半導体日記

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26Aug
- 半導体露光装置市場にNiconあり
  2019年の湯之上氏による以下記事によると、ASMLが圧倒的に強いと思われがちな露光装置市場には主にi線（365nm）、KrF（248nm）、ArFドライ（193nm）、ArF液浸（193nm）、EUV(13.5nm)という５つのカテゴリーがあり、必ずしもすべてのカテゴリーでASMLが支配的な立場にいないということがわかる。半導体装置市場、報じられない地殻変動…カギ握る台湾TSMCの動向、中国市場の挙動不審2015年以降、メモリ市場が爆発的に成長するとともに、それまで最大規模を誇っていた露光装置市場は、ドライエッチング装置市場に1位の座を奪われた（拙著記事『米中・...biz-journal.jpNiconはこの5つのカテゴリーの中で、EUV以外、すなわちi線、KrF、ArFドライ、ArF液浸の4つのカテゴリーにおいて露光装置を提供しており、ArFドライではトップシェア（＞60％）を持っている。しかしArFドライは5つのカテゴリーの中で出荷規模が最も小さく、2019年において露光装置全体のわずか4％、380億円程度となっている。ASMLが最先端かつ市場規模の大きなEUVとArF液浸のシェアを独占している一方で、ASMLとは勝負にならないニコンはそれ以外に焦点を当てているといった構図になっているのだ。ちなみに、Niconによる半導体露光装置の販売台数は21年34台、22年35台と従来から落ち込んだ。これは主要顧客の投資一巡などの影響もあり、販売台数が減少したとされている。しかし半導体市場の好景気もあり、2023年は61台に増える見通しである。その内訳はi線：32台、KrF：8台、ArFドライ：11台、ArF液浸：10台となっている。NiconはArfレーザと液浸法を組み合わせ、実行波長が134nmになる短い波長を実現した装置を提供している。EUVには及ばないものの、この組み合わせは、ニコンが世界で初めて製品出荷に成功した技術である。また重ね合わせ精度が2nm以下と超高精度かつ、毎時200枚以上も生産できる高い能力を持っている。最先端ではないもの、これら高い技術を生かし、半導体露光装置市場にNiconありと思わせるような装置をぜひこれからも提供していただきたい。
24Aug
- 夏のボーナスで全産業トップのディスコ
  ディスコは砥石の技術を軸に『切る』『削る』『磨く』工程を強みとする切断切削装置の大手である。今年3月期の売上高は2537億円で対前年比38.8%増、営業利益は915億円で対前年比72.3%と過去最高を大幅に更新した。時価総額も1兆1千億を突破し、夏季ボーナスは366万円と、なんと全産業のトップに立ったと報じられた。夏季ボーナス366万円「ディスコ」は何の会社？　半導体関連商品で世界的なシェア（デイリー新潮） - Yahoo!ニュース　日経新聞が発表した夏のボーナスで、全産業のトップに立ったのが「ディスコ」（東京・大田区）という会社だ。その額がなんと366万円だという。news.yahoo.co.jpディスコの強みは回路を形成した半導体ウエハーをチップに切り分けるダイサとウエハーやパッケージの表面を平坦化するグラインダである。それぞれインテルやTSMCを顧客として持ち、世界的にも高シェアを持つ。脱炭素化の加速などを背景に、ロジックＩＣやメモリ、パワー半導体など幅広い用途で半導体需要が拡大。それに伴い、半導体メーカの設備投資意欲が高まり、ダイサー、グラインダが年度を通じて高水準の出荷となった。また、顧客の設備稼働率も高水準で推移したことから、消耗品である精密加工ツールの出荷額も好調に推移した。微細化の進展が今後も見込まれており、そのためウエハーを薄く削ることや研磨の重要性が増している。この分野でトップの実力と実績を誇るディスコの牙城が崩れるとは思えず、半導体の好景気が続く限り、ディスコの躍進も止まる気配はない。
20Aug
- アドバンテストの好決算
