娘は4歳の時に痙攣発作を起こし、救急搬送され、大学病院に転院し、良性脳腫瘍と診断された。手術により脳の大切な部分を取らざるを得ず、脳腫瘍の摘出と引き換えに障がいが残った。

小学生時代は支援学級に在籍。中学生時代は支援級と通常級の行き来をしていた。その頃私が単身赴任になり、あまり家庭のことは分からないが、妻は娘を普通高校に入れることにこだわっていた。私も同様の気持ちだった。

結果としてこの判断が間違いだと気づいたのは高校入学後だった。高校は私立専願のところを受験し合格した。小学校時代まともに学習もできなかった娘を中学で中の下の成績まで押し上げたのは妻のつきっきりでの勉強だと思っている。

しかし、入学前の2017年春に娘に脳腫瘍の再発が見つかる。通学を考え手術は夏休みに予約していた。まもなく高校入学がせまる時期のことだった。

今私がとても後悔しているのは、高校合格はゴールではなく、大学入試への厳しい高校生活のスタートに過ぎないということだ。


私は単身赴任で不在、娘はハンデを負いながらの通学で疲弊、脳腫瘍手術を夏休みに予定。その娘をなだめ送り出す妻も同じく疲弊。さらに追い打ちをかけたのが、妻の病気が発覚したことだ。妻は網膜剥離と診断され緊急手術になった。妻が入院すれば、娘を世話する必要にせまられる。この相関関係のなかで妻は徐々に精神的な落ち込みが進んでいった。しかし私も義母もまさかこのようなことになるとは全く考えてなかった。


続く