宇)おはよ〜!タタ、今日も可愛いね〜。
タ)ワンっ!!
宇)しっ!あんま吠えたらダメよ。朝だからね?
今日から晴れて大学2年生。
バイトのしすぎで進級が危ぶまれたがなんとかというところだ。
実家を離れて一人暮らしを始めた1年前が懐かしい。いや、正確に言うと1人と1匹暮らしかな。
実家にいた時に保護施設から引き取ったコーギー犬のタタを一人暮らしのアパートに連れてきたからだ。
アパートで犬OKなんて他にない。
家賃もそこそこ安くてすぐにここに決めた。なんだか導かれたように。
もちろん大学までは遠いけどそれは仕方ない。
宇)行ってきまーす!タタ、大人しくしててね?
タ)ワフっ
宇)よしw
今日もまた平凡で幸せな大学生活が始まる。
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教室に入ると後ろから元気な声。
?)おはよ!!
宇)おはよ〜!元気だなw
この元気いっぱいの彼女は、親友の千晃。
千)今日も元気にいきやしょー!!
こんなこと言ってた千晃は1限目から爆睡である。2年生になってはじめての講義だというのに…。
でも、こういうところに何度も助けられてきた。
授業が終わり、千晃とともに家路につく。
千)あー、今日もよく勉強した。えらい、うちら!
宇)あんた9割寝てたでしょw
勉強できることに感謝しないと〜。
千)そうだよね…。今日はバイトもないし早く寝てみるww
宇)私も今日バイトないから寝よっかな…。
あっ、でもそう言いながらさ…
千)多分寝ないよねww
宇)www
ちゃんと寝てよ!じゃ、また!
千)うん!今度また遊びに行くね!
宇)タタもそろそろ千晃に会いたいと思う!
千)タタ〜、会いたいよ〜。私のタタ〜♫
歌いながら彼女は帰ってしまった。
宇)私のタタだぞっ!!
小さな後ろ姿に叫ぶけどもう聞こえないみたい。
宇)まっ、いっかw
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今日もきっとドアを開けて「ただいま」って言ったらタタが出迎えてくれるはず。
千晃とタタのおかげでこの1年間頑張れたといっても過言ではない。
辛い時も親友1人と1匹いれば、慰めてくれるからね。
鍵を回してドアを開ける。
宇)タタ〜、ただい…え…?
玄関にはいつも出迎えてくれるはずのタタの姿はない。
代わりに私の目に映るのは、腕を組んで立っている爽やかイケメン。
髪に少しパーマがかかってて細身で…
実彩子、そうじゃないでしょ…!
気を取り直して…
宇)は!?あんた誰!?
ようやく振り絞った私の渾身の一言である。
?)おう!お帰り〜。てか、お腹すいた!
宇)…
こいつは何を言ってるの。
不法侵入の上に、お腹すいたなんぞなれなれしい言葉を放ち、満面の笑みを浮かべている。
これはやばい。確実にやばい人だ。
田舎のばあちゃんが見た目に騙されるなっていつも言ってた。
?)えっ、何黙ってんの。タタだよ。
はい。終わった。完全にやばい人だわ。
宇)タ、タタ犬だもん!!ちょっと出てってよ!警察に連絡し…
突然そいつが私の耳元に近づいてきたから、身動きがとれない。
ここで終わるの?私の人生…
?)これ以上騒いだら宇野ちゃんが家でやってることぜーんぶ大学の人にいっちゃおっかな…
なんとも甘い声である。
宇)な…に言って…
?)だって俺は宇野ちゃんの着替えからぜーんぶなんでも近くで…
宇)しっ!わかったから…!わかったから一回黙って。まず、家に入らせて…。ちょっと頭が混乱して…。
タタと名乗るやばいイケメンを無理やり押しのけてリビングに向かう。
宇)えっ、やばい。どうしよ。もしかしてこの世のものじゃないとか…?
一人でぶつぶつ言ってる私もそうとうやばいだろう。この状況、カオスとしか言いようがない。
?)あれ?いつも見たいにわしゃわしゃなでてくれないの…?
宇)へ…?
