今回は映画『のび太の恐竜』『のび太の恐竜2006』『のび太の新恐竜』に登場した恐竜の骨格標本を展示している博物館を紹介しようかと思います。


元々私が恐竜という存在を知り、大好きになった切っ掛けとなった作品です。

この、のび太の恐竜という作品が無ければ、私は今の様な恐竜ヲタクにはなってなかったでしょうね。


でも前回迄のジュラシックシリーズで被っている恐竜達は割愛します。

先ずは各作品に登場する恐竜達をお復習しましょう。

のび太の恐竜

ティラノサウルス

ブロントサウルス

オルニトミムス

プテラノドン(翼竜)

アーケロン(海亀)

エラスモサウルス(首長竜)

フタバサウルス(首長竜)


ジュラ紀のブロントサウルスと白亜紀のティラノサウルスが同じ時代に登場しますが、気にしてはいけません。


のび太の恐竜2006

ティラノサウルス

スピノサウルス

オルニトミムス

トリケラトプス

パラサウロロフス

マイアサウラ

アラモサウルス

トリケラトプス

アンキロサウルス

パキケファロサウルス

ケツァルコアトルス(翼竜)

プテラノドン(翼竜)

エラスモサウルス(首長竜)

フタバサウルス(首長竜)


前回のブロントサウルスがアラモサウルスに変更になったのは、一応棲息年代を合わせたかららしいです。

ケツァルコアトルスも同様らしいです。

でもそもそもフタバサウルスの棲息年代(後期白亜紀サントン期)が合わないのですが、気にしてはいけません。

其処は華麗にスルーするのが大人の嗜みです。


のび太の新恐竜

ノビサウルス(キューとミュー)

タルボサウルス

シノケラトプス

ティタノサウルス

テリジノサウルス

プロトケラトプス

シャントゥンゴサウルス

オロロティタン

プレノケファレ

タルキア

シノルニトミムス

シュヴウィア

オヴィラプトル

ヴェロキラプトル

ヤンチュアノサウルス

トゥオジャゴサウルス

スピノサウルス類の何か

プテラノドン(翼竜)

タペヤラ(翼竜)

デイノスクス(鰐)


ティタノサウルス以外の登場する恐竜達はどれも舞台の時代である

後期白亜紀末(マーストリヒト期末)の恐竜ではありませんが、気にしてはいけません。

まだその地層で化石が見付かっていないだけ、と脳内変換するのが紳士淑女の品格です。


フタバサウルス・スズキイ

国立科学博物館(キャストレプリカ)

いわき市石炭化石館ほるる(キャストレプリカ)

福島県立博物館(キャストレプリカ)




いきなり恐竜ではないクビナガリュウのフタバサウルスですが

やっぱり、ぴー助が筆頭でないとね。

展示骨格標本は何れもホロタイプのキャストレプリカです。

科博には産状のレプリカと実物標本の一部も展示されています。

いわきにも産状のレプリカが展示されていますが

これ等は適当に並べたものでは無く、その当時の産出状況を正確に復元しています。

ずっと長い間フタバスズキリュウという裸名でしたが

(何故ならフタバサウルス・スズキイの記載者である佐藤博士以前には、首長竜プレシオサウリアの記載論文を執筆出来る専門の古生物学者が日本には居なかったから)

2006年に正式に新種記載されました。

既存のエラスモサウルス類とは、眼窩と鼻孔との間の距離が長い。鎖骨が融合し、前縁が曲がっている。上腕骨比較的長く、大腿骨が細い。

等の異なる形質から、新属新種として記載されました。

首の骨化石は見付かっていませんが、タラッソメドン等に近縁なエラスモサウルス類という系統解析がされており、首の長い典型的な首長竜であったと考えられています。


あまり知られてはいませんが、日本では他にも多くのクビナガリュウ化石が見付かっており、プレシオサウルス類の他にもプリオサウルス類やポリコティルス類の部分化石も見付かっていて、首長竜の三大分類群全ての化石が見付かっています。

