博物館に展示されている古生物の骨格標本というのは、実物化石による標本ばかりではありません。

多くの一般の人達は骨格標本がレプリカだと聞くと

「なんだ、ニセモノか」という反応をしますが

キャストレプリカというのは実物化石から型取りをしたもので

見た目は実物化石と変わりません。

キャストレプリカはアーティファクトの模型とは違い

海外の研究者が取り寄せて比較検証したり、学生の研究資料として使用したりする正式な学術標本なのです。


本来実物化石標本というのは、研究資料であり、大事に収蔵庫で保管するもので

展示する目的には使いません。

(展示していると、どうしても証明や振動等で劣化してしまうので)

その為展示にはキャストレプリカを使う事のほうが、実は当たり前の事なのです。

それに全身骨格マウントとして展示するなら、キャストレプリカのほうが向いています。

実物化石だと重量が有り、落下による破損を防ぐ為に

ゴテゴテとした鉄骨で補強しなければいけませんが

キャストレプリカなら骨の中心に鉄骨を通せるので、より全体を隈無く観察出来るという利点もあります。


とは言うものの、やはり実物化石を見て福眼にあずかりたいと思うのも人情。

というわけで、今回は日本全国の恐竜を展示している博物館の

実物全身骨格標本について紹介してみようかと思います。

ついでに、一般の方々が恐竜だと思っている翼竜や海竜の標本も

その博物館に展示されている標本だけに限り紹介してみましょう。


福井県立恐竜博物館

恐竜の展示では日本最大規模の博物館ですね。

当然実物全身骨格化石標本も一番多く、計11体も展示されています。

以下実物標本リスト

カマラサウルス・SP(全身の90%が実物)

アロサウルス・フラギリス

ヘスペロサウルス・ムヨシ(完模式標本、全身の65%が実物)

メデューサケラトプス・ロキィ(レオナ)

エドモントニア・SP

エウオプロケファルス・トゥートゥス(ペギー)

ヒパクロサウルス・ステビンゲリ(ナディーン)

プロサウロロフス・ブラックフィテンシス(カレン)

カンプトサウルス・SP

エドモントサウルス・アネクテンス

フクイヴェナトル・パラドクサス(マウントはキャストレプリカ、実物標本はマウントの足元に並べられています)

他にもフクイサウルス(全ての標本が揃えば全身の半分程)、コシサウルス、フクイラプトル、フクイティタンの部分化石等や、首長竜エラスモサウルス(全身の60%が実物)、翼竜ランフォリンクスの実物骨格標本が展示されています。

またトリケラトプスの頭骨標本も実物です。





国立科学博物館

トリケラトプス・SP(レイモンド)

パキケファロサウルス・ワイオミンゲンシス(サンディ)

アパトサウルス・SP(全身の90%が実物)

アロサウルス・フラギリス(全身の65%が実物)

ステゴサウルス・ステノプス

スコロサウルス・カトゥラーリ(オリーブ)

ヒパクロサウルス・アルティスピヌス(エブリン)

ヒパクロサウルス・SP(幼体)

マイアサウラ・ピーブルゾールム(常設展示無し)

首長竜シルリア

魚竜レプトネクテス




群馬県立自然史博物館

カマラサウルス・グランディス(全身の70%が実物)

トリケラトプス・プロルスス(マウントはキャストレプリカ、実物化石標本は床下のジオラマ内に配置)

カマラサウルス・SP(幼体、常設展示無し)

他にもスピノサウルス(多分エジプティアクスでは無くスピノサウルス類)の頭骨等

新種記載された偽鰐類のアンフィコティルス・マイルシは期間限定の常設展示だったかな?




鹿児島県立博物館別館

アロサウルス・フラギリス(全身の65%が実物)

カンプトサウルス・ディスパール(全身の65%が実物)

両標本は小川勇吉さんが寄贈した標本です。

この事は旧ブログの

アロサウルスは今も其所にある

で少し解説記事にしました。




北九州いのちのたび博物館

コリトサウルス・カスアリウス(ウォールマウント)





岡山理科大学恐竜学博物館

コリトサウルス・カスアリウス(図書室のサテライト展示エリアのガラスケース内に並べられて展示)

岡山理科大学はモンゴル科学アカデミーと提携しているので

クリーニングルーム内(ガラス張りなので覗けます)には

クリーニング中のモンゴルの実物部分化石がちらほら




豊橋市立自然史博物館

エドモントサウルス・アネクテンス(全身の90%が実物)

翼竜ランフォリンクス



神奈川県立命の星地球博物館

エドモントサウルス・アネクテンス(全身の90%が実物)

魚竜ステノプテリギウス




三重県立総合博物館みえむ

ヒパクロサウルス・ステビンゲリ(ウォールマウント、全身の70%が実物)

他にもトバリュウの部分化石等

博物館の一推しはミエゾウのマウントらしいですけどね。

勿論ミエゾウも知る人ぞ知る素晴らしい古生物標本です。





徳島県立博物館

プシッタコサウルス・SP(産状標本)

魚竜ステノプテリギウス(幼体)

他にもディプロドクス、アパトサウルス、エドモントサウルスの後脚や

地元で発掘された徳島恐竜コレクションの部分化石等




いわき市石炭化石館ほるる

ハドロサウルス類(幼体、全身の30%が実物)

翼竜アンハングエラ

翼竜タペヤラ

翼竜ランフォリンクス

首長竜プリオサウルス(全身の80%が実物)

首長竜クリプトクリドゥス(産状標本)

蒼竜モササウルス類(産状標本)

他にも地元で見付かった首長竜の部分化石等



番外

北海道むかわ穂別博物館

カムイサウルス・ジャポニクス(常設展示無し、部分標本とアーティファクトくさいウォールマウントは展示)

他には、蒼竜フォスフォロサウルス、モササウルス・ホベツエンシス、モササウルス・プリズマティクスのホロタイプの一部や

地元で発掘された部分化石等が展示されたりしています。




やはり福井と科博は圧倒的に充実していますね。


恐竜G7国とは違い、基本的に発掘されるのが、殆んど部分化石の日本では

実物骨格標本というのは中々展示出来ません。


地方の予算では海外から購入するハードルも高いですしね。

だいたいキャストレプリカの10倍程の値段になり

日本円だと数千万円規模になりますし、当然輸送費等のその他諸経費も掛かりますしね。


とはいえ、これだけの実物骨格や化石標本が見ようと思えば観れます。

皆さんも是非彼らを観に博物館に行ってみて下さい。

案外地元の博物館にも思わぬ展示があるかも知れませんよ