27日のドラフト会議で、巨人入りを熱望していた東海大の157キロ右腕・菅野智之投手(22)を1位で強行指名し、交渉権を獲得した日本ハムが28日、失態を犯した。大渕隆スカウトディレクター(SD、41)ら3人が、神奈川・平塚市内の東海大合宿所を指名あいさつに訪れたが、連絡の行き違いもあって東海大・横井人輝監督(49)らを待たせる形になった。関係修復の第一歩となるはずが、東海大側の不信感を増幅させる結果となった。
指名翌日のあいさつが、完全に裏目に出た。衝撃の強行指名から一夜明け、緊張した面持ちの日本ハム・大渕SDらが東海大の野球部合宿所に到着したのは、午後3時42分だった。菅野不在で行われた面会は25分ほどで終わったが、関係者によると、東海大側が聞いていた約束時間は「午後3時過ぎ」。待ちぼうけとなった横井監督らは、強い不快感を示していたという。
きっかけは、わずかな行き違いだった。前夜(27日)、担当の岩井スカウトが横井監督に電話を入れたものの、連絡がつかなかったため、野球部マネジャーを通じて訪問の意向を伝えた。強行指名という事情が事情だけに、指揮官が電話に出てくれないと解釈するのも仕方ない。だが、ここで訪問時間にズレが生じた。日本ハム側は「午後3時半過ぎ」と伝えたつもりでいたのだ。
東海大側が午後3時から待っていたことを聞かされた瞬間、大渕SDの表情は凍り付いた。「えっ。3時半過ぎにうかがうと約束したはずですが…」と言葉につまった。不幸な勘違いが招いた悲劇といっていい。ただ、不信感を募らせている相手に対し、3時半過ぎとの約束だったとしても、時間に余裕を持たせて到着しておくぐらいの姿勢を見せた方が、今後の関係修復につながったはずだ。
一方で、面会の席上は思いのほか、穏便だったようだ。大渕SDによると、強行指名について「戦術上の理由とはいえ、指名あいさつを事前に行わず、驚き、深い困惑を与えてしまい申し訳ありませんでした」と日本ハム側は謝罪。そして、明治神宮大会で大学日本一を目指す菅野の強い意志を尊重し、同大会終了後まで入団交渉や視察などを行わないことで合意。強行指名を責める声も上がらなかったという。岩井スカウトが「あいさつを聞いていただいただけでもありがたい」と話したように、面会拒否や入団交渉即打ち切りという最悪の事態は避けられた。だが、ただでさえハードルが高いのに、前途多難のスタートを切ったのも事実だ。
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