フタバサウルスの産出地福島では他にも多くのクビナガリュウの化石が見付かっています。

イワキリュウと名付けられたプリオサウルス類の化石や

鉄腕ダッシュという番組でTOKIOのメンバー達が発掘した化石も

追加標本も含め骨格マウント復元される程に多くの部分化石が見付かっています。

他にも

北海道ではフタバサウルス並に保存率の高いホベツアラキリュウや、国内最大のクビナガリュウのナカガワクビナガリュウ(これ等もマウント復元されています)にポリコティルス類やプリオサウルス類の化石

東アジア最古のクビナガリュウとされる鹿児島のサツマウツノミヤリュウ(ペリットの研究報告論文も出された)等が知られています。(部分化石なら兵庫県等でも見付かっています)

これ等の標本は後期白亜紀のクビナガリュウの東アジアと北太平洋での分布と進化史を探るうえで貴重なデータとなります。

ただ、保存状態の悪いものが多く、詳細な解析がしにくいのが難点ではあります。


因みに、劇中では卵からかえるピー助ですが、現在クビナガリュウは卵胎生であった事が判っています。

また、首をキリンの様に高くもたげていますが、骨格の構造上不可能です。

それと陸上を海亀みたいに這っていますが、実際にはそんな事をすると肺が圧迫され呼吸困難に陥ると思われます。

何故なら、彼等クビナガリュウの骨盤は脊椎との接触が殆ど遮断されており

体重を脊椎に預けるという機能を果たす事が出来ないからです。


ここで豆知識

ネッシーという首長竜みたいなレイクモンスターが恐竜の生き残りとか言われたりしますが

その可能性はゼロです。

ゼロという表現は本来科学的ではありませんが、この件に関しては間違いなくゼロです。

何故ならクビナガリュウ自体が古生物学的に恐竜では無いからです。

ではネッシーやチャンプとかのレイクモンスターはクビナガリュウの生き残りなのでしょうか?

少なくとも外科医の写真の様に、首を高くもたげた写真のレイクモンスターはクビナガリュウではありません。

先にも書きましたが、骨格の構造上クビナガリュウがキリンやコブラみたいに

首を高くもたげる事など不可能だからです。

またニュージーランド沖でトロール船に引き上げられた

ニューネッシーというシーサーペントがいますが

これもクビナガリュウの生き残りなどでは無いでしょう。

何故なら、あの写真を見ると、本来有るべき筈の肩甲骨や腹肋骨の殆どが抜け落ちています。

あの様な状態で前鰭が残るというのは

クビナガリュウの骨格構造上、絶対に有り得えないからです。

また化石の産出状況から、どうやらクビナガリュウの死体というのは先ず首や尾が腐り落ちるらしいので、腐乱の状態もクビナガリュウとは考えにくいと思われます。


因みに、福島にはフタバリュウというニックネームの付けられた恐竜化石も発見されています。



エラスモサウルス・SP

福井県立恐竜博物館(実物標本)

三重県立総合博物館みえむ(オリジナルはデンバー自然史博物館所蔵標本)



劇中ではピー助を苛めていたエラスモサウルスです。

福井所蔵展示の標本は全身の約60%が完全なのだそうです。

エラスモサウルス・プラテュウスの化石は主に北米大陸から産出しており

化石記録から後期白亜紀カンパニア期のウエスタン・インテリア・シーと呼ばれる海域に棲息していたと考えられています。

首の長いプレシオサウリアであるエラスモサウルス類を代表するクビナガリュウで、その首の骨は72個も有り、特に首の長い種でもあります。

首長竜は化石記録から凡世界的に分布していましたが、外洋性の生物ではなく

あまり遠洋には進出せず、主に近海を棲息域としていたと考えられています。

エラスモサウルス類はジュラ紀末から前期白亜紀に北米に現れ、大陸沿いに南米、南極、オセアニア、アジアに分布していったと考えられています。

また近年の系統解析によると、ジュラ紀の首の長いプレシオサウルス類の直系では無く

異なる比較的首の短い系統から進化したという研究報告もあります。

プレシオサウリアの系統関係にはこれといったコンセンサスもまだ無く

プレシオサウルス類を単系統群なのかどうかも疑わしく見る研究者もいます。

一般に白亜紀末の隕石衝突により滅びたとされていますが

彼等の衰退や絶滅と天体衝突の因果関係は正確には不明です。



ここで豆知識

首長竜は日本語和訳で蛇頸竜とか鰭竜類とかとも呼ばれますが

鰭竜類というのは本来正確にはノトサウルス類迄をも含めた分類群名です。

また蛇頸竜や首長竜とは言いますが、本来Plesiosauriaという分類名には

古ギリシア語で『爬虫類に近い』という意味しか無く、首が長いという意味はありません。




タルボサウルス・バタール

福井県立恐竜博物館(オリジナルはモンゴル科学アカデミーの所蔵標本)