  昨今の半導体不足は半導体試験装置市場にも空前の好影響を及ぼしている。半導体検査装置の世界大手、アドバンテストは2022年3月期の売上高が4169億円で前年同期比33％増、営業利益1147億円で前年同期比62％増となり過去最高を記録した。しかし2023年3月期の連結業績の予想としてはそれをさらに上回り、売上高5500億円で前年同期比31％増、営業利益1700億円で前年同期比48％増と予想している。アドバンテストは半導体製造の「後工程」のなかでも最終工程にあたる半導体テスタの大手である。半導体テスタには大きく分けて「SoCテスタ」と「メモリ・テスタ」に分かれているが、市場規模としては「SoCテスタ」の方が遥かに大きい。アドバンテストはこの半導体テスタの分野で世界シェア40～50％を握り、テラダイン（米）とほぼ世界シェアを二分している。実はこの2社による寡占状態が長く続いているのだが、その地位は一層強固になっている。製造装置の開発、販売、技術サポートには時間と資金が必要であり、新規参入が成立しにくいためである。となると半導体バブルによって世界中で製造キャパ拡大の取り組みが続く限り、アドバンテストの業績はさらに拡大するものと期待される。このバブルもいずれは終焉することになるのだが、アドバンテストには是非来期の売上高・営業利益の予想を実現して欲しい。半導体製造装置セクターの動向と今後の展望（東京エレクトロンの市場シェアが上昇。検査装置と設計システムの重要性が増す） | トウシル楽天証券の投資情報メディア毎週金曜日午後掲載本レポートに掲載した銘柄：東京エレクトロン（8035）、レーザーテック（6920）、SCREENホールディングス（7735）、アドバンテスト（6857）、ディスコ（6146）、ASMLホールディング（ASML、NASDA…media.rakuten-sec.netもちろんアドバンテストはこの好景気に胡坐をかくのではなく、攻めの姿勢を崩していない。付加価値を提供するためのデータアナリティクスの基盤を整備しており、FY20にはPDF Solutions（米）と資本、業務提携をを行っている。さらにパワー半導体テスタのCREA社（伊）の買収をFY22にも完了させる。こういった取り組みが花開き、さらに盤石な経営基盤を確立してもらいたい。
18Aug
- 半導体川上産業の雄、SUMCO
  SUMCOの業績が好調である。2022年4‐6月期の営業利益が263億円と、前年同期比で2.1倍となっている。さらに7-9月期見通しは275億円とさらに増える。それだけ半導体シリコンウエハーの需要が伸びているのである。SUMCOは半導体シリコンウエハーで信越化学に次いで世界2位のシェアを持っており、時価総額は7000億円超え。その強みはなんといっても今後さらに需要が伸びるとされている『エピタキシャル（膜気相成長）』ウエハーにある。データセンターやHPC、スマートフォンに対する需要増から、7nm世代以下のウエハーの需要は2022年から2026年にかけて、年平均成長率27％で伸びるとされている。そしてSUMCOは高い研究開発力と技術力を持っており、シリコンウエハー製造に関しては世界No.1の保有特許件数を誇るのである。そんな強みと需要増の追い風環境を生かすため、SUMCOは攻めの姿勢に出ている。佐賀県伊万里市の主力工場を中心に、国内外で計3400億円もの大型投資に踏み切ったのである。新棟は2023年後半に竣工し、24年に量産開始。そして顧客と長期契約を26年まで結んでいるため、26年までフル稼働が約束されている。国は半導体デバイス産業への投資を中心に考えがちではあるが、このような川上産業の企業への投資にも積極的に検討してもらい、優良企業をさらなる高みに引き上げてもらいたいと感じる。SUMCO､ウェハーは｢3400億円投資｣でも足りない──シリコンウェハーの需要は強そうですね。よすぎて困っている。顧客のウェハー在庫は払底しており、入荷するやいなや消費する「入れ食い」状態だ。先日もある海外顧客からのメールに「もっとウェハーを供給して…toyokeizai.net
16Aug
- インテルのtGPU生産遅延、TSMCの3nmプロセス展開にも影響
  インテルが今年2月（2022年2月17日）に開催したInvestor Meetingによると、PC向けCPUのロードマップは以下となっている。第12世代Alder Lake（Intel 7 "10nm ESF"）：2021年11月からデスクトップ用を発売開始第13世代Raptor Lake（Intel 7 "10nm ESF"）：2022年10月からデスクトップ用を発売開始予定 ⇒ Alder LakeとCPUのコアアーキテクチャは同じだが、最適化を実施第14世代Meteor Lake（Intel 4 "7nm EUV"＋TSMC 3nm）：2023年発売予定。Computeタイルはインテル自身が製造し、GPUタイルはTSMCに製造を委託の予定第15世代Arror Lake（Intel 20A "5nm EUV"）：2024年発売予定。ただし、以下記事（2022年8月9日）によると、Meteor LakeでのTSMC 3nmチップ採用に黄色信号がともっているようだ。tGPUチップレットの生産については当初、TSMCが2022年後半に開始する予定だったが、設計／プロセス検証において問題が発生したため、2023年前半にずれ込むことになったとのこと。さらにインテルは最近、その生産スケジュールを再度遅らせ、2023年末に開始予定としている。