「平均課税」という制度を皆さんはご存知ですか?
所得税の計算は通常、課税所得金額に、超過累進税率または一定税率を
乗じて税額を算出します。
しかし、変動性の強い所得(変動所得)と臨時的に発生する所得(臨時所得)
については、例外的に「平均課税」という税負担軽減制度が設けられています。
については、例外的に「平均課税」という税負担軽減制度が設けられています。
例えば、現在の累進税率のもとでは、
ある年の課税所得金額400万円、翌年の課税所得金額0円の人と、
ある年の課税所得金額200万円、翌年の課税所得金額200万円の人とでは、
2年間の課税所得金額の合計が同じ400万円でも、
所得税の負担はかなり違ってきます。
そこでこの不均衡を調整するため、
一定の条件に該当する変動所得、臨時所得については、
「平均課税」という例外的な税額計算の方法が認められています。
平均課税での税の計算方法は、「5分5乗方式」といわれているもので、
変動的・臨時的に発生した所得を、5等分し、その5分の1の額に
累進課税率を適用して税額を計算し、その額を5倍するという方法で、
累進課税率を適用して税額を計算し、その額を5倍するという方法で、
納税額を算出します。
5分の1の額に対して税率を適用するので税率が低くなり、
納税額が軽減されるということになります。
※5分の1の納税額になるということではありません。
また、5年に渡って支払ってよいという意味でもありません。
この平均課税制度は、納税者自身がその選択をして申告をしない限り
適用が受けられない制度ですので、事前の注意が必要です。
■変動所得とは
年々の変動の著しい所得のうち、次に掲げるもの(限定列挙)をいい、
事業所得または雑所得に含まれます。
事業所得または雑所得に含まれます。
1.漁獲若しくはのりの採取から生じる所得
2.はまち、まだい、ひらめ、かき、うなぎ、ほたて貝若しくは
真珠(真珠貝を含む。)の養殖から生じる所得
真珠(真珠貝を含む。)の養殖から生じる所得
3.原稿若しくは作曲の報酬に係る所得
4.著作権の使用料に係る所得
■臨時所得とは
臨時に発生する所得のうち、次に掲げるもの、その他これに類する所得
(例示列挙)をいい、不動産所得、事業所得または雑所得に含まれます。
(例示列挙)をいい、不動産所得、事業所得または雑所得に含まれます。
1.3年以上の期間、他人に不動産等を使用させることを約することにより
一時に受ける権利金等の対価で、これらの資産の使用料の年額の
2倍額以上であるものに係る所得
一時に受ける権利金等の対価で、これらの資産の使用料の年額の
2倍額以上であるものに係る所得
2.業務の休止等をすることになった者、または、業務用資産について
鉱害等により被害を受けた者が、これらの事由によりその業務に係る
3年以上の期間の不動産所得、事業所得または雑所得の補償として
受ける補償金に係る所得
鉱害等により被害を受けた者が、これらの事由によりその業務に係る
3年以上の期間の不動産所得、事業所得または雑所得の補償として
受ける補償金に係る所得
3.3年以上の期間、プロ野球選手のように、一定の者に専属して役務の提供を
約すること等により一時に受ける契約金で、その金額がその契約による報酬の
年額の2倍相当額以上であるものに係る所得
約すること等により一時に受ける契約金で、その金額がその契約による報酬の
年額の2倍相当額以上であるものに係る所得
※限定列挙と例示列挙
限定列挙は、列挙されたもののみを指すことをいいます。
例示列挙は、列挙されたものは、あくまでも一例であり、
他にも例があることになります。
例示列挙は、列挙されたものは、あくまでも一例であり、
他にも例があることになります。
■平均課税の適用条件
適用条件は、次の2つです。
1.変動所得が、その年の総所得の20%以上であること。
1.変動所得が、その年の総所得の20%以上であること。
・変動所得 ÷ 総所得額 ≧ 20%
2.過去2年間に変動所得がある場合は、2年間の変動所得を合計して2で割り、
その金額よりも(その年の変動所得が)多いこと。
その金額よりも(その年の変動所得が)多いこと。
・過去2年間に変動所得があった場合:
その年の変動所得 > 前年と前々の変動所得の合計×50%
その年の変動所得 > 前年と前々の変動所得の合計×50%
■2000万円の臨時収入があった場合
(通常)
2000万円×40%(累進課税額)-2,796,000円(控除額)=5,204,000円
2000万円×40%(累進課税額)-2,796,000円(控除額)=5,204,000円
(平均課税=5分5乗方式の場合)
2000万円÷5=400万円
400万円×20%(累進課税額)-427,500円(控除額)=372,500円
372,500円 ×5=1,862,500円
2000万円÷5=400万円
400万円×20%(累進課税額)-427,500円(控除額)=372,500円
372,500円 ×5=1,862,500円
(差額)
5,204,000円-1,862,500円=3,341,500円 ←これだけ低くなります!!
5,204,000円-1,862,500円=3,341,500円 ←これだけ低くなります!!
■変動所得や臨時所得を計算する場合の注意点
事業所得のうち、変動所得以外の収入がある場合は、必要経費を所得ごとに
分けて計算しなければなりません。家賃や光熱費など明確に分けることが
できない経費については、適切な基準によって按分(変動所得とその他の所得で
経費を分割)します。また、青色申告をしている場合は、控除金額を、
変動所得や臨時所得とその他の所得の金額比率で按分することになります。
分けて計算しなければなりません。家賃や光熱費など明確に分けることが
できない経費については、適切な基準によって按分(変動所得とその他の所得で
経費を分割)します。また、青色申告をしている場合は、控除金額を、
変動所得や臨時所得とその他の所得の金額比率で按分することになります。
初めて平均課税で申告する際は、納税する税務署に相談しましょう。
親切に計算方法や記入方法を教えてもらえますよ。
親切に計算方法や記入方法を教えてもらえますよ。
■国税庁「変動所得・臨時所得の平均課税の計算書」
記入用紙はこちからダウンロードできます。
平均課税は、本人が選択して申告をしなければ適用が受けられません。
手続方法は、「変動所得・臨時所得の平均課税の計算書」へ記入して、
確定申告書に添付して税務署へ提出します。
手続方法は、「変動所得・臨時所得の平均課税の計算書」へ記入して、
確定申告書に添付して税務署へ提出します。