美容院に行くと、思い出す人がいる。



それは、シャンプーをしている時。

美容師さんが頭皮を心地よくマッサージしながら、

軽やかに指を滑らせていく。

その絶妙な力の入れ具合にうっとりとしている時、

「かゆいところは、ないですか?」

「洗い足りないところは、ないですか?」

とお湯加減とともに聞いてくれる。


私はいつも「大丈夫です。気持ちよいです」と答える。

そういうものだと思っていた。




…それは、数年前、会社の先輩と話しているときに

「この辺をもう少し洗ってとかって言うよ。いつも。

家族全員、そう言ってるよ」

とこともなげに言い放った。



それは、ある意味衝撃だった。

そうか。

あれは、先輩の家族のような人たちへの満足度をあげるため、

その気遣いのために放たれている言葉なのか…。

と気付いた。



単なる社交辞令的なものだと思い込んでいた。

サービス業って、色々なお客様と接しながら、改善を加えながら、

満足度の高いサービスを提供し続けていく大変なお仕事なんだな~。



改めてそう思ったエピソード。




そして、その先輩のことは、

美容院へ行ってシャンプーされるたびに、

そのエピソードとともにいつも思い出されるのです。




きっとこれからも、ずっと美容院に行くたびに思い出すんだろうな~。

何年経っても、その人が語ったエピソードとともにその人自身を思い出す。

そんなインパクトのある人に、私もなりたいものです。