東日本大震災で被災した人たちが、知人に無事を伝えたり、仮設住宅への移転案内を送ったりするのに使ってもらおうと、都内で働く女性たちが未使用の絵はがきと切手の寄付を募り、現地に届けるプロジェクト「ハガキのちから」を立ち上げた。4月の活動開始から現地のNPO法人や学校などに送ったはがきは、1万5千枚を超えたという。
企業広報として働く女性らのコミュニティ「広報ウーマンネット」代表の伊藤緑さんと、カラーセラピスト添実のりさん、PR会社代表浅野波留奈さんの3人が発起人。添さんがテレビで、被災地の公衆電話や無料の携帯電話サービスに行列が出来ている様子を見て、はがきを送れば、気兼ねなく使える通信手段として役立ててもらえると、伊藤さんらに提案した。当時、添さんの手元には、900枚ほどの絵はがきがあったという。
現地のNPO法人にニーズの存在を確認したうえでと、3人は早速、専用ブログを開設。知人を通じて絵はがき、切手の寄付を募り始めた。現地では、はがきよりも食料や衣料の方が喜ばれるのではと迷ったが、「すぐにできることから始めたい」と、まず行動に移すことにした。また、伊藤さんはフリーライターや作詞家としても活動し、書くことへの思い入れも強いことから、「ペンをとって書くという行為が、少しでも被災した方々の癒やしにつながれば」との期待もこめた。
寄付を呼びかけると、旅行先や美術展で買ったまま使われていなかった絵はがきなどが、続々と集まってきた。書き損じのはがきも集めて切手と交換し、絵はがきに貼って、被災地へ届けた。6月19日には、伊藤さんと添さんが他の仲間達と福島県南相馬市に入り、仮設住宅約200軒をまわった。日用品と一緒に絵はがきを持っていると、「離れて暮らす孫に送る」といって、お年寄りが嬉しそうにアニメキャラクターの絵はがきを手に取ったり、「よくしてもらったボランティアの方にお礼状を書きたい」といって数枚持って行く人がいたり、喜ばれていることを実感できたという。
「送る相手のことを思い浮かべながら、絵柄を選ぶ楽しみを味わってもらえるのは、絵はがきならではのチカラだと思う」と伊藤さんは話す。絵はがきの受付は8月いっぱいまで続ける予定だ。
50円切手貼付済みの絵はがき、50円切手、未使用の年賀はがき、はがきを書くための筆記用具などを郵便で受け付ける。送付は、封筒に「ハガキのちからプロジェクト用」と明記したうえで、株式会社スリーハンズ(〒150-0001東京都渋谷区神宮前4-1-24オフィスイワタ第一2F)まで。問い合わせ先はhagaki@live.jp。公式ブログもある。
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