振り返るとしょんぼりしたイケメンがこっちを見ている。
宇)撫でるわけないでしょ…!
だってあなたタタじゃないし!
?)むー。怒ったぞ。えい!
宇)…!!
その瞬間イケメンが首に抱きついてきたのである。そして、私の首元に頭をスリスリ…
?)んー、やっぱ俺の飼い主は可愛いなぁ。
落ち着くし、最高!!
とかなんとか満面の笑みで言ったと思ったら…
ペロっ。
宇)…!?
しまいにはなぜか口をペロっと舐められたのである。
?)ねぇ、なんで宇野ちゃん何もしてくれないの…?いつもは唇なめても「よし、よーし。タタは可愛いねぇ」ってしてくれるのに…!
ダメだ。犬と同じだ。
でも姿は人間だし、イケメンだし、腕組んでふくれっ面いてるしトリプルパンチで今めちゃくちゃドキドキしてるのは誰にも知られたくない。
宇)ねぇ…、ほんとにタタなの?
?)うん…!そうだよ!
お父さんとお母さんに「娘の実彩子が犬をどうしても欲しいっていうから一緒に来てくれる?」って施設にいた時に言われたんだぁ。
あの優しい笑顔を見て「俺、絶対この家行くわ!」って思ったんだよね…w
宇)…
?)これで信じてくれた…?
これはタタでしか知らない情報だろう。
私ですらも知らない事実なんだから。
嘘をついているとは言い難い。
宇)…
そう落ち着いて考えると、ある感情が遅れて湧き上がってきた。
宇)ねぇ!?なんでよ!タタ〜、戻ってきて!あの可愛いふさふさのタター!!人間になんでなっちゃったの!?
?)わっ!ね!宇野ちゃんそんなに揺らすと気持ち悪くなるぅ…
宇)あっ、ごめんなさい…。
でも私の大切なタタが…泣
?)宇野ちゃん…、そんなに俺が人間になったの悲しい…?
その声がとても悲しそうで。
なんだか怒られた後のタタの鳴き声みたいに聞こえた。
このイケメンが本当にタタなら突然人間になって不安だろうし、飼い主である私が守ってあげなければならない。
ここは信じるしかなさそうだ。
「タタ=目の前のイケメン」の方程式を頭の中にたたきこむ。
宇)ご、ごめん、タタ…。
人間になったから悲しいとかじゃなくて、ちょっとびっくりしたっていうか…
タ)えっ、なんだ!
よかった!!わーい、わーい!
飛び跳ねて喜んでる。
この感情の変わりようもタタそのもの。
宇)ぷっww
なんだか笑っちゃう。
こうやっていつもタタには励まされるんだっけ。
タ)あー、笑った!俺も嬉しい!
宇)わっ!だから突然抱きつかないで…!
心臓がもたない…
タ)いいじゃん!いつもこうしてるんだし!
宇)…///
なんだか急に恥ずかしくなってきた。
まだ半信半疑だけど、それでもこの突然人間になったうちの犬を可愛く思ってる自分がいて。
タタはタタなんだなって思ったら少し気持ちが楽になってきた。
いつものように私の首に頭をスリスリするタタの頭を私は自然といつものように撫でていた。
はたから見たらただのバカップルである件は置いておいてほしい。
おわり
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はい!コンチハー
渚です!
たくさんコメントをいただき、今日から新しいお話をスタートさせることができました!!
わーい!!!
今回の渚的宇野ちゃんとにっしーのイメージ画像を載せておきますね〜。皆さまがお好きな宇野ちゃん、にっしーの姿にしても構いませんので参考程度に…
宇野ちゃん
三つ編みが可愛くて大学生みたいだったので!
てかこんな子いたら毎日大学楽しいわ!w
にっしー
髪ふわふわ〜で犬みたいだったので!
前もこの写真載せたっけ…、とにかく大好きなんですっww
「むー。怒ったぞ!」って一度でいいから言ってくれませんか?この姿で…。家宝にします。
では、また次回「タタとご飯と首輪」でお会いしましょうww
まっ、そんな内容ってことですよ
ばいなら〜!