TMC 例会スピーチ ♯10: 聴き手を奮い立たせる
一般目標:聴き手の心に訴える
具体目標:身近なエピソードを通して、聴き手に自身の想いを訴える
題  名:「想いと意思と」
注 意 点:ドラマ的要素を取り入れ(ストーリー、エピソード、引用文)、感情にアピールする。モチベーションの高揚を訴えることで、聴き手を奮い立たせる。
 
10回目のスピーチの原稿です。
迷った末に、自分自身が変わった時のその切っ掛けをそのまま伝えることにしました。自分自身の心と向き合った、そんな不思議な気持ちになったスピーチです。
 
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題  名:「想いと意思と」
 
<序論>
「人の想いが、人の意思が、その人の在り方を形創る、それが人生」
今まで生きてきて、私が感じたことです。座右の銘という程の大仰なものではありませんが、強く信じているものです。

皆さん、自分自身のこと、好きですか。自分が好きになれない人、いませんか。私はどう見えますか?
 
<本論>
小さい頃、と言っても、もう20年以上も前、ピカピカの小学生であった私は、活発過ぎるほど活発だったみたいです。授業で出される問題には、兎に角手を挙げて答えを言おうとしてました。
 
 算数の問題だったと思います。元気いっぱいに手を挙げて、答えは10です!と行った覚えがあります。そしてその答えは間違っていました。先生に「よく考えてから、発言しなさい」と苦笑いの声、そしてその後に起きるクラスメイトのからかいの声。この事を境に、私は積極的に手を上げることを辞めました。失敗して、間違った発言で恥をかくのが怖くなったんです。
 
小学生の思い出なんて、ほとんど覚えていないものです。しかし、その瞬間だけは今でもハッキリ覚えています。
 
その後の学生生活は、自分が間違ったことを言っていないか、人の目を常に気にする様になりました。自分が、みんなと一緒にいるには、自分は皆が望むべき人、でなくてはならない。
 
何時しか、私はそう思い込み自分自身を脅迫し続けていました。仲の良い友達はいても、その友達とも腹を割って話せない、素の自分を晒し出すことは、信用を失うことだ。
 
そう思い、からかわても、嫌なことがあっても、我慢をすることが続きました。
 
そして、そんな自分が嫌いになりました。自分を好きになってくれたであろう人の手も、今思えば払い除けていました。自然と、口数は減りました。周りが見る私の評価は「しゃべらない、おとなしい、無口なやつ」でした。
 
大学生となり、私は実家の秋田から出て、新潟に住むことになりました。
 
全く伝のいない土地でしたが、新天地で暮らすことで、こんな自分も何かが変わるかもしれない。漠然とそんな思いを抱いていました。
幸い、入学式当日に大学時代長い付き合いとなる友達と知り合い、共に弓道部に入部しました。
 
 
しかし、環境が変わっても、当時の私がすぐに変われる訳もなく、からかわれることは良くありました。しかし、私は少しづつ変わっていたのかもしれません。ある時、我慢が限界を迎えました。
 
「お前!いい加減にしろよ!」
 
場の空気が凍りつきました。私も、その言葉のあと固まってしまいました。そして私は、激しく後悔しました。爆発した瞬間、人間関係が崩れることを想像しました。
 
その時、友達がこう言ってくれました「そうだよ、能城の気持ちも考えろよ」
 
涙が出そうでした。感情を、想いを汲んでもらえることの嬉しさと、自分の思いを伝えたくせにどうして良いか分からなかくなった自分の情けなさで、涙が出そうでした。
 
弓道部は、大学在籍中ずっと続きました。弓道部の友達とはこれが切っ掛けで打ち解けました。大学時代の私は、徐々に手を上げる前の小学生時代に戻っていったみたいです。
 
友達の評価は「熱いヤツ、苦しいくらい熱いヤツ」に変わっていました。
想いを、意思を伝えること、そしてそれを受け止めてもらうことができたことで、私の人生は変わりました。徐々に徐々に自分を好きに、信じることができる様になりました。
 
そして私は、社会人になりました。社会とは理不尽なものです。想いを抑え、我慢をする場面も増えました。しかし、私は知っています。自分らしくあるために、自分自身の想いと意志を示すことの大切さを。そして、そんな想いを受け止めてもらえることの嬉しさを、有り難さを。
 
<結論>
「人の想いが、人の意思が、その人の在り方を形創る、それが人生」
今まで生きてきて、私が感じていたことです。座右の銘という程の大仰なものではありませんが、強く信じているものです。
 
今思えば、トーストマスターズの扉を叩き、今ここに立っているのも、自分の想いを、意思を発信することを願ったひとつの帰結なのかもしれません。
 
あなたの想いは何ですか。あなたの意思は何処ですか。言葉にならないものですか。ならば、言葉にしてみませんか。
 
自分の望む想いで、自分の示す意思で、自分自身の人生の色を、輝かせてみませんか。