暇人の覚え書き

カナダのアルバータ州に在るロイヤル・ティレル古生物博物館と言えば
日本の福井県立恐竜博物館と姉妹提携している
世界三大恐竜博物館の1つに数えられています。
(何故福井とティレルと自貢が三大恐竜博物館なのか知っている人がいたら教えて下さい。)
館内には約40体の恐竜の骨格標本が展示されており
カナダ一番の恐竜展示を誇る博物館として有名です。
アルバートサウルス(RTMP90.20.72)やゴルゴサウルスのブロッサム、
レガリケラトプスの頭骨標本ヘルボーイに、奇跡の恐竜化石と呼ばれるボレアロペルタの実物標本等々
カナダ産出の様々な恐竜の標本が展示されています。

そんな中でも最も有名な標本と言えば
ティラノサウルスのブラック・ビューティーでしょう。
1980年にアルバータ州のクロウスネスト(ウィロー・クリーク層)で発見されたブラックビューティーは82年に採集が始められましたが、
クリーニングに何年も要しました。
標本番号RTMP-81.6.1  骨格保存率28% 体積保存率約40%?



天空に咆哮するドラゴンの様なこのウォールマウントは実に美しいです。
このデスポーズのウォールマウントはキャストレプリカですが
(実物化石は収蔵庫に厳重に保管されています。ただ手前に展示されている頭骨は実物化石標本です)
実物化石標本も名前の由来どおり、黒い化石標本です。
これは化石化する時に、黒色の鉱物成分(マンガンの様な)が染み込んだ為だと考えられています。
(因みに、この様な黒いティラノサウルスの化石標本は、当然レア標本であり、このブラック・ビューティーの他には、トリスタン・オットー、キング・コング、ピーターだけで、全部で4標本しか無いそうです。)

このブラック・ビューティーは実は実物標本が何回か来日しており
初公開されたのも日本が初めてだったのだとか
90年の千葉の幕張メッセの日立ディノアドベンチャーでの公開クリーニングラボで行われたクリーニング作業がそうらしいです。
94年の大阪でのアジア太平洋貿易センターや、福井県立恐竜博物館の企画展でも一部が来日しています。

ロイヤル・ティレルにより幾つかのレプリカが複製され
カリフォルニア科学アカデミー、スウェーデン自然史博物館、中国科学院古脊椎動物・古人類学研究所中国古動物館、クランブルック科学研究所博物館で常設展示されており
日本でも、福井県立恐竜博物館とミュージアムパーク茨城県自然博物館で常設展示されています。
ロイヤル・ティレルとは異なりこれ等のレプリカは、普通のマウントにされ組まれています。
何か契約による縛りでも有るのでしょうか、ウォールマウントにされている標本は何故かありません。




ブラック・ビューティーは、今ではそれほど保存率の高い標本ではありませんが
(それでも15番目に保存率の高い標本とか言われています。)
とても有名で美しい標本として知られています。



余談ですが
ロイヤル・ティレル古生物博物館には他にもハックスリー・レックスと呼ばれる全身骨格標本マウントも展示されています。