「はあぁぁぁ」

朝からため息とは如何なものか。

アラームがうるさかった訳でも、親に無理矢理起こされた訳でもない。

ため息の理由は、今日待ち構えている球技会だ。外に目をやるとどんより曇り空。

私の心とニコイチ…

これは延期になるのではないかと微かな期待を胸に抱くが、それはすぐに打ち砕かれる。

昨晩に届いたLINEを見ると、雨天時は室内との文字。

そうか、分かったよやりゃあいいんだろ。

そう割り切って気付けば始まる時間。

ちなみに競技はドッジボール。

そう、狙いを定めて遠慮なくボールを投げ合う恐ろしい競技。

力を込められた球には、日頃の鬱憤が込められているような気がしてならない。

てきれば当たりたくも、当てたくもない。

女同士のドッジというのは特に残酷だと思う。

身長的にジャンプボールを任されるのは常。

負けることは殆どない。

唯一自分の存在意義を感じる時間。

そして基本的に私がボールを触るのはそこだけ。

投げるのは得意な方だが、特にクラスメイトから信頼されている訳でもない私のところにボールは回ってこない。

体育会系女子が外野と内野で投げ合っている、

その状況を1人客観視している私。 

球が投げられる位置を予測し、先回りする私。

自分の目の前に球が落ちても、投げず人に譲る私。

当たり前に楽しくない。

そして何だか孤独だ。

そんなこんなで試合は終わり、私のクラスは負け。

いちゃもんをつけている奴がいたが、何をそんなに勝ちにこだわりたいのか。負けでいいではないか。

嗚呼、早く帰りたい。

しかしその後閉会式があるため、全試合が終わるまでは帰れない。

体育館で応援している人がほとんどの中、私は迷わず教室に帰った。

静かな教室は落ち着くが、どこかよそよそしか感じる。

それを紛らわすために勉強しようと教材を出す。

だが微妙に歓声が気になって仕方がない。

こういう時にイヤホンというのは便利なものだ。

最近ハマっているアイドルグループの曲をシャッフル再生。

自分だけの世界に入り込める。幸せだ。 

そんな時間も束の間で、閉会式の時間になり重い足取りで体育館に向かう。

サボることも考えたが、見つかって教師に怒られるのは勘弁だ。

体育館で、昨年同じクラスだった友達に話しかけられてた。

「今日私カッコよかったくない!!?」

すまん、見てない。そう思いながらも、

「うんまじかっこよかったよ♡」

と笑顔で答える私は人としてどうなのか。

結果発表。

汗をかいて、笑顔で、いかにも青春という言葉が浮かぶ同級生たち。

楽しそうでいいなあ、と横目で見る。

そしてすかさず、何故羨ましがっているのかと自分自身にツッコミを入れる。

羨ましいなら自分も積極的に参加すればいいではないか。

どうやら球技会なんて興味ないですよ、というスタンスがかっこいいと思っている自分がいるようだ。

私は皆が結果発表で盛り上がっている中、自問自答を繰り返していた。

学年主任が「今日楽しかったか?」と問う。

小学生のように皆が手を挙げる。

1ミリも楽しくなんてなかった私は、

周囲を見渡し、遠慮がちに、手を挙げた。