※「ボキャブライダー」桜田ひよりとMaxwell Powers

 

昨年の三月に退職して、そろそろ一年。去年の今頃は、教員として勤務していて、高校三年の「現代文」という、かなり「微妙な」科目を受け持って、それなりの気苦労もして、そのあたりの事情は、こちらでご紹介したとおり。なんだか、たった一年前のこととは思えない気もするのだが、その一方で、いまだに授業をしている(しかも、うまくいかない)夢を見たりして、ニンゲンの頭の働き具合というのは、全くヘンなものだと思う。

現在の日課は、ほとんど「主夫」の状態。まずは、家族の朝食の用意、ウィークデイは、夕食も、そして、風呂掃除やら、ゴミ出しやら、スーパーへの買い出しやら、洗濯物の片づけやら、何やら……..。主婦や主夫のみなさん、お疲れ様です。

その他の日課としては、(コロナ感染対策として)昼どきをねらって、週3~4回のプール通い。最近は、800メートルほど、クロールと平泳ぎで、たらたら、泳ぎます。そして、毎日、朝食後のごく短時間の尺八の練習(大学の邦楽サークルで習いました)と、午前中の英会話の勉強。

 

NHKの「ラジオ英会話」をラジオではなく、ネットのストリーミングの「聞き逃し」という再放送を聴いている。この方が、途中で止めたり、何度も聴き直したりできるので、都合がいい。聴いているのは、

月曜「ラジオで!カムカムエヴリバディ」 ※「本放送」は、月~水 各回15分

火曜:「ラジオ英会話 」 ※月~金 15分

水曜:「高校生から始める現代英語」 ※木・金 15分

木曜・金曜:「ラジオビジネス英語」 ※月~金 15分

土曜:以上の「ラジオ英会話」「高校生から始める現代英語」「ラジオビジネス英語」の

      「教材」の会話部分の聞き返しと、単語の復習

日曜:「ボキャブライダー」 ※月~金 5分

        「エンジョイ・シンプル・イングリッシュ」※月~金 5分

 

つまり、再放送分をネットでまとめて聴いているということ。テキストは買わない。むろんケチだからということもあるが、文字を見て、聴きとれたつもりになっていても、実は、あやしい。昨年、聴き始めて痛感したのだが、綴りにひきづられて、実は聴きとれていないことが多い。私にとって、一番、聴きとりの難度が高いのは、「ラジオ英会話」のパーソナリティの、秋乃ろーざサンで、この方、所々で、ネイティブらしい早口になる(だから、聴きとりの良い練習になるのだが)。彼女が、「ミーン」と口走った時、「なんで、こんなところで、mean(意味する、そういうつもりで言う、あるいは、さもしい、お下劣な)なんていうのか」と戸惑ったが、前後関係から、どう考えても、これは、「main(主な)」だった。テキストがあったら、素通りしたままだったと思う。

テキストは無いので、紹介された、あるいは私がチェックを入れた、単語や言い回しはネットで調べて、エクセルに打ち込んで、「マイ辞書」にしている。土曜の「単語の復習」というのは、この「辞書」で単語の暗記をし直すことで、月末には、一か月分をアルファベット順にソートして、見直している。……..と、エラそうに書いたが、悲しいかな、覚えたそばから忘れていく。が、気長にやっていけば、残るものもあるだろうと、同じ単語を何度も忘れて、何度も覚え返したりしている。

 

私の場合、ボランティアで、例えば、簡単な観光案内をする程度のことができればいいので、あんまり込み入った内容を話す必要もないだろうから、とにかく、相手の言ったことが分かるのを目標にしている。どれが自分向きなのか分からないので、いくつかの番組を聴き始めて、途中、一つ二つに絞って、完璧にマスターした方が良いのでは、とも思ったが、様々な人のしゃべるナマの英語に慣れた方が良かろうと、逆に、聴くプログラムを増やした。

だから、「ラジオビジネス英語」などは、まさに、現場のビジネスマン向けで、私の手には負えない部分が多く、特に、木・金は、上級者向けの英語によるインタビューで、解説を聞いても、三分の二も、分かるかどうか。しかし、インタビューを受ける人が、ネパール出身の科学者だったり、バリ島の環境保護活動家の少女だったり様々で、その英語も様々で、面白く、へとへとになりながら、どうにか喰いついている。実は、このプログラム、4~9月分の再放送を今していて、今月は、カナダ出身のJosh Grisdaleさんで、障害を持つ人のための旅行ガイド、英語ウェブサイト『アクセシブル・ジャパンー行けるよ、ニッポン(Accessible Japan)』を主宰している。気さくな話しぶりが面白く(だから、ちと聴きとりにくい所もある)好感が持て、なるほど、こういう方だから、こういうサイトを立ち上げたんだと、納得がいく。御自身も障害があり、このサイトは、本業の傍らで運営している。半年前に聴いた時も、その人柄が印象に残った。ナマの英語で、その人のナマの人柄に接する。なかなか、面白い体験だと思う。そう思ったりするから、たいした目標もないのに、英会話を勉強しているのだろう。
 

ところで、『アクセシブル・ジャパンー行けるよ、ニッポン(Accessible Japan)』というタイトルだが、「バリアフリー」という言葉は、英語話者には通じない(らしい)。勉強を始めて、すぐに、再認識したのが、日本語化した英語(と思われているもの)は要注意ということ。「バリアフリー」の意味することを英語でいうときは、この「Accessible(直訳すると、行くことができる)」を使うことになる。他には、例えば、「SNS」も、アウト!正解は、「social media」。これは、「ボキャブライダー」でも紹介されていて、このプログラムは、おすすめ。毎回5分で、コミカルに手際よく、あれこれの英単語が紹介されて、実用性も高い。

それから、やはり、文法抜きでは、外国語は習得不能。でも、「ラジオ英会話」は、本当に使える文法をしっかり、手際よく教えてくれて、こちらも、おすすめ。ブンポーといっても、何の役に立つのかと思わせる「受験対策文法」ではなく、例えば、講師の大西先生が、「単語わあ、動詞の位置にイ来れば~、それわあ~、動詞い~」と、口走ったりして英語の肝を叩き込んでくれる。例えば、オーストラリアでは、「予約する」を「book(本)」ということが多くて、この名詞は動詞にも使えるんか?と不審に思いつつ使っていて、辞書の説明もそんなものだが、大西先生の「述語の位置に放り込めば、それは動詞なんですよ~、英語は語順のコトバなんです~」という説明で、疑問は氷解した。本気で英語を話したいなら、このプログラムは、ずばり、必聴。

 

さて、一部で話題の「ラジオで!カムカムエヴリバディ」。この時間帯の、それまで続いていた名物番組「遠山顕の英会話楽習」が突然9月で終了になり、いったい、どうしたことやら、良いプログラムだったのに、と思っていたら、「朝ドラ連動」と称して、このプログラムが始まり、「なんだ番宣か、NHK、お主もワルよの~」思いつつ聴き始めた。ヒロインの安子が、戦前に聴いていた「英会話」を紹介してくれたりして、なかなか楽しかったのだが、ここのところ、ドラマの方が、英会話とは無縁の展開になっていて、ドラマを後戻りして、「ドラマのハナシを英語で言ってみよ~」と、主題歌を歌う歌手のAIさんが、声を張り上げていたりして、苦しい、というか、つまらない。「連動」だから、朝ドラに「英会話」がもどってくれば、息を吹き返すのでは、と期待している。