前回の続きです。

 

セカンドオピニオン顧問弁護士を雇うメリットは何か?

 

それは、①解決方法の多様性と、②弁護士の相性、特性の多様性です。

 

まず、①解決方法の多様性です。

解決方法といってもたくさんあります。裁判をするのか、裁判をせずに相手方と直接交渉するのか。また裁判をしても判決まで得ずに裁判官の勧めるところに従って和解するのかしないのか。これはまさに弁護士によってその事件の解決方法が大きく違ってくるところだと思います。また、中には判決をもらうべき事案とそうでない事案もあります。その見極めも弁護士によって違ってくるところだと思います。

 

裁判をすると当然時間と費用がかかります。それに納得した上で裁判をすれば良いのですが、他の解決方法は無いのか疑問に思った場合、相談できる弁護士がいるのといないのとでは大きく違います。

 

次に、②弁護士の相性、特性の多様性です。

前の記事で書いた顧問弁護士がいるのに相談できない、と言った方の顧問弁護士はかなりベテランの先生でした。このようなベテランの先生にこのようなことを聞いても良いのか?と気後れする気持ちは非常によくわかります。また、時間外対応や出張など、どうしてもフットワークの軽い弁護士と重い弁護士がいるのも事実です。

弁護士の相性や特性は、性格や性別といった一般的なものから、弁護士の年齢、経験年数、得意分野等によって大きく異なってきます。

この弁護士はベテラン過ぎて話しづらいけれど、この弁護士は年齢が近いから話しやすそうだな、という相性によって弁護士が選べるのは意外と大きいと思います。

 

では、どのような弁護士をセカンドオピニオン顧問弁護士に選べば良いでしょうか?

 

それは上に述べたメリットと関連しますが、まずメインの弁護士と全然似ていない弁護士を選ぶべきです。例えばメインの弁護士が大御所であれば、セカンドオピニオン弁護士は若手~中堅の弁護士を選ぶということです。

確かにベテランの先生は経験が豊富です。また、その先生を顧問にすることで箔が付くということもあるかと思います。こういったことからベテランの先生を顧問弁護士に据え置くというのはアリだと思います。

しかし、ベテランの先生は得てしてフットワークが重い先生が多いです。営業時間外の融通が利かない方も多いです。最新アプリ等の活用が出来ず、連絡手段が事務所の固定電話かFAXのみという先生も多いです。そして仕事をその事務所にいる若手弁護士(いわゆるイソ弁)に丸投げするという先生も多いです。そうなってくると、フットワークが軽く、営業時間外も動け、事件に直接あたることが出来る若手~中堅の弁護士を使いたい場面があるのではないかと思います。

要は、事件や状況に応じて自在に弁護士を使い分けることが出来る、というメリットがあるということです。

 

最後に、セカンドオピニオンの重要性はあるとしても、それを顧問弁護士にする必要があるのか?ということについて書きます。

すなわち、顧問弁護士の方針に疑問を抱いたら、何も顧問弁護士でなくても、他の弁護士に相談といった形で頼めば良いのではないか?という疑問についてお答えします。

 

顧問弁護士は、顧問という名のとおり、顧客である企業様と信頼関係が存在し、当然顧客である企業様がどういうことをしている会社か、顧客はどのような会社、人がいるのか(特定の企業を顧客にしているのか、それとも広く一般人を顧客にしているのか)、従業員は何名なのか、支社はどの程度あるのか、県外(海外)進出しているのかなどなどそのプロフィールをあらかじめ知った上で相談に乗ることが出来ます。

 

ところがそういった情報が無い弁護士が相談を受けても、上に述べた事情から聴かなくてはならず、双方迂遠でありますし、また企業のキャラクターを知っていないと、それに合った解決方法の提案が難しいといった問題があります。