IntelのtGPU生産遅延、TSMCの3nmプロセス展開にも影響アナリストによると、Intelが近々発表を予定していたプロセッサ「Meteor Lake（開発コード）」に搭載するGPUチップレットの生産に遅れが生じているという。これによって、TSMCの3nmプロセス技術のロールアウトにも遅延が発生する見込みだ。eetimes.itmedia.co.jpインテルとTSMCの関係はとてもSensitiveである。TSMCにとって、インテルは最先端Nodeの重要顧客であると同時に、ファウンドリビジネスの競合相手でもある。先日のブログでも整理した通り、インテルはIntel 3（3nm）の量産を2H'23にも始めることを計画している。さらに『The CHIPS act of 2022』の法案成立に伴い、自社でのNode開発に追い風が吹く中、将来的にはTSMCへの依存からの脱却を目論んでいると思われる（勝手な予想だが…）。穿った見方にはなるが、TSMCのプロセスを使った自社製品の量産を遅らせ、その間に自社プロセスの立ち上げに注力することで、少しもTSMCにキャッチアップしようとしているのでは…とも考えてしまう。
15Aug
- PC・タブレットの今後の世界市場予測
  以下のIDCの記事（2022年6月8日）によると、コロナやウクライナでの戦争、インフレ等によってPCとタブレットの需要が減速している。2022年のPCの世界出荷台数は前年比8.2％減の3億2120万台、タブレットは6.2%減の1億5,800万台と予測されている。ただ、今後のデバイスの更新、堅調な商業需要、新興市場での普及が引き続き業界の推進力となるため、PC出荷台数はコロナ前の水準を大きく上回ると予測される。一方、タブレット端末は、PCやスマートフォンとの競合が引き続き成長を阻害するため、徐々に市場が縮小していく。ヘッドラインの印象だとPC市場が縮小していくととらわれがちではあるが、2021年が突出しているだけで、市場全体としては拡大傾向が続いていると捉えられる。PC Shipments to Feel the Effects of Global Headwinds with Shipment Volumes Expected to Decline 8.2% in 2022, According to IDCIDC examines consumer markets by devices, applications, networks, and services to provide complete solutions for succeeding in these expanding markets.www.idc.com
14Aug
- インテルの今後のNode計画
  インテルが今年２月に開催したInvester Meetingの資料によると、今後のFabのNodeとしては以下を予定している。 Intel 7 (7nm):現在稼働中 Intel 4 (4nm):2H'22に量産がReadyになり、23年に出荷開始予定⇒ EUV（極端紫外線）リソグラフィによる超短波長光を使用した非常に精細な印刷技術により、消費電力当たりのパフォーマンスがIntel 7から20％向上 Intel 3 (3nm):2H'23に量産がReadyになる予定 ⇒トランジスターのさらなる最適化とEUVリソグラフィの使用拡大により、消費電力当たりのパフォーマンスがIntel 4から18％改善 Intel 20A (2nm):1H'24に量産がReadyになる予定 ⇒業界初のバックサイド・パワー・デリバリーと呼ぶ半導体への新しい配電方式であるPowerViaと、新アーキテクチャのRibbonFETを実装 Intel 18A (1.8nm):2H'24に量産がReadyになる予定実に4年間で５つのnodeを立ち上げるというかなりアグレッシブな計画を立てている。実際、アリゾナ州に新たなファブ2棟の建設を進めているが、今年2月にはさらに、オハイオ州の州都コロンバス郊外に2つの新たな先端半導体ファブ建設に向けた200億ドルを超える初期投資を行う計画を発表している。『The CHIPS act of 2022』が先日成立したが、その成立にインテルも大きく寄与しており、その法案の成立をあてにしてこれらFabの建設計画が立てられてきたのは言うまでもない。そしてこのオハイオ州のFabはとんでもないメガサイトになる予定となっている。プロジェクトの初期段階で直接雇用3000人と間接雇用7000人が創出されるほか、全体で数万人規模の長期雇用が生まれるとインテルは予想している。このサイトへの総投資額は今後10年間で1000億ドルに達する可能性があり、半導体産業における世界最大規模の半導体製造サイトの一つになるという。