仕事帰り、月を探しながら帰った。
空は漆黒。分厚い雲が一面を覆っていたんだろう。
月も星も、全てを隠すように黒一色に染まってた。
帰る気にもなれず、見晴らしの良い所に車を停めて空を眺めた。
いろんな事を思い返しながら、ただ空を眺めた。
きっとお月様も顔を見せたくないんだろうな。
きっと今の俺は、あの子と同じ月を見る資格すら無い。
そう思ってシートを立てる。
ふと、空が明るくなった気がした。
空を見上げると、雲の切れ間が白く輝きだした。
ジッと雲の切れ間を見つめる。
流れる雲の隙間から、白く輝くお月様が顔を出した。
作り物の様に白く丸い月だった。
その光に照らしだされたのは、それまで月を覆っていた分厚い雲。
月の光に照らされて、一際黒く見えた。
「俺は雲だな。」
そう思った。
月はそこにあって、ずっと輝いてた。
月が見えなくなったんじゃなく、雲が月を隠していただけ。
きっと俺の気持ちも、この雨雲のように黒くて分厚くて、そこにある大事な物を隠していたんだろう。
「私はここにいる。」
月がそう言ってるように見えた。
月を隠していたのは俺自身。
そう思うと泣けてきた。
自分で隠した月を、俺はずっと探してたのかもしれない。
自分のダメさを噛みしめた頃、空が白みはじめ家路に着いた。
無くした物は戻らないかもしれないけど、隠れてる物なら見つけ出せる。
ましてや、自分が隠してた物なら。。
昨日の月も綺麗だったよ。
きっと今日も明日も。これからずっと。
俺の中の月は白く輝いて、その度に君にこう言おう。
「今日も月が綺麗だよ。」