そして結局満足な回答を出すことが難しく、相談された企業様としても結局よくわからないから顧問弁護士の方針で行こうとなるケースが多いように感じます。これではセカンドオピニオンの意味があるのか(そもそもセカンドオピニオンになっているのか)疑問です。

 

弁護士である以上、相談に来られる方が顧問先であろうとなかろうと、誠心誠意持ちうる知識や経験を駆使してお答えするのは当然です。しかし、やはり顧問弁護士であれば持ちえた情報や信頼関係があるのと無いのとではどうしても違いが出てくると思います。

やはり顧問弁護士という関係を築けたらベストであると考えます。

 

以上、長くなりましたが、セカンドオピニオン顧問弁護士、ぜひ活用されてみてはいかがでしょうか。

セカンドオピニオン顧問弁護士というものを設けました。

 

これは、従前他の弁護士と顧問契約を結んでらっしゃる企業様が、その弁護士の方針に疑問を抱いたり、思ったように活動をしてくれないなと感じたりした場合、別の顧問弁護士に相談できるというサービスです。

 

私は、たまに相手方となった企業様や金融機関様からその事件に関係することで相談を受けることがあります。

しかし、相手方からの相談を受けることは我々の業界では利益相反といってやってはいけません。そういった場合は「もし貴社に顧問弁護士がいらっしゃるようでしたら、その顧問弁護士に相談されてはいかがですか?」と言いつつ丁重にお断りしています。

どの企業様や金融機関様も非常に大きな会社様で、当然顧問弁護士がいらっしゃるケースでした。

 

また、他の機会で、ある企業の担当者様とお話をさせてもらった際に、「このようなことを相談しても良いのか分からないので、顧問弁護士に相談は出来ないんですよ」と言ってらっしゃいました。「顧問料は払ってらっしゃるのですよね?」とお聞きすると「払っています」とのことでした。

 

さらにあるケースでは、かなり年配の顧問弁護士であったようですが、ある企業の担当者様から「法律上このような手続があるにも関わらずなぜかうちの顧問弁護士はやってくれないのですよ」と相談を受けたことがありました。私が疑問に思って調べると、なんと法改正で最近認められるようになった手続を、その弁護士が把握していなかったというケースがありました。

 

私はこういったケースが身近にあると、顧問弁護士としての役割が果たせているのか?と疑問に感じます。

 

また、顧問弁護士と名乗っていても、顧客の皆様のニーズに合致しているのか分からないことがあります。例えば必ず弁護士事務所で相談をする、営業時間外対応をしてくれない、対応するのが顧問契約を結んだ弁護士ではなく、その弁護士に雇われている別の弁護士だ、などなど。

 

顧問弁護士として月額の顧問料を頂く以上、可能な限り融通は利かせるべきと考えています。例えば、弁護士事務所までお越し頂く手間と時間を考え、可能であれば企業様の事務所で相談をする、現場で話を聞く、営業時間外対応は当然、契約を結んだ当弁護士が最後まで対応するなどです。

 

私としては、上に述べたリーガルサービスが現在はまだ不十分なのではないかと疑問に感じています。

 

では、顧問弁護士の方針が納得できなかったり、そもそも顧問弁護士が満足に動いてくれなかった場合どうすれば良いのか?

 

顧問弁護士を変えるというのも一つの手でしょう。しかし、今まで付き合いが長く個人的な信頼関係のある弁護士と縁を切るのも忍びない気がします。

 

そこで登場するのがセカンドオピニオン顧問弁護士です。

メインの顧問弁護士の方針に疑問を抱いたり、メインの顧問弁護士が満足に動いてくれなかったりした場合に、セカンドオピニオン顧問弁護士に相談、依頼をするということです。

 

たしかに、セカンドオピニオン顧問弁護士を雇えばその分だけ経済的支出が増えます。

しかし、それを上回るだけのメリットがあるのです。

 

次回は、そのメリットと、ではどういう弁護士をセカンドオピニオン弁護士として雇えば良いのか?について書きたいと思います。