TSMCの追撃態勢をまさにこのFabで整えようとしているのである。Fabの建設計画とともにビジネス構築についても攻勢に出ている。2021年7月の発表によると20Aのプロセスノードでクアルコム向けチップを製造するとのこのこと。IntelがQualcommと提携し新チップを製造すると発表、2025年までのロードマップも公開Intelが2021年7月26日に、今後の製品開発のロードマップを発表しました。その中で同社は、新たな命名規則によって名付けられた「Intel 20A」のプロセスノードで、モバイル向けSoCに強みを持つファブレス半導体企業のQualcomm向けにチップを製造することを明かしました。gigazine.netさらに先月、2022年7月25日の発表によると、台湾MediaTekの半導体製造を請け負う戦略的パートナーシップを締結しており、スマートエッジデバイス向けチップを製造する予定。IntelがMediaTekの半導体製造を請け負う長期的なパートナーシップを締結　米Intelは25日(現地時間)、台湾MediaTekの半導体製造を請け負う戦略的パートナーシップを締結したと発表した。Intelが2021年より展開している製造受託事業「Intel Foundry Services」(IFS)がチップの製造を手掛ける。pc.watch.impress.co.jp国の支援を得ることとなったFabへの取り組みが果たして実を結ぶかは、まさに開発スケジュール通りに各nodeを立ち上げられるかにかかっており、それによって今後のインテルの命運が決まるといっても過言ではない。
13Aug
- インテルの苦境
  昨今の景気後退に対応するため、シリコンバレーのハイテク企業はすでに様々なコスト削減策を打ち出している。オラクルはマーケティング部門の人員を削減し、ShopifyやAlphabet、Appleなどは採用を控えるか、従業員数を減らしている。注目すべきは、これらの企業はインテルよりも収益のプレッシャーにさらされていないことだ。インテルCEOのパットゲルシンガーは、インテル復活のための様々なプランを練っている。半導体製造ではサムスンやTSMCに対抗し、グラフィックスチップではNVIDIAの支配を打破し、AIアクセラレータチップでは競合他社に対する優位性を築き、自動車用チップではさらなる利益を上げるため、人員を増加させているのだ。しかし、『The CHIPS Act of 2022』の法案が成立し、その多大な恩恵に授かるであろうインテルにとって、急速な利益回復が必要となる。7月末に発表した22年4～6月期決算はパソコン向けの販売減速や製品出荷の遅れが響いて13年ぶりの営業赤字になった。つまり新技術やインフラへの投資と同時に黒字化を実現しなければならず、その緊急性は増している。パットゲルシンガーは今後さらに難しい舵取りが迫られる。【参考文献】日経新聞：米国「半導体法」成立の陰にインテル　復活は予断許さず　2022年8月10日
12Aug
- 半導体めぐる米法案の成立②
  今回成立した『The CHIPS Act of 2022』では、半導体の研究開発と国内製造に527億ドルを確保し、そのうち390億ドルはメーカーへの奨励金として、20億ドルは自動車と防衛用のレガシーチップの製造に充てられる。さらに132億ドルが研究開発と人材育成に投資される。法案成立の背景としては、US国内における半導体生産の落ち込みが一番に挙げられる。1990年代には37％であったUS国内生産は、現在12％に過ぎず、海外の企業に大きく依存する状況となっているのだ。インテルはオハイオ州コロンバス郊外に200億ドルをかけて半導体製造工場の建設計画を進めていたが、法案成立前、起工式を遅らせている。CHIPSを通過させるために立法府に圧力をかけることを目的とした「演出」だという憶測を呼んだのだが、それはこの法案成立によりインテルが多大な恩恵を授かることを意味している。他にも、この法案成立を前提に、様々なUS国内回帰の動きが活発化している。マイクロンはメモリーチップ製造に400億ドルを投資することを発表し、最大4万人の新規雇用を創出するとしている。この投資により、メモリチップ製造における米国の市場シェアは、今後10年間で2%未満から最大10%に拡大する見込み。クアルコムとGlobalFoundriesは、GlobalFoundriesのニューヨーク州北部の半導体工場を拡張してチップを製造するために42億ドルもの新しい提携を発表。クアルコムは、米国での半導体生産を今後5年間で最大50%増加させるとしている。今後さらに半導体製造のUS国内回帰の動きは加速するはずであり、日本企業がそれにどのように関わるべきかについては改めて国家戦略レベルで検討すべきである。
