目覚ましの音で目がさめる。



宇)ん…



左手がふわふわしたものをつかんでいる。これはきっと愛犬のタタだ。
目をつぶったまま、いつものように朝の挨拶。



宇)タタ、おはよ…



ん?でも、この左手でつかんでるもの、タタにしては毛が長い。人間の髪の毛みたいな…



宇)わっ…!



隣にスヤスヤと寝息を立てて眠っているのは、犬のタタではなく、人間。



そうだった。
昨日突然愛犬のタタが人間になっていろいろ大変だったんだ。



改めて見つめるとまつ毛が長くて髪の毛もふわふわで顔立ちも整っている。



宇)…///



何照れてんの、自分…



宇)これは愛犬のタタ!そう!犬っ!



タ)ん…



宇)ごめん、タタ…。おこしちゃった…?



タ)おはよう…、宇野ちゃん。



目をこすりながら笑ってそういうタタ。
インスタに投稿したいレベルに可愛い。



宇)おはよ。



タ)あれ?宇野ちゃん、今日学校は?



宇)んー、休みだよ。



タ)ほんと!?えっ、じゃあ一緒に散歩できるの?



宇)散歩というかお出かけだねw
うん。いいよ。



タ)よっしゃぁ!



それからベッドで飛び跳ねるタタを一発叱って、朝ごはんを作る。



もちろんタタにも人間の食事をね?w



宇、タ)ご馳走さまでした!



タ)よし!行こう!



宇)まだ着替えてないでしょ!w



タタには昨日お兄ちゃんがもともと着ててお下がりとしてもらったスウェットを着せた。



昨日洗っておいたタタの服を手渡し、食器片付けをお願いして、自分は支度をしに行く。



デパートに行ってタタの服を買うつもりだから、あまりてきとうな格好はできない。



宇)カレカノだと思われるかも…



タ)宇野ちゃーん!着替えた!片付けた!いこっ!



ガチャ。



セーフ。
すでに着替えていたからよかったものの…。
まぁ、でも今まで見られてたんならいっかと思うけど、やっぱ恥ずかしいからタタにノックを教え込む。



タ)わかった!入るときはコンコンってする。



宇)よろしい。それで、この格好どうかな…?



いつも着ないワンピースを着てみた。
犬に確認するのもどうかと思うけど、今まで私のファッションをタタは見てくれてたと思うし…



タ)いつも着てないやつだっ!



そう微笑むとタタがまた首に抱きついてくる。



タ)可愛い。すんごく似合ってるよ。



宇)ありがと…///



耳元で囁かれるもんだから心臓が飛び出そうになる。



タ)よーし!出発!



宇)はい、はい!タタさん!



タ)ん?



宇)あなたは犬ではありませんよね?ってことは…



タ)またまた、宇野ちゃん俺のこと馬鹿にしてw
2本足でちゃんと…宇)ちがいます。靴を履いてください…!



タ)あっ、そっか…w



タタに靴を履かせて、手を繋いで歩き出す。
私より背が高いタタに少しきゅんとする。



タ)〜♬



宇)そんなに嬉しいの?w



タ)だって宇野ちゃんと手をつなげるなんて思ってもなかったから…
俺いつもリードついてるじゃん。



膨れる顔を見るのもなんだか楽しい。



宇)そっかw



タ)宇野ちゃんの手はちっちゃくて可愛いね。



宇)…///



素直すぎる。甘すぎる。元犬男子をこの世に広めたらきっと救われる女子が何人もいるだろう。



タ)あ!モモちゃんだ!



やばい。
いつもお散歩コースで会う近所の犬が向かいからやってくる。



走り出そうとするタタの手を強く握りしめる。



宇)あなたは今人間なの。
モモちゃんはあなたのことタタだって分からないから怖がらせたらダメだよ?



タ)そっか…



しゅんとするタタの手をもう一度強く握りしめて下を向いて気づかれないように…



?)こんにちは〜!



気づかれたか…



宇)こ、こんにちは、吉田さん!
今日もモモちゃん可愛いですねぇ。



吉)ありがとうねぇ。
いつも宇野ちゃんとタタに元気もらって〜。ねぇ、モモちゃん。



私の隣でニコニコしているイケメンを下から上まで舐めるようにみた吉田さん。



彼氏って言われたらそうしよう。
手とかもろ繋いじゃってるし…。
めんどくさいからね。



吉)ん?タタは?



そこかーい。彼氏って聞くんじゃないんかーい。



宇)タタは…



タ)あっ、俺がタ…フゴッ…!



喋ろうとするタタの口を思いっきりふさいでなんとか誤魔化す。



宇)タタ今ちょっと実家に帰っていて…



吉)あら、里帰りね〜。いいわね。私も…



そこから長話が始まり15分くらい経ってしまった。



その間何度か後ろで「俺タタ!タタだよっ!」ってちょこまか騒いでるから聞こえてませんようにと祈るのに疲れた。



吉田さんは自分が話してるときは何も周りの声が聞こえない人だから聞こえてないはず。



吉)じゃあね〜。
今度はタタちゃんも連れてきてねぇ〜。



宇)はーい…



吉田さんが離れていくのをみて大きなため息をつく。



宇)タタ…、いこっか…



タタの手を引き歩こうとするが動かない。



宇)ん?どうしたの?



タ)宇野ちゃん、疲れた顔してる…



そんな犬みたいな可愛い目で心配しないで…って犬か。



宇)わっ!ちょっと!



タ)タタ号、しゅっぱーつ!!



突然私をおぶって走り出す。



さすが犬だ。速い…



私が疲れてたからおぶってくれたのか。気遣いができるところもタタそのものじゃん。



宇)タタ…、ありがとね。



タ)ん?なんか言った?



宇)なんもっ!!デパートまでレッツゴー!



タ)なぁ、宇野ちゃん!



宇)ん?



タ)デパートってどこにあんの?



そうでした。
タタとデパート行ったことないんでした。



おわり
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はい!3話どうでしたか?


おぶられたい!非常ににっしーにおぶられたいw


にっしーが宇野ちゃんをおぶってる姿を見たい…


ちゅるっちゅっちゅっちゅっちゅっちゅ〜♬


聴こえてきそうだ、この曲が…w
そしてゆでたまごを思い出す…w
「じゃあ、デート行こっ!」と普通に宇野ちゃんの手を取って遊園地に入ろうとしたにっしーを思い出すw


それでは次回「デパートと説教。」でお会いしましょうw



ばいなら〜爆笑