サイレンがなる。

もう流石に慣れたが、何故うちの学校のチャイムはサイレンなのか。永遠の謎だ。

静粛としていた教室に一瞬にして緊張が走る。

紙と机の摩擦音。シャーペンで記名する音。

私はあえてゆっくりと名前を書いた。

問題冊子をひらけば数式の羅列。

心を落ち着かせて問題に対峙する。

と、そこで違和感。

「簡単すぎる」

しかしその時の私は、その違和感の正体を自分の努力の成果として片付けた。

そして40分後、その判断が誤ちだったことに気がつく。

そう、問題選択を間違えていた。

制限時間は100分。残り1時間。焦り。

そんな私を救ってくれたのが、某ランドのネズミだった。

私は某ランドのネズミが描かれた消しゴムを手に取り、集中している周囲に気を遣いながら、

(いや、こいつ解く所間違えたと思われることに対する羞恥心だったかもしれない)

ゆっくりと答案を消していく。

私が今日この新品消しゴムを持っていたのは偶然だった。

昨日までチビ消しゴムを使っていたが、

ふと頂いた消しゴムが目に入り、下ろしたのだ。

なんという偶然だろうか。

某ランドのネズミには、私が選択を間違えることはお見通しだったという訳だ。

しかもこの某ランドのネズミ、異様に消しやすい。

答案を消しながら私は勝利の笑みを浮かべていた。

終わりのサイレンがなる。

手元の答案用紙に目をやる。

大問一つ分、綺麗に空欄であった。

どうやら某ランドのネズミにも、答案作成は出来ないらしい。