11Aug
- 半導体めぐる米法案の成立①
  アメリカが半導体分野への7兆円を超える補助金を含む法案を成立させたことに対し、中国政府は「差別的な産業支援策だ」と反発している。半導体めぐる米法案の成立「差別的な産業支援策だ」中国反発（テレビ朝日系（ANN）） - Yahoo!ニュース　中国への対抗を念頭に、アメリカが半導体分野への7兆円を超える補助金を含む法案を成立させたことに対し、中国政府は「差別的な産業支援策だ」と反発しました。　アメリカのバイデン大統領は9日、半導体のnews.yahoo.co.jpでは実際どのような法案が成立したのか、以下のSummaryから援助金額と援助先、援助内容について整理してみた。半導体に関しては総額は527億ドルとなる。The CHIPS Act of 2022:Section-by-Section Summaryhttps://www.commerce.senate.gov/services/files/592E23A5-B56F-48AE-B4C1-493822686BCB CHIPS for America Fund: DOC（商務省）製造奨励金：半導体製造、組立、試験、高度なパッケージング、研究開発のための国内施設および設備の建設、拡張、近代化のための資金援助390億ドル DOCの研究開発に110億ドル CHIPS for America Workforce and Education Fund: 全米科学財団の活動を活用し、近い将来労働力不足に直面する国内半導体労働者の育成を開始するため、2億ドルを拠出 CHIPS for America Defense Fund: 大学でのプロトタイピング、半導体技術の研究室から工場への移管のため、国防総省に対して20億ドル提供 CHIPS for America International Technology Security and Innovation Fund: 5億ドルを国務省に提供し、セキュアで信頼できる通信技術や半導体の開発・導入を支援
10Aug
- ウエハー洗浄装置でトップシェアののSCREEN
  SCREENは半導体の洗浄装置のトップメーカーであり、世界的な半導体需要の増加の恩恵を受けている企業の一つである。7月27日に発表した2022年4～6月期の連結決算は、純利益が前年同期比2.6倍の160億円だった。主力の半導体製造装置の販売がインテルやTSMCの大型投資を追い風に伸びた結果である。24年3月期を最終年度とする中期経営計画も見直した。売上高目標は従来の4000億円以上から5000億円以上に引き上げた。営業キャッシュフローは4年間の累計で2400億円以上と従来計画の2倍を目指す。約160億円を投資して主力装置の生産能力を2倍に引き上げることも発表するなど、今後のさらなる需要拡大に向け、着々と準備を進めている。SCREEＮはウエハーを1枚ずつ洗浄する『枚葉式』、数十枚のウエハーをまとめて洗浄する『バッチ式』それぞれのウエハー洗浄装置で断トツのシェアを持っている（市場規模、シェア等は以下記事参照）。製造装置の国産化を加速する中国「中国製造2025」の一環として半導体産業の強化を掲げる中国。今、中国国内には巨大な半導体製造工場が立ち上がりつつある。半導体製造装置については日米欧の寡占状態にあるが、中国は製造装置の内製化も進めようとしている。中国による製造装置の国産化は、どの程度まで進んでいるのか。eetimes.itmedia.co.jpSCREENの強みはその技術力の高さである。以下の半導体製造装置に関する特許資産規模ランキングでも、3位に位置している。半導体デバイスの微細化・多様化に伴い、微細なパターンの倒壊抑制や微小パーティクルの制御などの課題をクリアし、さらに高い生産性と安定稼働を実現しなければならない。この実現のため、他の追随を許さない研究開発を進めている。【半導体製造装置】特許資産規模ランキング　トップ3は東京エレクトロン、AMAT、SCREENホールディングス　弊社はこのほど、独自に分類した「半導体製造装置」業界の企業を対象に、各社が保有する特許資産を質と量の両面から総合評価した「半導体製造装置業界　特許資産規模ランキング」をまとめました。2019年4月1日から2020年3月末までの1年間に登録された特許を対象に、個別特許の注目度を得点化する「パテントス...www.patentresult.co.jpこの優位性は当分崩れることはなく、来期も増益が続くなど、強い基調が継続すると予測されている。
09Aug
- マスクブランクスで高シェアを持つHOYA
