかった。
「この2人にも聖杯を飲ませた。あと数時間だ。こいつらには解毒薬は渡さない」毒だ。毒を注射された。何てことだ。犯人はまたカメラを回した。
「お前はこないのか?ふふ、では、次の場所で会おう。期待してるぞ」犯人は後ろを向き走りさった。
大使館職員の元に駆け寄った。痛みで唸っていた。
大変な事態に追い込まれていることは確かだ。
暗闇坂での闘いは完敗だった。