交換レンズを買おう③ | 四畳半カメラ大系

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6.レンズの値段

 


レンズボードも作ったところでレンズの詳細について追ってみる。まず製造年だがテッサ―は製造番号から凡その製造時期は特定できる。Nr129万台なので1239699-1365582の間。1931年、元号だと昭和6年頃に製造されたレンズだと思われる(あくまで目安)。

 

昭和6年の日本だと丁度満州事変が起きた年だ。昭和より先の大正は戦前日本にしては民主主義や自由主義が多く叫ばれた時代で、大正ロマンと後世から呼ばれるくらいに国内の発展が進み始めていた。ところが恐慌や震災を経て大正時代は短く終わる。


そして我々のよく知る昭和前期の日本、大日本帝国の印象が特段と強くなったのはこの辺りだろう。帝国主義に傾倒した日本は島国ながらに多くの領土を抱えることとなった。

 

…1925年(大正14年)頃の写真新報でこのレンズの記載があったので、こちらを紹介する。

 

ZEISS

ツァイス寫眞鏡玉

群衆ノ撮影又ハ映寫用トシテ

Tessar 1:4.5 50cm(24×30cm)ヨリ(28×36cm)

 

とあった。また写真機械材料目録(昭和4年)では

 

獨逸カール・ツァイス會社製

テッサ―Ⅰ類C鏡玉F3.5-F4.5

 

カールツァイステッサ―Ⅰ類C鏡玉は最優秀の鏡玉として世界的聲價を長く保持しているものである。就中F3.5玉は人物撮影、活動写真撮影理想的の迅速さと鮮鋭さとを持つている。

 

フォールディング(畳込式)・フォーカル・プレン又は非常迅速撮影に使用して現代に於てF4.5鏡玉に匹敵する優秀な鏡玉は他にないのである。又色彩収差が完全に匡正されて居るので、オートクローム、整色、三色寫眞等の撮影に使用すれば其の特色は飽まで發揮される。

 

F4.5定價表

焦点距離 50センチメーター 20インチ

有効書畫 12×10

普通鏡胴定價700円


12×10をセンチに直すと30×25cmなので、写真サイズで考えると四切用のレンズだろう。




日本のカールツァイス合資会社のロゴ
(ツァイスレンズジャパンより)


アンソニー型カメラもとい、写場暗箱や組立暗箱など普通の撮影で使われる殆どの暗箱の最大が四切なので、それ用のレンズとして最大級のサイズなのは間違っていないと思われる。


また、手持ちのクセナー36cmF4.5が250円だったのに対してテッサー50cmF4.5が700円なので3倍近くもするお値段も弩級なレンズだ。


④に続く