  HOYAが好調である。8月4日に第1四半期決算を発表、税引前利益は615億円で前年同期比20.6％増となり、530億円程度の市場予想を大きく上回る着地となった。株価はこの1か月ほどで25％以上値上がりしている。好調の要因の一つである半導体分野では、回路露光の原板の材料となるマスクブランクスで高シェアを持っている。信越化学工業とあわせると世界シェア9割と、ほぼ寡占状態に。さらに、次世代半導体向けのEUVリソグラフィに対応したマスクブランクス製品については、かれこれ20年以上技術開発を続けており、HOYAの事業規模拡大の原動力となっている。EUVは波長13.5nmの極端紫外線のことで、回路パターンを微細化する技術として、最有力視されている。現状参入できているのは旧旭硝子のAGCとHOYAの2社のみ。現状は先端向けR&Dが中心のため、半導体市場の調整影響はほとんど受けておらず、今後半導体の微細化が進むと共に大きく需要が伸びることが予想される。参考文献：週刊エコノミスト（2021/6/8）
08Aug
- 信越化学工業の強さの秘訣
  昨日取り上げた東京エレクトロンは時価総額が7兆8千億円にまで達しており、国内のランキングでは10位につけている。半導体関連企業でそれに匹敵する時価総額に達しているのが信越化学工業であり、現在7兆2千億円となっている。時価総額ランキング【株式ランキング】 - みんかぶ（旧みんなの株式）2022/08/08 - 時価総額ランキング（株式ランキング）。上場市場、業種で条件を絞ってランキングが可能です。ランクインしている企業の最新株価・前日比・目標株価も掲載しています。2022/08/08時点の時価総額順位上位はトヨタ（7203）、ソニーＧ（6758）、ＮＴＴ（9432）がランクインしています。minkabu.jp信越化学は総合化学大手で、半導体シリコンウエハー世界シェア1位。半導体シリコン事業で全事業の営業利益の約4割を稼ぐ。メモリーなどに使われる主力の300㎜ウエハーでは需給がタイトな状況が続いており、生産能力の増強も進める。200㎜ウエハーも同様に品不足に陥っている。さらに感光材のフォトレジストも手掛けており、その世界シェアは2位。フォトマスクブランクスは世界シェア2位であり、1位のHOYAとあわせると9割を占め、寡占状態となっている。先月発表された2023年3月期連結業績の予想では、売上高2兆5500億円、営業利益8250億円、純利益5880億円となっており、過去最高の増収増益となっている。では信越化学はなぜここまで強いのか。半導体シリコンウエハーの側面だと、昨今の半導体不足からサプライヤーがより優位な立場になったのが主な原因となっている。半導体不足によってユーザー、つまりは半導体メーカーやファウンドリーなどの製造側の調達リスクが浮かび上がったのである。それにより、サプライヤーはユーザーとの間で長期契約を結び、さらに値上げも通すことまでできた。一般的には、材料を選ぶ側のユーザーが優位な立場となり、材料メーカーは価格競争や値下げ圧力にさらされるのだが、サプライヤーが限られる状況だとサプライヤーの存在感が一気に高まり、サプライチェーン上の必要不可欠なパートナーとなるのである。製造側としてはいくら量産したい半導体チップがあったとしても、製造に必要な半導体シリコンウエハーがなければ何もできないのである。いわゆるマイケルポーターの5 Forcesにおいて、まさに売り手の交渉力が高い事例なのである。長期契約を締結することで信越化学は安定した供給先を確保でき、今後さらなる技術開発に専念できることとなる。
07Aug
- 東京エレクトロンの快進撃
  東京エレクトロン（TEL）の業績が好調だ。2022年6月に発表されたFY22の売上高は2兆円を突破し、営業利益は5992億円、営業利益率は29.9%、ROEは37.2%。中期経営計画の財務モデルを2年前倒しで達成している。そしてこの夏、賞与を平均30万円上積みし、管理職などには株式を交付する。合計支給額は平均300万円を超え、過去最高となっている。もちろん業績が好調というのもあるが、待遇の向上によって社員の流出を防ぎ優秀な人材を確保したいという意図も透けて見える。それだけ半導体業界では今、世界的に人材の争奪戦となっているのだ。2021年の半導体製造装置メーカー売上高ランキングでは、Applied Materials（米）、ASML（蘭）、Lam Research（米）に次いでTELは4位となっているが、Lamと共に売上高160億ドルを超えており、為替レート次第ではTELが3位となってもおかしくない。2021年の半導体製造装置メーカー売上高トップ15、日本企業は7社がランクイン半導体市場動向調査会社であるVLSI Researchが、2021年の半導体製造装置メーカー売上高ランキングトップ15を発表した(各社の売り上げには、装置本体だけではなく、装置保守サービスの売り上げも含む)news.mynavi.jp半導体製造装置業界はプロセスの超微細化によって、それに対応できる装置を提供できるトップ企業による寡占化が進んでおり、トップ5社によって市場全体の70％が占められている。