うちの父は60歳で定年して、
その後再任用、非常勤職員として勤めあげたのが
73歳。
そしてこの完全に仕事をやめたとき
家族に向かって
「これからお父さんは社交ダンスをやります」
と高らかに宣言した。
どうやら、大学で社交ダンスサークルに入れなかったことを今まで
引きずってきたらしい…
極度のコミュ障で運動音痴(ボーリングで投げるフォームがおかしすぎて、周りが震えて投げられなくなるレベル)、
もちろん社交ダンスがやりたかったなんて一言も聞いたことがない。
しかし、父の決意は固く、
着々と初心者歓迎の地元のスクールをいくつか見学に行き、
なんとかついていけそうな教室に通うことを決めてきた。
「お父さんは運動が得意ではないので基礎コースを人の3倍やって、
何とかついていこうと思う」
と、また家族に宣言。
しかし、私達はまあ長続きしないだろうと思ってみていたのだが
だがしかし。なんである。
今年御年83歳。
社交ダンススクールを3つ掛け持ちする日々である。
久しぶりに実家に帰るとリビングでターンする父を見ることができる。
←娘としては見たくない
自室にこもってはYouTubeで
「このステップに入る角度はどうすれば美しいか」といった研究。
果てにはウォーキングで姿勢を正すクラスにも入会し、
60代の時よりも背筋がピーンである。
まさに画狂老人卍(葛飾北斎晩年のペンネーム)ならぬ
舞狂老人卍である。
そんな父の口癖は
「あと10年早く、踊りたかったな」である。
娘としては何にも遠慮せず
あと30年でも40年でも早くから踊っていたらよかったのにと思う。
ただどっちにせよ、父が元気に踊っているのは
本当に娘としてありがたいことである。