続きの続き


滋賀で次男が産まれてから、一年半ほど経った時、我々はマレーシアのクアラルンプールにいた。



次男が産まれた時の話はこちら



さあ、待ちに待った家族揃っての海外赴任だ。



田舎県庁に勤めて、海外暮らしができるだなんて、入庁当時は夢にも思っていなかった。



しかし、仕事の幅は時代とともに広がってきて、観光や貿易、文化交流などを含め、様々な分野で海外案件を扱うことが多くなっていた。



そして、国際的な経験を積んだ職員がいた方がいいよね、という方向性による人材育成が盛んに行われ、いろんな海外系の研修メニューが用意されていた。



そのうちの一つとして、外務省への出向というチャンスを得たのだ。



まあ仕事の話はここでは置いておく。

とにかく、マレーシアに2年間赴任したということだ。



マレーシアを少しばかり紹介




マレーシアでは、ローカルフードで済ませれば、食費は非常に安い。ラクサというヌードルは、地域によってスタイルが違っていて、日本のラーメン的な感じで面白い。



日本食を食べようとすれば、日本よりも少し割高な印象だ。割と日本食は多く、人気もある。しかし、回転寿司には、およそ寿司と呼べるような代物ではないものがクルクルと回ってくる時もあるが、まあ、地域に合わせた仕様ということで、それもありなのかもしれない。



これが日本の文化だー、とゴリ押ししても、歴史的な文脈を理解しない限りはなかなか受け入れられるもんではないので、現地に合わせて「いいとこ取り」でも日本に親しんでくれるのならそれもありだろう、と思う。



日本米は、専門店では売っているが、スーパーあたりでは、せいぜい韓国米がおいてある程度。少しネチネチとしていて、白飯だけでおいし〜!とはなかなかならないやつだ。



洋服は、洗練されたショッピングモールがいくつもあるので、買い物には困らない。



ただ、インターナショナルブランドの服はいくらでも手に入るが、日本のセレクトショップのような感じのいけてる雰囲気の服を探すのはなかなか難しいので、こだわり屋さんには物足りないかもしれない。




とはいえ、一年を通じて「夏」なので、Tシャツと短パンさえいくつか持っておけば大丈夫。ただし、エアコンが効きすぎてる施設も多いので、羽織りものは必須だ。



駐在員が住むようなコンドミニアムには、プールが標準装備で付いている。超高層ビルの間にあるプールなので、場所によっては、日当たりがよくなくて寒かったりもするが、それでも、子供たちは、プールプールと大騒ぎで楽しんでくれる。



プールサイドで音楽かけながらビールを飲んでまったりすごす休日などは、南国ならではで最高だ。



また、コンドミニアムに体育館の付いてる友人もいて、よくバドミントンをやったりした。



雨季と乾季が一応あると思うのだが、最近は気候変動のせいなのか、はっきりと、今は雨季、今は乾季、というのは正直よくわからなかったが、よくスコールが降った。



ほぼ毎日降る時は流石に雨季だったのだろう。が、クアラルンプールで傘をさして出歩く人はほとんど見たことがない。



駐車場は大体屋根があり、雨は強すぎて傘で防げるような生ぬるいものではないのだ。そして雨になると、突然どこからか湧いたように車が増えて、一気に大渋滞となる。



ちなみに、渋滞は日常茶飯事だ。



僕は渋滞に巻き込まれるのが嫌だったのと、アクティブなライフスタイルを好んでいたことから、マウンテンバイクのような自転車を現地で購入し、通勤に使っていた。



職場のローカルスタッフに



「ミスターはなぜ自転車なのか?ステータスが低いと思われるよ。それに車は止まったりしてくれないから危ない。」



と半分ニヤニヤとされながら言われたもんだ。だが他人の目などは気にしない。ましてやここは異国の地。旅の恥はかき捨てだ。そもそも恥じですらないのだけれども。



というよりも、そんなマインドだから渋滞が緩和されないんだ、と、マレーシアの怠けた国民性を疎ましく思ったもんだ。



エアコンの修理を頼んでも、間違いなく約束の時間にワーカーは来ない。30分くらい遅れて、まだかな、と電話を入れると、決まってI’m on the way!と答えて、さらに一時間くらい遅れるのが相場だ。



これはよく現地駐在員の中で言われている「マレーシアあるある」というやつだ。イライラしても無駄だから、日本的な価値観はそこそこに捨て去った方が良い場合もある、と、赴任当初に口を揃えて教えられたことを身をもって体験した。



国内外には、エアアジアの航空ルートが張り巡らされており、非常にお安く旅行ができる。



もちろん、国内でも西海岸では、ペナン、マラッカ、イポー、ジョホールバル、ランカウィ、東マレーシアでは、コタキナバル、キナバル山、海では、南シナ海にレダン島やティオマン島など、ここに書ききれないほどたくさんの見どころがある。



比較的治安もいい。



マレーシア政府のテロ対策が超優秀なのだろう。事前に疑わしいやつを見つけて逮捕するのだ。まだ罪を犯していないのに。



とまあ、当時のことを思い出していたら、まだまだ書きたいことがいくらでも出てきそうだ。



とにかく、家族にとっても、とても思い出のたくさん詰まった特別な国になったのだ。



そんなマレーシアへの赴任から一年半ほどが経った時の話を書こうと思う。

#ようやく本題へ



続く