☆太宰は友人壇一雄を熱海に残して、東京へ金策に向かったはずなのですが。
追いかけて東京に戻った壇が見たのは、井伏鱒二と将棋を指している太宰の姿でした。
猪:そしたら、太宰がこう言ったんだよね。「待つ身が辛いかね?待たせる身が辛いかね?」
翔:うーん
猪:つまり、お金を集められなくて、待たせてる人間の方が辛いって開き直ったのね。(笑)
翔:うん
猪:普通は、誰か友達と約束の時間に、渋谷なら渋谷で逢おうと言って、タクシーが渋滞に巻き込まれちゃったら、待ってる人…に、悪いなあって思うわけじゃない?
翔:そうですね。焦ります。
猪:焦るよね。その時にタクシーに乗っている人間が太宰治だと考えると「俺の方が、気持ち焦ってんだよ」というふうに開き直るわけだよね。これ、なかなかできないよ。日常生活で。
翔:できないです。
猪:ね。太宰治の文学って言ったら、そこだね。だから、みんながAだって言った時はBだと。
翔:うん。
猪:違うと。
翔:うん。
猪:っていうのが、どっかにないと、文学ってのは成り立たないところがあるんだよね。
翔:うーん。
猪:例えば、だから、井伏鱒二って大作家でしょ?
翔:はい。
猪:と、言われてるんだけども、井伏鱒二さんという人は、結局…。その、釣り竿を持って旅に出ると
翔:うん。
猪:ね?旅に出たら、途中で金がなくなったり、どっか違う方向に行っちゃったりするのが旅なのに
翔:うん
猪:始めから破綻のない旅に出ることを
翔:うん
猪:前提に、釣り竿を持っていると。
翔:うん。
猪:で、自分をごまかしてると
翔:うん
猪:そうそう井伏さんのような人間が…まあ、日本中にいると
翔:ふふ(笑)
猪:ね?日本中にいるというのは、それが日常生活を作っていて
翔:うん
猪:予定調和で生きてるじゃないか?と。
翔:はあ…
猪:つまり、作家というのは、明日どうなるかわからない
翔:うーん。
翔:っていうよりも、世界は常に明日どうなるかわからないんじゃないか?と。
猪:で、僕…あの、ピカレスクを書くにあたって、最後に太宰治の遺書を見て
翔:はい。
猪:「井伏さんは悪人です」って2行、たった2行ある…。それを見て…ああ、これはやっぱり、太宰治が最終的に言いたかったことは、井伏さんは世間的には善人で良い人と言われてるから
翔:うん
猪:偽善的な予定調和の世界を…まあ、極悪というか、挑発というか…
翔:じゃ、井伏さんは、あそこに書かれている井伏さんは個人であり、もっと広く言うと、世間だという…
猪:うん。そうだと思う。
翔:『人間失格』にもありますけれども、世間とは個人だ、まさにその逆で、井伏…という個人はむしろ、広い意味での世間というか…
猪:まあ、堀木とかヒラメとか出てくるけど。
☆人間失格の登場人物ですね。
翔:はい。
猪:あれが、井伏…の一面でもあるんだよ。
翔:はあ…
猪:要は。自分の一面でもあるんだよね。
翔:はあ…。『人間失格』に出てくる、堀木とかまた、井伏さんでもある…と。
猪:だから、破綻のない人生を、ちょっと知ったかぶりして
翔:うん
猪:いるという…こと…が、太宰治の一番嫌いだったことだと思うんだよね。
翔:うーん。
猪:って言うよりも、自分は、だから、明日はわからないよ、と。
翔:うん
猪:明日はわからないよ、って言うのは、もっと極端に言えば、自分の書いた作品の世界とともに、明日は変わるかもしれないんだから
翔:うーん。
猪:それが作品だよね。
☆そして朗読も最終章へ進みました。
追いかけて東京に戻った壇が見たのは、井伏鱒二と将棋を指している太宰の姿でした。
猪:そしたら、太宰がこう言ったんだよね。「待つ身が辛いかね?待たせる身が辛いかね?」
翔:うーん
猪:つまり、お金を集められなくて、待たせてる人間の方が辛いって開き直ったのね。(笑)
翔:うん
猪:普通は、誰か友達と約束の時間に、渋谷なら渋谷で逢おうと言って、タクシーが渋滞に巻き込まれちゃったら、待ってる人…に、悪いなあって思うわけじゃない?
翔:そうですね。焦ります。
猪:焦るよね。その時にタクシーに乗っている人間が太宰治だと考えると「俺の方が、気持ち焦ってんだよ」というふうに開き直るわけだよね。これ、なかなかできないよ。日常生活で。
翔:できないです。
猪:ね。太宰治の文学って言ったら、そこだね。だから、みんながAだって言った時はBだと。
翔:うん。
猪:違うと。
翔:うん。
猪:っていうのが、どっかにないと、文学ってのは成り立たないところがあるんだよね。
翔:うーん。
猪:例えば、だから、井伏鱒二って大作家でしょ?
翔:はい。
猪:と、言われてるんだけども、井伏鱒二さんという人は、結局…。その、釣り竿を持って旅に出ると
翔:うん。
猪:ね?旅に出たら、途中で金がなくなったり、どっか違う方向に行っちゃったりするのが旅なのに
翔:うん
猪:始めから破綻のない旅に出ることを
翔:うん
猪:前提に、釣り竿を持っていると。
翔:うん。
猪:で、自分をごまかしてると
翔:うん
猪:そうそう井伏さんのような人間が…まあ、日本中にいると
翔:ふふ(笑)
猪:ね?日本中にいるというのは、それが日常生活を作っていて
翔:うん
猪:予定調和で生きてるじゃないか?と。
翔:はあ…
猪:つまり、作家というのは、明日どうなるかわからない
翔:うーん。
翔:っていうよりも、世界は常に明日どうなるかわからないんじゃないか?と。
猪:で、僕…あの、ピカレスクを書くにあたって、最後に太宰治の遺書を見て
翔:はい。
猪:「井伏さんは悪人です」って2行、たった2行ある…。それを見て…ああ、これはやっぱり、太宰治が最終的に言いたかったことは、井伏さんは世間的には善人で良い人と言われてるから
翔:うん
猪:偽善的な予定調和の世界を…まあ、極悪というか、挑発というか…
翔:じゃ、井伏さんは、あそこに書かれている井伏さんは個人であり、もっと広く言うと、世間だという…
猪:うん。そうだと思う。
翔:『人間失格』にもありますけれども、世間とは個人だ、まさにその逆で、井伏…という個人はむしろ、広い意味での世間というか…
猪:まあ、堀木とかヒラメとか出てくるけど。
☆人間失格の登場人物ですね。
翔:はい。
猪:あれが、井伏…の一面でもあるんだよ。
翔:はあ…
猪:要は。自分の一面でもあるんだよね。
翔:はあ…。『人間失格』に出てくる、堀木とかまた、井伏さんでもある…と。
猪:だから、破綻のない人生を、ちょっと知ったかぶりして
翔:うん
猪:いるという…こと…が、太宰治の一番嫌いだったことだと思うんだよね。
翔:うーん。
猪:って言うよりも、自分は、だから、明日はわからないよ、と。
翔:うん
猪:明日はわからないよ、って言うのは、もっと極端に言えば、自分の書いた作品の世界とともに、明日は変わるかもしれないんだから
翔:うーん。
猪:それが作品だよね。
☆そして朗読も最終章へ進みました。