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2018年クリスマスイブ。
長い1日が始まった。

今日は仕事が終わりロースクールの同期と合コンだ。
「お疲れ。」この物語の主人公矢神は声をかけた。相手は外務省職員の加勢だ。外務省国際局のエース。180センチ、髪は茶色、スタイリッシュな格好、いつも高いスーツを着ている。かなりのイケメンだ。なお、父親も外務官僚。「お疲れ。矢神。六本木は久しぶりだ。」矢神は東京港区職員。医大、ロースクール、司法修習を経て、東京港区役所で2年の任期付き(課長補佐として)で働いている。33歳、180センチの長身、独特な声と屈託のない笑顔で、女性にモテモテ・・と本人は勘違いしている。「加勢、今日はハメをはずそう。二人とも今はフリーだ。」実のところ、2人とも彼女がいない。
場所は六本木。地下鉄大江戸線直通のミッドタウンのレストラン。檜町公園の景色が見えている。クリスマスイブだけに人がごったがえしている。
「お疲れさまです~。」2人組の女性が来た。胸が大きい。そんな所ばかりに目がいってしまう。
二人組は加勢の大学つながりだ。もちろん東京大学である。矢神は、東京医科歯科大学を卒業後東大のロースクールに行き、加勢と同級生になる。合コンが始まり、夜6時を過ぎようとしていた。卑猥な会話で盛り上がっていた。クリスマスなのに・・。

「もしもし。加勢です。」加勢が外に出て電話中みたいだ。
「わかりました。」加勢が耳打ちしてきた。「矢神、すまない、緊急事態だ。一緒に来てくれないか?」
「おいおい。さっき始まったばかりなのに?」
「すまない。」顔が青ざめてる。よほどのことなのだろう。
「わかった。では、女性陣に言おう。」
「ごめんね。仕事が入ってしまってうちらは行かなければならなくなってしまったよ。」加勢が言う。
2人そろって、「ごちそうさまでーす。」女性は賢い。東大を出てこれか?
加勢が女性陣にレストラン代プラスαのお金を渡し、レストランを後にした。「タクシーで行こう。」加勢は急いでいるようだ。
元来、合コンは好きでない。加勢はもちろん大好きだが。運命的な出会いでなければいけないと考えていた。世界一好きになった人と結婚する、合コンでの出会いでは、好きになるなんてあり得ないと思っていた。昨年彼女と別れて以来、考え方が変わってきたのかもしれない。1
2人はタクシーに乗り込んだ。外は寒く、暗闇と光が不気味だった。
矢神はまおに向かって突進した。頭の中は真っ白だった。
「ドン。」
まおが持ってた銃が暴発した。まおの体から血が出てる。かなりの量だ。「なんてことだ。すぐ助ける。」矢神が弱い声でつぶやいた。「まお。もう時間がない。」「矢神さん。ごめんなさい。やむを得なかったの。」「わかった。暗号を教えてくれ。」「暗号は・・最初に示された数字と・・」まおは、矢神の耳にささやいた。「ありがとう。」矢神は暗号の数字を入力した。そして爆弾の起動がストップ。「矢神さん、彼らに・・復讐してね。」まおが泣きながら、倒れながら矢神にささやいた。
辺りはヘリコプターでいっぱいだった。ライトで照らされ騒然としていた。

数分後総理の緊急記者会見が行われた。首謀者が国外逃亡したこと。來未の部隊の突入成功により、解毒剤が確保でき、大使館令嬢は全員助かったこと。矢神、加勢の活躍が報告されたこと。為替が乱高下したこと。テロも最小限に抑えるけとができたこと。

まおの加担は伏せられていた。これがまた次の事件につながることになる。

数時間後、矢神、加勢は港区にある虎ノ門病院にいた。
「矢神、見事だったな。」「ああ。大変な1日だったよ。」矢神は痛みながらも加勢に笑顔を見せた。
「矢神、合コンの続きをしないとな。」「そうだな。ただし、元彼、來未とデートにまた行かないといけない。(笑)今回借りができてしまったから。」「そうか、しばらくはうちらはモテモテだから、もったいない。ところで、最後の暗号は何だったんだ?」「加勢、それは、また後日・・少し眠るよ。」

クリスマスの夜明け

核爆弾処理にとりかかる。風が強い。慎重な取り扱いが必要だった。

「あと数分だな。」加勢が矢神に話した。「矢神、すまない。こんなことになってしまって。」加勢は疲れ切った表情で話した。
「心配するな。必ずうまくいく。そしたら、ヒーローだ。」矢神は笑った。粛々と隊員が作業をする。何分か過ぎた。しかし・・「最後の数字、暗号がわからない。これがわかれば、核爆弾を抑えられるのに。」隊員が頭をかかえた。数字を入力しなければならなかった。十桁の。「また暗号か・・」矢神が話した・・そこに・
「ドン。」矢神は、体に熱いものを感じ倒れた。何だ???銃弾だ。そこに何発か銃声が。メンバー全て撃たれた。
「どこから?」矢神は苦しみながら、見上げた。
そこに立っていたのは、まおだった・・まおが銃を持っていた。
「何故だ?」加勢もうずくまりながら、まおに問いかけた。
「加勢君、私が内通者、あなたのおかげで、外務省の動きも把握できたわ。矢神さんは想定外だったけど。」なるほど。大使館の令嬢誘拐もまおのからみだった。完全に騙された。そして東京の崩壊・・放射能に汚染されてしまう。
「君も死ぬんだぞ・」加勢が声をだした。「私は死ぬ。ここで。どのみち私がこの計画に携わっている以上、死ぬしかない。」まおは涙を浮かべていた。そして空を見上げた。そこに一瞬の隙が生まれた。