TELはその一角を占めており、半導体製造の分野においてはもはや欠くことのできない企業となっている。TELの強さを物語る要素の一つとして、その特許力があげられる。国内ではあるが、他社牽制力ランキングではトップとなっている。この強さを維持するためにもただ、プロセスの進化に対応するためにそれ相応の投資、そして優秀な人材の確保が重要となってくるのだ。【半導体製造装置】他社牽制力ランキング2021トップ3は東京エレクトロン、SCREEN、AMATwww.dreamnews.jp
06Aug
- 東芝半導体の行方
  東芝は昨年11月、エネルギー・インフラ事業、デバイス・ストレージ事業をそれぞれ独立会社としてスピンオフすることを発表。しかし、今年2月にはデバイス・ストレージ事業のみをスピンオフし、エネルギー・インフラ事業は東芝本体に残す2分割案に変更している。しかし、今年3月の臨時株主総会で株主の賛成を集められず、株式の非公開化（非上場化）を含めた再編の検討が進んでおり、まさに混迷を極めている。そんな予断を許さない状況ではあるものの、デバイス・ストレージ事業の主力製品であるパワー半導体は好調のようである。今年2月には、パワー半導体を生産している子会社の加賀東芝エレクトロニクス工場で、同社初となる300㎜ウエハー生産ラインの稼働開始時期を23年度上期から22年下期に前倒しすると発表した。さらに、300㎜ウエハー対応の新製造棟も建設し、24年度中の稼働開始を目指す。生産能力は21年度比で2.5倍に増強されるとのこと。これらを可能にするため、23年3月期のパワー半導体への投資額は1000億円にものぼる。さらに、東芝の研究所にはパワー半導体の次世代の素材として注目されいてるSiCの開発チームが温存されている。東芝メモリがキオクシアに生まれ変わり、世界と伍して戦っているのを見ると、ぜひデバイス・ストレージ事業をスピンオフさせ、日本を代表する企業へと生まれ変わらせてほしいと願う。パワー半導体は日本が現在も世界で戦えている領域であることから、ぜひこの事業が拡大成長できるような環境や体制を少しでも早く構築してもらいたい。
05Aug
- 半導体製造装置に対する投資額
  コロナの影響による半導体不足の影響を受け、世界的に半導体製造装置に対する投資額が増えており、今年は過去最高の1090億ドルに達する見込みとのこと。国別では台湾が340億ドル、韓国が255億ドル、中国が170億ドル、米国が93億ドルと続く。これにより、世界的な生産能力が今年8％、来年はさらに6％増加するとみられている。さらには国による支援策も拡充している。日本では先端半導体工場の新設や増設を支援するための関連法改正案が昨年12月に閣議決定され、2021年度補正予算案に、財源として6170億円を計上。まずはTSMCなどの新工場向けには、当初の設備投資額の半分にあたる約4000億円の拠出を想定している。韓国では7月25日に「半導体超強大国達成戦略」を発表。企業の半導体分野への設備投資については、大企業の税額控除率をこれまでの６～10％から中堅企業と同水準の８～12％にするといった優遇策がとられることとなっている。しかしそれらを大きく上回るのがアメリカである。つい先月（2022年7月28日）、米上院が半導体補助金法案を可決させた。近く下院でも可決され、成立の見通しとなっている。その中身としては、半導体産業向けインセンティブ制度のCHIPSに527億ドルの予算を充てるほか、半導体製造に関する投資に対して25％の税額控除導入となっている。半導体はもはや国の支援が必要不可欠な業種となっており、それなしでは企業は海外の競合と伍して争えないか、長期的に十分な成長が見込めなくなっている。世界的なメガトレンドを注視しつつ、自国の競争戦略を根本から見直し刷新する時期が来ている。
04Aug
- ペロシ米下院議長の台湾訪問
  8月2日からのナンシー・ペロシ米下院議長の台湾訪問を受け、米・中国間の緊張が高まることとなった。ペロシ氏は大統領権限を継承する順位が副大統領に次ぐ2位の要職となるため、実質アメリカのNo.3となる。そのペロシ氏が台湾支持の姿勢を示すことで、それはもはや彼女自身の考えではなく、アメリカの国家としての姿勢として捉えられることとなる。その結果、中国からの反発を受け、台湾周辺での中国海軍による軍事演習や日中外相会談の中止という結果を招いた。さらにこの事態を受け、半導体株が世界的に下落している。台湾には世界最大の半導体受託製造会社、TSMCや同業のUMC（United Microelectronics Corp）が存在する。両社の株価はそれぞれ2.4％、3％下落した。NVIDIA、インテル、クアルコム、マイクロンなど米チップ銘柄は0.7～1.9％の下落。フィラデルフィアSE半導体指数(.SOX)は1.1％下落した。欧州ではインフィニオンが1％下落し、オランダのASML、ASMI、BESIは2～3％下落した。半導体業界にとって、台湾地域の安定がいかに重要であるか改めて示すこととなった。
