以前「減価償却とは」で説明したように、固定資産を取得した場合、その取得
にかかった費用は、一度に全額を経費計上せず、一旦資産計上したうえで、
何年かにわたり経費計上していきます。
 
このような処理を減価償却といい、この償却する期間は、税法で法定耐用
年数として、各種の減価償却資産を分類して定められています。
例えばパソコンの耐用年数は4年、普通自動車は6年と定められています。
 
「減価償却とは」
 
しかし、中古で購入した場合には、すでに何年か使用されており、取得後の
使用可能期間は新品よりも短いのが通常でしょう。
 
その中古資産の耐用年数は原則として、その後の使用可能期間として
見積もられる年数とされます。つまり、資産の状況を個別に勘案して、
あとどれくらいの期間使えるかを決定するということです。
 
しかし、そのような見積もりは通常困難なことが多いため、以下のような
簡便法を用いて、耐用年数を計算することが認められています。
 
 
■簡便法を用いた、中古資産の耐用年数の計算式

(1)法定耐用年数の全部を経過した資産の見積耐用年数
 「見積耐用年数」=「法定耐用年数」×「0.2」
 
(2)法定耐用年数の一部を経過した資産の見積耐用年数
 「見積耐用年数」=「法定耐用年数」-「経過年数」+(「経過年数」×「0.2」)
  ↓イコール
 「見積耐用年数」=「法定耐用年数」-(「経過年数」×「0.8」)

※これらの計算によって算出した年数に1年未満の端数があるときは
 その端数を切り捨て、またその年数が2年に満たないときは2年とします。
 
 
■普通自動車を中古で取得した場合の計算例
 
普通自動車の法定耐用年数は6年と税法で定められていますので、
経過年数が(1)(2)(3)(4)の場合を想定して計算してみます。
 
(1)取得時までの経過年数が3年9ヶ月の場合
 「見積耐用年数」= 6年-(3年9ヶ月×80%)=72ヶ月-(45ヶ月×80%)
  =36ヶ月→3年
 
(2)取得時までの経過年数が3年10ヶ月の場合
 「見積耐用年数」= 6年-(3年10ヶ月×80%)=72ヶ月-(46ヶ月×80%)
  =35.2ヶ月=2年11.2ヶ月→2年(1年未満切捨て)
 
(3)取得時までの経過年数が7年の場合
 「見積耐用年数」= 6年×20%=1.2年→2年(2年未満の場合は2年)
 
(4)取得時までの経過年数が0年9ヶ月の場合(経過年数が1年未満の場合)
 「見積耐用年数」=6年-(0年9ヶ月×80%)=72ヶ月-7.2ヶ月
  =5.4年→5年(1年未満切捨て)
 
 
■改良等を加えた場合の耐用年数
 
中古資産を取得と同時に、改良等をおこなったとき、
その支出金額により耐用年数は以下のとおりとなります。
 
(1)改良等のための支出金額が、中古資産の取得金額の50%を超える場合
 
 「耐用年数」=(中古資産の取得価額 + 改良費等の額) ÷
 ((中古資産の取得価額/中古資産の簡便法による見積耐用年数)
                         + (改良費等の額/法定耐用年数))
 
(2)改良等のための支出金額が、中古資産の再取得価額(同じものを新品で
 取得する場合の価額)の50%相当額を超える場合
 
 上記の計算による耐用年数ではなく、「法定耐用年数」となります。
 
 
■中古のソフトウェアの場合の耐用年数
 
ソフトウェアは、無形減価償却資産にあたりますので、簡便法による
耐用年数の算定は認められていません。
 
また、実務上合理的に耐用年数を見積もることができないため、結果的に
法定耐用年数によらざるを得ないものと考えられます。
 
なお、ソフトウェアでも開発研究用のものについては、耐用年数省令の別表第八の
開発研究用減価償却資産の中に揚げられているソフトウェアに該当しますので、
簡便法による見積もりが可能ということになります。
 
 
10万円未満で購入した場合は、減価償却資産に計上せず、一括経費計上すれば、
減価償却処理は必要なくなり、面倒に感じる耐用年数の計算もいりませんね。
 
 
■国税庁、中古資産の耐用年数
http://www.nta.go.jp/taxanswer/hojin/5404.htm