その夜はなかなか眠れなかった



彼は私の意識が戻って安心したようで、簡易ベッドに横になるとすぐに寝てしまった


私は手術中とその後少しの間、麻酔で眠っていたけど
彼は私の破水が始まってから約2日間一睡もしていない


だから相当疲れてたみたいでイビキがスゴかった(笑)


1時間起きに看護士さんが点滴に来てくれた


看護士さん:「旦那さん疲れてるんですね。うるさくないですか(^-^)?」


私:「ずーっと一緒に寝てるのでもう慣れましたよ(*^_^*)」


看護士さん:「仲良いんですね♪」




眠れなくて病室の時計の音を聞いていたら、いつの間にか眠っていた


雨の音で目が覚めた


私が起きると彼も目を覚ました



彼は狭くてかたい簡易ベッドで寝たから身体のいろんな所が痛いと言っていた


私もお腹痛いよ~とか、お腹減ったよ~と言いながらお互い見つめ合って笑った


10時ぐらいになって看護士さんが身体を拭きに来てくれた


久しぶりに身体がキレイになってスッキリした


歯も磨けてサッパリした

看護士さん:「じゃあ車椅子に乗って病室戻りましょうね。途中で新生児室通るので赤ちゃん見ていきますか?」

私:「はいっ!!!」



やっと赤ちゃんが見える
どんな顔してるんだろ…
早く会いたい



彼と看護士さんに助けられながらゆっくり身体を起こす


お腹に激痛が走る………

ゆっくりゆっくりベッドの端に移動して、
ゆっくりゆっくり車椅子に乗った


看護士さん:「動くの早いですね!痛くないですか?みなさんもっと時間かかりますよ」


早く赤ちゃんに会いたくて痛いのなんて我慢出来るよ


早くあなたに会いたい



看護士さんに車椅子を押してもらって新生児室まで来た



彼:「おっ!ちょうど保育器出たね。見える?」


看護士さん:「お父さん似かな(^-^)?」


恐る恐る身を乗り出して赤ちゃんを見た
どんどん意識がハッキリしてきた



ベッドに横たわりながら自分の状況を把握しようと一生懸命だった



左手には点滴と脈拍を図る機械が付いていた



まだ麻酔が効いているのか体を動かしたくても全然動かない



首から上は元気で、生きてる!!って思ったら嬉しくて何度も左右に動かしたり口を開けたりしてた


そんな事をしている途中で、あっ!…って気が付いた




なんか私のお腹ぺったんこだ……



あんなに大きかったのに…



赤ちゃんいない…




私の赤ちゃん…ドコ……?




彼に恐る恐る聞いた



「赤ちゃん…産まれた?」



彼は優しい笑顔で
「産まれたよ。写真見る?」と言った



産まれたんだ…そっかぁ…



そう言えば夢の中でお母さんが【赤ちゃん産まれた】って言ってたような……現実だったんだ



デジカメで撮ってくれた赤ちゃんの写真を見た



ドキドキした



真っ赤な顔をして泣いている赤ちゃん



彼に抱っこされてる



私:「最初に抱っこしたの?」



彼:「うん。産まれて10分ぐらいで会わせてもらえたよ。抱っこも出来て助産婦さんが写真も撮ってくれた。」




私:「良いなぁ~!!!ズルイ!!!…………そっかぁ、産まれたんだぁ。女の子…?」



彼:「元気な女の子だよ」


私:「先生の判別当たってたね」



会話している中で彼はもうお父さんの顔になってた



すごくすごく嬉しかった


赤ちゃん、元気に産まれてくれてありがとう








でも………私、全然実感ないよ…。



お母さんになったんだよね?



早く赤ちゃんに会いたい


どんな声で泣いてるの?


私も抱っこしたい



もっと近くで顔を見たい


触れたい…



看護士さん:「赤ちゃんは一晩、保育器に入ってるから会えるのは明日かな。疲れてると思うので明日の為に少しでも寝て下さいね」



明日まで会えないんだ



悲しくて、淋しくて仕方なかった

すごくすごく怖くて変な夢を見た



手術が終わってスタッフの人が片付けをしている


そう思ったら場面が変わって、ナゼか小さな箱に入れられて「私はここにいるよ!!」って必死に助けを呼んでたり…



知らない人が耳元で何かを言っていて、
その人の方を向こうとするとまた場面が変わって、ロボットみたいにカクカクした人がたくさんいる世界に行ってうなされたり……



怖くて怖くて、私はどうなっちゃったんだろうって不安だった



夢の世界から出たくて、現実に戻りたくて必死だった



途中、見慣れない部屋に寝ている場面になった時に母が心配そうな顔をして私の方を覗いていた



「大丈夫…?よく頑張ったね。赤ちゃん見たよ。」



頭では《お母さんだ》って分かっているけど喋れなかった



ボォーっとする頭で彼の姿を探した



母の後ろで心配そうにこっちを見ている彼が目に入った







でもナゼか3人もいる…



視界がぼやけてまた変な夢の続きを見た



何度も何度も現実と夢の世界をさまよっていた



私、頭おかしくなっちゃったのかなって不安で「私はここにいるよ!!何で喋れないの?何でみんな気付いてくれないの?」って思った



でもだんだん現実の世界にいる時間が長くなってきた



少しずつ声も出せるようになった



だけどまだ意識がはっきりしていないから「何でー?あれー?」って子どもみたいに繰り返すのが精一杯だった



左手に付けられた機械を取ろうとしたり点滴のチューブを引っ張ったり…


その度にアラームが鳴って彼が
「ダメだよ」
って優しく注意してくれた



頭では分かってるのに体が言うことを聞かない



麻酔のせいだよね…?



手術の後遺症じゃないよね……??






怖くて怖くて自分が自分じゃなくなっちゃう気がして………






でも、いろんな事を考えているうちに、ぼやけていた視界が鮮明になってきた




「ここどこ…?今、何時?」
やっと自分の意思で喋る事が出来た




「病院だよ。今は夜の10時だよ」
ずっと側に居てくれた彼が教えてくれた



もうそんな時間なんだ…
手術終わったんだ