「「お腹いっぱい…」」
「食べすぎたな笑」
「うん笑」
俺の前に座るみさこが笑いかけてくる。
ギターを選んでいる時は忘れかけていたが、やっぱりやばい。
細い腕。優しく巻かれた髪。
大きな瞳。俺がさっき塞いだ形のいい唇。
想像しただけで触れたくなる。
自然と自分の唇を撫でていた。
「にっしー?」
「あっ…なんでもない。ちょっと考え事。」
「…?」
「…ギターも買ったことだし、スタジオでもいく?」
「いいじゃんっ!そうしよ。」
うまく話をそらせたみたいだ。こんなこと想像してるなんてバレたらやっていけない。
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「やっぱいいねぇ〜スタジオっ!」
「似合ってるよ、みさこ笑」
「でしょ?笑」
おどけてポーズを決めるみさこが可愛くて、スマホで写真を撮る。
「…ロック画面にしよ。」
「えっ、ずるい!じゃあ私もとらせてよ!」
「いいけど…笑」
「やった!…じゃあね…これ被って?」
みさこが近づいてきて首に腕を回された。
ドキドキしていると、パーカーのフードを俺の頭にかぶせた。
「可愛いっ笑」
こっちのセリフだよと思いながら、なされるがままにポーズが決まってしまう。
なんだか恥ずかしいが、撮りながら可愛いとかかっこいいとか顔を赤らめながら言ってくれるもんだからいい気分だ。
カメラが近づいてきた。
「ちかすぎね?笑」
スマホを手で軽くどけると、思いの外顔が近くて心臓の音がうるさい。
目を逸らしてしまいそうになるが、目が離せない。
「…ごめん…近すぎたね。」
みさこが先に目を逸らし、距離を取った。
心の声を聞きたくてしょうがない。みさこも俺みたいに想像したりするんだろうかと。
「…いい写真いっぱい撮れたし、早速聞いてもらおっかな!」
気持ちいいくらいの切り替えだった。
「おう…」
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みさこにただ弾かせるのもなんだし、スタジオから機材を借りて俺も弾くことにした。
「じゃあ、とりあえず持ち歌を聞かせてもらうか。」
「うん。」
優しいギターの音色にみさこの柔らかい声が重なる。それでいて力強い。
知らないうちに涙が出ていた。知らないうちに指が勝手に動いていた。
幸せな空間が約3分。
「ありがとうございました!」
みさこの声で現実に戻される。
「にっしー、泣いてるの?笑」
「ちょっとさ。なんか沁みちゃったわ…」
「…嬉しい。好きな人にそうやって褒めてもらえるの。」
「いや、ほんとよかったよ。」
「ありがと。てか、にっしーの重ねてくれたメロディすごくよかった。歌っててめちゃくちゃ気持ちよかった。」
そう言われたら血が騒ぐ。
それから俺はハモリや追加のメロディなど様々なアレンジを加えていった。
みさこの曲は荒削りな部分が多く、アレンジを加えることでより聞きやすく、みさこの優しい声が目立つような曲にしていくことを目標とした。
急なアレンジにも対応していくみさこの目は、プロそのもので俺も真剣に向き合った。
今だけは、恋人という関係を忘れ切磋琢磨する仲間のようだった。
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「…うわっ、もうこんな時間だよ笑」
「ほんとだ…集中しすぎて時間経っちゃったな…。そろそろ夕飯だし帰るか。」
それから俺たちは家路についた。
「よろしくね〜、ギターちゃん!」
「よかったな、相棒が戻ってきて笑」
「うん!」
みさこはギターを丁寧に床に置くと、満足そうに見つめていた。
あぁ。今すぐ後ろから抱きしめたい。
「…!」
そう思った時、勝手に体が動いていた。
少しビクッとした背中にみさこが驚いたのが分かる。
「ごめん…待てなくて。」
応えるようにみさこの手が俺の腕をつかむ。
「…実は私も…ずっとにっしーにもう一回触れたいって思ってた…」
なにそれ。可愛すぎだろ。
もっと強く抱きしめた。
首筋に鼻筋を擦り付ける。
みさこの甘い吐息が俺をかりたてた。
恋したのはあなたの。12 END♡
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こんばんは!渚です
私もギターをはじめて1年7ヶ月となりました!
セッションを即興でできる人ってめちゃくちゃかっこいい。
てか宇野ちゃんギター弾けるし、可愛いし、なんなの!?
ということで今回は甘々要素多めでお送りしました。
パーカーのフード被ったにっしーなんてものを間近で見た日には何人が召されることでしょうか…
それではまた次回!!
いつも読んでくださってありがとうございます!