園子温の映画に何を期待するか。
もう、園子温の映画なんて見たくない!と叫びたくなるような、ドロドロにグロテスクに描写された欲望だったり、絶望だったり。
そんな気持ちで対峙したら、思うのほかポジティブであっけに取られてしまったような作品。



ポジティブにも、風刺的にも、「震災後の日本」。
住田が悪者を探して街をさまよい歩く描写は、震災後の責任の所在を求めて右往左往する「悪い行政・電力会社、それを取り巻く被災者・国民」の様子と重なり、歯に衣着せぬメッセージとなって、私達に突き刺さります。

原作を知らないのですが、ラストの主演二人のやりとりに息を呑みます。
出所後の幸せな生活を想像する二人の表情が、いいえぬハッピーエンドの予感をもたらし、一転、住田の自殺という安易なバッドエンドを匂わせ、最終的には、「がんばれ住田!」と叫びながら走り続ける描写が、園子温らしいカオスっぷりを演出しながらも、期待を裏切るポジティブな感想をもたらしています。

主演ふたり、ベネチアで新人賞(マルチェロ・マストロヤンニ賞、言いたいだけ)をさらっただけあってすばらしい演技。
特に染谷将太。これ難しい役だったと思うんですね。監督の要求も多かったのではと。
ただの無気力少年というわけではなく、大人に反吐が出るような嫌気をもって反発し、自分自身は社会的に正当な存在でありたい。
「思春期」の一言では表しきれない、愛憎を人間の形に押し込めたような役柄を、見事こなすどころか、食って掛かっています。
そして、若い主演ふたりの周りを固める、園子温映画オールスター。


最近気になるライブ写真家。Satomi Itoさん、frickrのユーザーネームんはmysinoic。

この方の写真を知ったきっかけは、「写真が良すぎて撮影を依頼した。」というような内容の、アジカンゴッチのツイートを見かけてのこと。リンクを開くと、「良すぎて」の内容を一目に感じられました。

彼女の写真は、一瞬を納めた一枚、というより動画の一コマを抜き出したように、躍動感にあふれています。まさしくエネルギー瞬間保存というかんじ。ライブ会場の熱気をフィルムに焼き付けたかのようです。すばらしいライブ写真家です。

WEB
http://d.hatena.ne.jp/taimin-tachibana/

frickr
http://www.flickr.com/photos/myrsinoic/


1年前、震災により泣く泣く中止となってしまった、フリスロ@コーストが、一年越しの開催とあいなりました。


この日みたバンドなどをざっと総ざらい。

■rega
COASTのメインステージでのregaは圧巻でした。縦横無尽な彼らの演奏に巻き込まれたようでした。彼らのようなインストバンドに、オーディエンスが沸き、踊りまくってるのは、いかにも「フリスロ」らしい風景でした。


■Orland
DJセットで登場。しかし、彼らのDJセットのずるいこと!Orlandのキラーチューンに、彼らのリスペクトするアーティストのキラーチューンたちまで繰り出すのですから、盛り上がらないわけがありません。DJブースでありながら、あわやモッシュかというようなアグレッシブな盛り上がり様でした。DUCK SAUCEのaNYwayでしめるなんてずるすぎました!

■Czecho no Republic
チェコといえば、あのかわいらしいポップなメロディーですが、新ギターが加入して以来、サウンドに厚みとバンドサウンドらしいグルーブを得て、すばらしいインディー・ロックに昇華したように感じました。

■SEBASTIAN X
かれらのステージングはいつも、気持ちがいいほど伸びやかです。1・2曲しか見ていませんでしたが、COASTの広いメインステージに立っても引けをとらない、豊かでのびやかなボーカルが響くのを、ただ見とれ息を呑みました。

■ヒサシ the KID
NO.1パーティーDJとは彼のことではないでしょうか!踊らせるということに殊長けたアッパーな選曲、BEACHSの楽曲を織り交ぜたパーティーチューンに、満員のフロアが総ダンス!でした。

■東京カランコロン
以前は男性ハイトーンボーカルに女性コーラス、というイメージの演奏が多かったように思いますが、男女ツインボーカルの色の濃い楽曲が増え、バンドサウンドとして厚みが増したように思います。進化したツインボーカルがとても心地のよい、すばらしいライブでした。せんせいがかわいすぎます。メンバーそれぞれ自由なステージングが見ててまた気持ちいい。

■神啓文
この人の選曲もいつも憎いですね。いやおうなしに踊らされてしまいます。ヒサシさんがパーティーチューンで攻めてくるなら、神さんはクールでキレキレなダンスチューンで攻めてきます。私がDJブースにたどり着いたころには、すでに満員のフロアが揺れていました。

■Keishi Tanaka
アコギ一本で5曲ほど歌い上げましたが、力のこもった爽やかな歌声は健在でした。Riddim Saunterとして出演予定だった去年の分も2年分やると披露した、リディムの"Sweet & Still"にオーディエンスからは歓声が上がりました。