岡山理科大学恐竜学博物館(モンゴル科学アカデミー所蔵のキャストレプリカ)

京都青少年科学センター(オリジナルはロシア科学アカデミー所蔵標本)

東海大学自然史博物館(ロシア科学アカデミー所蔵のキャストレプリカ)

国立科学博物館(ロシア科学アカデミーのキャストレプリカ、常設展示無し)



未確認ですが、京都青少年科学センターのマウントはロシア科学アカデミーのPIN-552の一番レプリカらしいです。

岡山理科大学にはMPC-D107/2のキャストマウントの他にも

幼体のマウント標本(モンゴル科学アカデミー所蔵のMPC-D107/7のキャストレプリカ)も展示されています。

福井県立恐竜博物館のマウントはMPC-D107/2のキャストで、別に展示されている頭骨はロシア科学アカデミーのPIN555-1のキャストレプリカです。


一般にティラノサウルスによく似ていて

かつてはティラノサウルス・バタールとも呼ばれていたと言われてますが

私からすれば容易に見分けられる程に骨格の違う恐竜です。

似ているといえば確かに両者はよく似ていますが

少なくともアルバートサウルスとゴルゴサウルスよりは

見分けやすい種の違う恐竜です。

これについては以前オシェロフスキーが

ロシア科学アカデミーのマウントはPIN-552の標本群を元に、足りない部分を

北米のティラノサウルス科を参考に造られたアーティファクトで補完し復元された為による誤解によるものでは無いか?と指摘しています。

冷戦下の時代は西側の研究者達は実際にロシアの標本を研究する事は不可能で、まだMPC-D107/2も発見されていなかったので

ロシアの標本のキャストでしかタルボサウルスの成体の情報が得られなかったのです。

つまりはマウント標本の何処がアーティファクトで何処が実物化石のキャストなのか判別出来ない状況でした。

復元マウントそれだけを見て、ティラノサウルスとの類時点を見誤って

必要以上にティラノサウルス似ていると勘違いしていたという事ですね。



ティラノサウルス・レックス

福井県立恐竜博物館(大腿骨等の実物標本)

名古屋市立科学館(上顎骨等の実物標本)


もう以前の記事で紹介していますが

今回は骨格マウントでは無く、日本に有る数少ない実物化石標本を紹介してみました。

因みに、骨格マウントで一番のお勧めは

北九州いのちのたび博物館のスーのキャストレプリカです。

世界で最も完全なティラノサウルス標本であるスーは

キャストレプリカも三体くらいしか造られてはいないみたいなので、

レプリカですら本国アメリカでも中々見らない標本です。

スーの詳細についてはフレンジー名義の旧ブログで紹介しています。



プロトケラトプス・アンドリューシ

滝川市美術自然史博物館

神流町恐竜センター(モンゴル科学アカデミー)

ミュージアムパーク茨城県自然博物館

福井県立恐竜博物館(おそらくモンゴル科学アカデミー)

飯田市美術館

東海大学自然史博物館(ロシア科学アカデミー)

豊橋市立自然史博物館

京都市青少年科学センター(ロシア科学アカデミー)

岡山理科大学恐竜学博物館(モンゴル科学アカデミー)

徳島県立博物館

北九州いのちのたび博物館

天草市立御所浦白亜紀資料館

鹿児島県薩摩川内市甑ミュージアム恐竜化石等準備室

宮崎県総合博物館

長崎市恐竜博物館



日本に有る標本はおそらくモンゴル科学アカデミーかロシア科学アカデミー

もしくはアメリカ自然史博物館の所蔵標本のキャストレプリカと思われる。


プロトケラトプスは日本の博物館ではアロサウルス、ティラノサウルスと並ぶ

展示標本数の多い恐竜ベスト3に数えられます。(始祖鳥を除く)

