私たちは、夕飯を食べながらいろんなことを話した。


これまでのこと。そして、これからのこと。


もちろん、これからのことには音楽活動のことも含まれている。


特にお互いのことについては、興味深いことがいくつもあった。


にっしーはきゅうりが苦手らしい。カップラーメンをすすりながら、きゅうりがあるわけでもないのに苦そうにそう言ってた。


最近はバナナとヨーグルトくらいしか朝ごはんは食べないらしく、密かに作ってあげたい母性が湧いた。


密かにというか明日の朝ごはんを作ろうと決めた。


とりあえずは、私の身の安全が大事ということになり、にっしーの家に引っ越すことに決定した。


逃げ込んだにっしーの家は、私のアパートがある町の隣町。


バイト先に車を持っている友達がいるからとにっしーは張り切っている。


家賃や光熱費を折半で、家事も分担することも決めた。


まだ引っ越しも終わってないのに。


自分が追われてる身だから迷惑をかけているのに、なんだかワクワクしてしまう。


だって、周りが楽しそうに話す彼氏との同棲みたいだから。


「よーし。じゃあ、とりあえず風呂入ってきなよ。」


「うん。」


足は冷やして安静にしていたら、少し良くなったみたいだ。


足を庇いながら、立ち上がる。


「あっ、着替え持ってないよな…俺のスウェット上下なら貸せるけど。」


「うん。ありがと。」


「ちょっと待ってて…」


にっしーは部屋に消えていくと、手にスウェットをかかえて出てきた。


「ほいっ。お風呂もあったまってるからちゃんと足あっためろよ。」


「…いつのまに沸かしてたの?」


「内緒〜笑」


これは、高ポイント。結婚したら率先してお風呂沸かしてくれるんだろうな…なんて。


「では…お借りします。」


「そんな腰低くしなくたって笑…これからは毎日入る風呂なんだしさ。家賃も光熱費ももらうんだから、みさこの風呂でもあるんだからな〜」


この一言一言が私の胸を軽くする。


「うんっ。」

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「はぁ〜」


疲れが溶けていくようだ。にっしーが入れてくれたお風呂はなんだかいつも以上に価値がある気がする。


自分のアパートのお風呂より足を伸ばせるし、なんだかお風呂から上がればにっしーがいてくれることが嬉しい。


足をマッサージして、これからの妄想をして。


のぼせるくらいゆっくりとつかってしまった。


お風呂から出るとしっかりドライヤーが用意されている。


「ほんとすごいな…にっしーは…」


体だけじゃなく、胸の中にふわっとあたたかいものが広がった。

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「お待たせ〜結構ゆっくりしちゃった…」


リビングへ入るとにっしーがソファに寝そべりながら、スマホをいじっている。


「お〜いいの、いいの。ゆっくりできたってのが嬉しいよ。」


そう言いながらスマホから視線が私にうつる。


「…」


謎の間。


めちゃくちゃみている。


もしや、服が似合ってない…?


「…あっ、貸してもらったスウェットどうかな?意外と私はしっくりきてるけど…」


「うん…すげぇいいよ…似合ってる。」


顔を伏せてそう言われると、こっちまで照れくさい。


「…なんか照れてる?」


「いやいや!みさこ…俺を舐めてもらっちゃあ困るよ。っていうことでさ、おれ風呂入ってくるから!」


自分の照れを隠すために攻めたら意外ときいてしまったみたいだ。


にっしーは漫画のやうに、浴室があるドアにぶつかりながら、中へ消えていった。


「ふふっ…かわいい…笑」

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にっしーがお風呂から上がると、2人で机を囲んで、明日の予定をつめる。


「明日はみさこ予定あんの?」


「私は6時30分からバイト。」


「奇遇。俺も6時30分からバイト笑」


「にっしーってなんのバイトしてんの?」


「俺は居酒屋。みさこは?」


「奇遇。私も居酒屋…笑」


「えっ、マジか。みさこ居酒屋かぁ…」


「どうしたの?」


「いや…なんでもない。…じゃ、とりあえずみさこは荷物取りに行かなきゃいけないよな。」


「うん。だから、ちょっとはやく出て、必要なものだけ素早く取ってバイト先行くって感じかな。」


「…家に行くまで俺もついてくから。」


「いや!大丈夫だよ。」


すごくついてきて欲しい。しかし部屋がめちゃくちゃ汚いのだ。


にっしーの家が綺麗すぎて、ドン引きしたくらいに。


「えっ、だって追われてるんだろ?」


「あぁ…そうだけど。すぐだし!」


「…なら、いいけど。なんかあったらすぐ電話しろよ。」


スマホを見せつけてくるが、肝心の番号知らない。


「…番号が…」


「あっ、そっか笑LINE交換プラス電話番号教えとく。」


「うん。それなら私も安心だよ。」


「呼ばれたらすぐ行くから。」


「なにそれ…ヒーロみたい笑」


あの時から私のヒーローは、あなただけど。

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「じゃ、おやすみ。」


「おやすみ〜」


にっしーはベットに行かずに、何故か床に布団を敷いている。


私にはソファを貸してくれた。


怖い思いをしただろうからとそばにいてくれるらしい。


にっしーはこんなに優しいんだからモテるんだろうな。


でもきっとモテてることに気づいてない。


彼女がいないのが不思議だ。


そんなことを考えていると、静かな寝息が聞こえてきた。


誰かが隣にいてくれる安心感。


久しぶりにすぐに眠りにつくことができた。


恋したのはあなたの。6 END
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お久しぶりです〜渚です!

もう本当に東京ドームに行きたかった…えーんえーんえーん

一つ前の謎のポエムみたいな記事を読んでくださった方、ありがとうございます笑

早く当たり前が戻ってくるといいですね…ニコニコ