02Aug
- キオクシア
  政府は5G促進法に基づき、キオクシアとウエスタンデジタルの合弁会社による先端半導体の生産設備整備計画に対し、最大約929億円の助成金を交付することが先月発表された。四日市に建設予定の半導体生産設備の整備費用が対象となっており、2024年3月に操業開始を予定している。生産予定のメモリーは電子回路の積層数が162層の第6世代製品となる。ちなみにキオクシアは岩手の北上に新たな半導体の製造棟を建設中で、2023年の竣工を予定しており、そちらでの総投資額は1兆円になる見通し。つまり四日市と北上の２か所で約２兆円の投資が動いている訳だ。その背景としてはAIや5G、自動運転などの普及で中長期的な需要拡大が見込まれており、特に3次元フラッシュメモリーの生産能力増強に力を入れているのである。そもそもNAND型フラッシュは首位の韓国サムスン電子をキオクシアやウエスタンデジタルが追い上げる構図となっており、サムスンがトップシェア30％を保持しているのに対し、キオクシアは20%（いずれも2021年のデータ）となっている。さらにはSKハイニックスも勢いに乗っており、キオクシアとしてはなんとしてでも今回の投資をてこに、現状の地位を維持だけでなく、シェア拡大に努め、サムスンの追い上げ体制を確立したいところである。
01Aug
- 日本の半導体産業復活に向けて
  この1年足らずの間に、半導体産業に対して政府が主導する、あるいは後押しのある取り組みや活動が加速しており、頼もしい限りである。それら取り組みを以下に挙げる。 TSMCとソニーグループの合弁会社が熊本に半導体新工場建設 TSMCがつくば市に半導体『後工程』の拠点設立日米で次世代2nm半導体共同開発に向け試験製造ライン設置経産省がキオクシアとWDが新製造棟の設備投資に対して929億円出資半導体製造に関して世界トップをひた走るTSMCとの関係を強化しつつ、TSMCに依存しすぎない半導体製造のサプライチェーンを実現するために米国とパートナーシップを強化しようとする戦略については大いに理にかなっていると言える。日本は世界に誇る半導体製造技術を保持しており、この戦略を通じてまずはその優位性を強化してほしい。さらにソニーのイメージセンサー、キオクシアのフラッシュメモリーなど、ルネサスのマイコンなど、世界をリード、あるいは伍して戦うことができる半導体メーカーが日本には存在しているので、それらを政府が後押しすることで、日本の半導体産業全体を盛り上げてほしい。さらには世界に誇る半導体のエンドユーザーであるトヨタなどの自動車メーカーのバックアップも必要となるだろう。まだまだ政府主導で打てる手はあるはずであり、官民一体となり、タイムリーかつ”理にかなった”さらなる支援を期待したい。
30Jun
- 日本の半導体産業の凋落
  以下記事では日本の半導体産業凋落の主要因として、以下の７つを挙げている。　(1)日米貿易摩擦によるメモリー敗戦　(2)設計と製造の水平分離の失敗　(3)デジタル産業化の遅れ　(4)日の丸自前主義の陥穽　(5)国内企業の投資縮小と韓台中の国家的企業育成　(6)過剰品質へのこだわり　(7)半導体を知らない本社主導の弊害どれも要因として重要なものばかりであるが、私としてはやはりリーダーシップの欠如が極めて重要な原因だったように感じる。全体整合のとれた方向性を打ち出し、周りを巻き込み、納得させ、ぐいぐい引っ張っていくような企業側のリーダー、あるいは国側のリーダーが現れなかったことが問題だったのではないか。逆にTSMCでは創業者である張忠謀（モリス・チャン）がカリスマ的なリーダーシップを発揮して今のTSMCの繁栄を築いたことは紛れもない事実である。一部門、一事業、あるいは一つの会社レベルにとどまる議論ではなく、世界を鑑みて国家としてどうあるべきかを語れるような、そして実行力を持ったリーダーの登場をこの業界では待ちわびている。半導体逼迫：TSMCはなぜ強いのか、日本が凋落した理由とは（JBpress） - Yahoo!ニュース■　4.日本の半導体産業が凋落した主要因　本項は、経済産業省の「半導体戦略（概略）」（2021年6月）を参考にしている。　日本の半導体産業は、1988年に世界の売上高のシェア50.3％を占めnews.yahoo.co.jp

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