今回は『近畿の高校入試』の国語の勉強法について。問題をやって答え合わせをして…で終わっている人が多いのではないでしょうか? でも、テストでは問題集の問題がそのまま出題されるわけではありません。問題集をやったのに点数に結びつかない、という人もあるかと思います。そんな人にいつもお勧めしているのが、問題文を要約すること。自分で文章の要旨をまとめようとすると、当然、どこが大切なところか考えながら読み進めることになりますよね。それが、文章を丁寧に読む練習になるのです。また、問題文を書いているのは「文章のプロ」ですから、文章をまとめる練習をすることで、文章力を高めることもできます。国語が苦手、という人は、問題を解くだけではなく、本文の要約をぜひやってみてください。

 参考までに実例を。第2回実力テストの範囲「論理的文章」の6番です。

 まずは、段落ごとの要約。いきなり全文を要約しようとしても難しいので、まずは小さな単位から。

  1. 一見矛盾することばを結びつけて、一面の真理を伝えるのを、修辞学でオキシモロン(撞着語法)という。
  2.  「公然の秘密」について。
  3.  「まけるがかち」について。
  4.  その場ではまけたけれど、長い目で見れば自分の得になること。
  5.  “まける”と“かつ”とが同一次元でないから、矛盾と見える命題が矛盾ではなくなる。
  6.  「ありがためいわく」について。
  7.  相手が好意・親切からしてくれていることはわかるので感謝すべきだが、こちらの正直な気持ちから言えば迷惑である、という二つの立場の違いをふまえた言葉だ。
  8.  オキシモロンには論理の飛躍がある。この飛躍を飛び越えられる人には、何とも言えぬ面白さを感じられる。
  9.  つまり、撞着語法はかなりシャレたもので、子どもには通じない、大人のことばである。
  10.  急がばまわれ、にも論理的なギャップがある。急いでいるなら、急がなくてはならない。
  11.  ところが、あわてると思わぬ失敗をして、かえっておくれてしまう。ここまでの部分をのみこんで、だから、急いでいるときにはまわり道をした方が早く行かれていい、という部分だけを表面に出す。
  12.  かくされた、言外のことばを解すれば、何ともいえないおもしろ味がある。
  13.  「いそがばまわれ」の具体的状況。あわてて行き先の違うバスに乗ってしまう。
  14.  世の中に遅れないようにというつもりで流行を追っていて、かえって時代遅れになってしまう。
  15.  迂遠に見えることが案外、実際的な近道であることが少なくない。ゆっくり急げ

 次に、全体の要旨を。100字程度でまとめてみます。こんな感じでしょうか。

一見矛盾することばを結びつけて、一面の真理を伝える修辞法をオキシモロン(撞着語法)という。言外の論理を解する人には、何とも言えぬ面白さが感じられる。つまり、子どもには通じない、大人のことばである。

 人によって文章の「解釈」は違いますから、要約文も当然違ってきます。みなさんもぜひ自分で要約を作りながら問題を進めてみてください。