プロトケラトプスのファンが居るのかどうかは知りませんが

プロトケラトプスの標本を見るなら、一番のお勧めは岡山理科大学です。

マウント、産状、幼体の集団化石と、複数の標本が展示されています。



オルニトミムス・エドモントニクス

福井県立恐竜博物館

大阪市立自然史博物館

御船町恐竜博物館



共にオリジナル不明

オルニトミモサウリアはダチョウ恐竜とか呼ばれています。

でも地球の生物史の進化の順から言えば

ダチョウのほうがオルニトミモサウリアのミミック(模倣者)です。

オルニトミモサウリアは互いによく似ています。

普通の人にはガリミムスやストルティオミムスとかと

どう違うのか分からないと思います。

前肢の骨格が異なり、オルニトミムスは比較的後脚が短いのですが、まあよく分からないでしょうね。

デイノケイルスは見分けやすいですけどね。



タペヤラ・SP

福井県立恐竜博物館

群馬県立自然史博物館

岐阜県博物館

御船町恐竜博物館

いわき市石炭化石館ほるる(タペヤラ・ウェルンホフェリの実物標本)



ほるるの実骨以外のレプリカのオリジナルは不明。

空飛ぶ恐竜だと思っている人もいますが

翼竜は恐竜ではありません。

古生物学的には、同じ鳥頸類という系統群に属する恐竜にとても近縁な生物なのですが(系統学的には恐竜形類と翼竜形類は姉妹群クレードとなる)

違う生物群です。

タペヤラは現在3種が有効とされていますが

模式種のタペヤラ・ウェルンホフェリを除く2種については

別属ではないのか?と、専門家の間でも意見が別れてます。

頭のトサカが帆の皮膜で復元されていますが

これはタペヤラ・インペラートルの印象化石からの復元であり

もしタペヤラ・インペラートルが別属(ツパンダクティルス・インペラートル)であれば

その様な復元は、頭骨の形状から間違いとなるでしょうね。


因みに、空飛ぶ恐竜は鳥です。

最新の恐竜学の知識が有るかたはご存知でしょうが

分岐学分類的に全ての鳥類は恐竜の1種です。

これは科学的事実であり、現在の古生物学の定説です。

そしてこの仮説が覆る事など、もう未来永劫無いでしょう。



アーケロン・イスキロス

国立科学博物館

福井県立恐竜博物館



オリジナルは不明。

史上最大の巨大な海亀ですね。

といってもプロトステガ類のウミガメなので

現生のウミガメ達とは系統的な繋がりはありません。

後期白亜紀カンパニア期の北米の内海や近海に棲息していたと考えられています。

甲羅は甲板で覆われてはおらず、皮が被さった構造になっています。



その他の登場恐竜については

残念ながら日本での常設展示はありません。

マイアサウラは国立科学博物館が実物標本を保有してるのですが

現在常設展示からは外されています。

トゥオジャンゴサウルスやシノルニトミムスは

キャストレプリカが福井所蔵コレクションにあるので

何処かの企画展にレンタルされて

見れる事があるかも知れません。

あとデイノスクスは頭骨のレプリカなら展示している博物館もあります。

まあデイノスクスの全身骨格なんて見たこと無いですけどね。




私は恐竜や古生物の本を洋書や雑誌類も含め軽く300冊以上は所持していますが

初めての恐竜本は親や祖父から買い与えられた

小学館の恐竜図鑑とコロタン文庫の恐竜百科でした。

そして自分のお小遣いで初めて買ったのが、大長編のび太の恐竜と

藤子・F・不二雄こと藤本先生が著書異説倶楽部で紹介されていた

デビット・ランバートの恐竜の百科の翻訳書でした。

もしドラえもんを読んでいなければ、多分進学もしなければ古生物学(古脊椎動物学)なんてものに興味も無かったと思います。

今だとジュラシックパークなんでしょうけど

私にとってはドラえもんの『のび太の恐竜』が永遠の金字塔です。