■Sawagi
メインステージで見たかったバンドのひとつ。鋭いサウンドは、サブステージでは狭すぎるといわんばかりにコーストを揺らしていました。最前列ではregaのメンバーまで加わって、踊りまくってました。

■QUATTRO
自信と実力を見せつけていくようなステージでした。LAST DANCEに踊って、STONEに跳ねて、彼らの演奏はいつも、オーディエンスの音楽好き・ライブ好き・QUATTRO好き!を掻き立てます。あの広い会場でHEYは壮観でした。

■Turntable Films
せっかくの晴天だったので、屋外ででも見たかったな。ひょうひょうとした雰囲気をただよわせておきながら、コーラスと鳴り物だけのアレンジなんかもこなしてしまう、多彩な表現力をもった、軽やかなインディー・カントリー・ロックに心躍るライブでした。

■HALFBY
この日のDJ陣からひとり選べといわれたら、彼!と言いたくなるような、キラートラックに頼らない熟練のDJスキル!クール!の一言でした。

■avengers in sci-fi
「アルバムのタイトル解禁していいらしい」との一言に、ああメジャーでやってるんだな、と思ったり。無数のエフェクターにシンセ、(あとタロウステップも健在)より高いパフォーマンス性を得た彼らのライブは、メジャー移行からの研鑽を感じさせます。すばらしいステージでした。

■the chef cooks me
この日の最高は、彼らでした。サウンドチェックで演奏した"WEEKEND MAGIC NUMBERS"のフレーズに、オーディエンスが諸手挙げてクラップしていた瞬間から、音楽やライブ好きだなぁなんて幸せな感情がこみ上げてくるような、最高のミュージックラバーが見せる最高のライブでした。サポートを加えた10人超の編成で、嬉しい・楽しい・幸せ・大好き、そんな総じて正の感情の全部が詰まったみたいな、ハッピーの極みでした。

■the telephones
トリはFREE THROWが盟友、telephones。vo石毛のこのイベントへの愛を感じさせます。締めはやっぱりVOL.30@WOMBの時と同じ、"FREE THROW"。最高のミュージックラバー(それはFREE THROWのDJたちともオーディエンスともしれません)に出会えた喜びを噛み締めるような曲だなあ、とその時思いました。


このFREE THROWというインディーシーンのイベントならでは、と思うは、アーティスト自らサウンドチェックに出てきて、「もうちょっと待っててね!」「フリースロォー!!」なんて、ステージ上からオーディエンスに投げかけている瞬間。
メジャーと比べるわけではありませんが、きっかり開演~終演までの楽しい時間を切り売りするショービジネスではなく、フリースローはどんなに集まる人が増えても、「人が集まる場所」としての、パーティーイベントらしい意味合いを失わずにいるのかなと思います。


「ミュージックラバー」を実感した、楽しい祝日でした。
こちらの作品も非常に印象的でした。
Soak
©Yunsil Heo & Hyunwoo Bang 『Soak』 Yunsil HEO / Hyunwoo BANG

ぴんと張った白い布に触れると、その位置や深さに応じて、照射される色が変化します。
水にインクを落としたように、じんわりと変化する色が、とても触れる者の興味をそそり、インタラクティブ性に秀でた作品となっていました。

伝統的な染織物を現代的にバーチャル再現したものだったそうです。が、想起するイメージは伝統工芸とは少し違っていたように感じます。少々ビビッドすぎたのかもしれません。しかし、「伝統工芸」と「バーチャル」との実験的接触が、「ネオ」な魅力を勝ち得ていたのではないでしょうか。

触ると光の色が変わるなんて、幼いころに想像した魔法の道具のようでてもファンタジックじゃないかと、子供心をくすぐられ夢中になってしまいました。すっかりおもしろくなってしまい、こう触ったらどう変化するのだろうと、手のひらでなでたり、深くつついたりしていたら、スタッフに注意されてしまいました。

こちらは漫画部門。メ芸でこちらの作品を知り、ただいま熱心に読んでいます。

優秀賞

秘密 トップ・シークレット

作者:清水 玲子

いかにも少女漫画的な繊細な作画で描かれる近未来サイエンスフィクションは、とても新鮮でドラマチックな読後感をもたらします。しかしながら、少年漫画の作者と比べると、近未来社会の設定や世界観の作り込みがやや強引な印象も受けます。

最も引き込まれたのは、展示会場に置かれた清水玲子先生の画集でした。彼女の作画は、男性とも女性ともとれる超越的な美しさを放っています。男性として描かれているのか、女性として描かれているのか、イラストだけでは分からないことも多いです。というか、男女の判別なんてもはや意味のない、絶対的に端麗な容姿の美しさと言ったほうが適切です。繊細、恍惚、陶酔、麗しく、非常にアディクトです。

この作品の主人公も、
容姿端麗でありながら、冷淡なキレ者、しかしいつにも壊れてしまいそうなほっとけなさを内包した、男性とも女性ともつかない超越的な美しさを持つ人物として描かれています。このキャラクターが、どこかスキャンダラスな魅力をもたらし、読者を惹きつけるエッセンスとなり、唯一無二の鋭い作品となっています。